Nov 21, 2013

本当にあったフェミニストのための本屋

フェニミストのための本屋を見つけました。リベラルな気風で知られるオレゴン・ポートランドの"In other words"という、なかなか衝撃的な店。コメディドラマのポートランディア(Portlandia)に登場するフェミニスト書店の舞台にもなっているこの店。とにかく店の中に入って見てください。ただ一言、驚きの世界です。
ダウンタウンからは少し離れた場所にあります。車か自転車あればベストです。ポートランド北東地区("NE"と良く記される)NE Killingsworth Stと、N Williams Aveの交差点に店はあります。路面電車MAXイエローラインのN Killingsworth駅から、バスのRoute 72に乗って、同交差点で降りればよいと思います。交通局(Trimet)のホームページから、Route 72を選択すると時刻表やルートが分かります(http://trimet.org/schedules/index.htm)。観光で訪れるのならば、思い切ってダウンタウンで自転車を借りて、MAXで途中まで移動する、もしくは人気のミシシッピ地区の北側にあるので自転車でNorth Mississippi Aveから来るのもありです。参考は過去記事をどうぞ(ポートランドのボヘミアンネイバーフッド/ミシシッピ通り)。

ドラマPortlandiaを観たことがある人なら、外観で分かるはずです。あのToniとCandaceが出てくるWomen and women firstです。店の外では"おにいさん達"が写真を撮り合っていました。ちょっとした観光地でもあります。As seen on PORTLANDIAと書かれていました。

実際に店内に入ると、まさに女性2人の店員さんがいました。ハーイ、と挨拶。カウンターの背後にはドラマでお馴染みのカレンダーボード。ミーティングスペースも兼ねた広い店内。本だけに限らず雑貨もあります。もちろんコミュニティーセンターなので、イベントの案内や様々な情報が手に入ります。色々ありましたが、一番の発見はまさかのViginaアート。Vigina塗り絵に、Viginaペンダント。うーむ。
知る人ぞ知る世界だと思いますが、こうした書店はニューヨークにもありました。ブルーストッキングス(Blue stockings)という店で、ローワーイーストサイドにあります(http://bluestockings.com/)。店自体は同じコンセプトを感じますが、違いは立地する場所の雰囲気が与える影響です。Blue stockingsはニューヨークでも、ローワーイーストサイドにあるので、良い意味で都会的にゴミゴミしたエリア。何やら緊密な雰囲気です。ジェイン・ジェイコブスが讃えるあの質感。一方で、ポートランドはのんびりしています。空が広いなと感じるこの感覚。戦う雰囲気さえも感じたニューヨークと、ひたすら自分の道を探求する雰囲気のポートランド。場所や環境の雰囲気が、人間の思考や議論に与える影響は無視できません。

それにしても、Portlandiaはおもしろいです。スケッチコメディなので、様々な種類の笑いが含まれていますが、中でも「知的さ」という点では、Women and women firstが登場するフェミニスト書店のシーンがおもしろい。「政治性と下ネタを織り交ぜた過激でぶっとんだ知的さ」はなかなか日本のコメディーでは見られず残念です。コメディという手法を借りれば、より効果的に社会的なメッセージを伝えられるのに。あくまでも笑いながら、でも時折まじめなことを考えさせられるのは、フレッド・アーミセン達、番組スタッフの天才的な手腕ですね。

"In other words":http://inotherwords.org/
 昼間から夜7時まで。日曜日と月曜日はお休みなので、気をつけてください。

ポートランドのまとめです。ご参考。
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2013/11/blog-post_4735.html

ポートランドのボヘミアンネイバーフッド(ミシシッピ通り)

ポートランドの魅力はボヘミアンな雰囲気の街並み。もちろん自転車で周ると最高です。ダウンタウンから出発し、最近注目を浴びているノースミシシッピ・アベニュー(North Mississippi Ave.)を目指します。まだまだラフでインダストリアルな雰囲気は残っていますが、個性派ぞろいの面白い店が立ち並んでいました。地元の人達の休日を真似てみました。
 早速ダウンタウンで自転車を借りました。Waterfront Bicycleという店は、路面電車MAXのSkidmore Fountain駅の近くにあります。日本からネット予約をしておくと便利です。一日40ドルと高めの値段ですが、それ見合いの立派な自転車を貸してくれます。アメリカでは日常的なハイブリッドタイプの自転車で、快適にスピードを出せて気持ちが良かったです。ヘルメットとU型ロックも忘れずに借りましょう。とても親切なおじさん店員。ルートプランニングも手伝ってくれました。交通量や舗装状態によって走りやすさが色塗りされた地図を入手しました。初めての街でも時折地図を確認すれば安心。それにしても、どこに行っても自転車屋の店員は親切です。ナパバレーでもそうでしたが(過去記事)、ゆとりがある雰囲気。アメリカの自転車文化は日常生活に根ざしたものでありながら、何か特別なものがあるのかも知れません。そもそも値段からして、結構高いのです。比較的ゆとりがある人向けなのでしょうか?

まずはNorth Mississippi Aveのスタートへ。路面電車MAXに自転車を乗せて向かいました。途中までの道が分かりづらかったからです。ポートランドでは路面電車に自転車を乗せられるので、疲れたり道に迷った時には、路面電車に頼るのもありです。車内ではスタンドがあり、前輪を頭上のフックへ吊るし、後輪は床のガイドに通します。自転車をぶらさげておくイメージです。

Albina Mississippi駅で降ります。周囲はちょっと寂しい雰囲気。やはりミシシッピ地区は最近注目を浴びてきたばかりなのです。現在進行形の街並み。工場や倉庫、廃墟も立ち並んでいて、タフでインダストリアルな雰囲気ですから、暗くなってからは止めた方がよいと思います。さっそくNorth Mississippi Aveを進みます。最初の15分は辛抱。寂しい景色、そして何気に坂道が続きます。それでも道は一本で分かりやすい。ロサンゼルス・ダウンタウン(チャイナタウン方面のあの乾燥した孤独な雰囲気)のようなイメージです。
そして坂を上りきるとお待ちかねの街並み。 どうでしょう、なかなかボヘミアンな雰囲気です。写真よりも数ブロック北に移動した、Beech St周辺が一番賑やかでした。ビンテージ服ショップにレストラン、マイクロブルーワリーも発見。気の向くままに店を眺めましょう。地元の人達で賑わう、穏やかで美しい休日の昼間に心が和みました。タコスで有名なタケリア(メキシコ料理屋)の"Por que no?"はFremont Stを過ぎたところにあり、さすがの行列でした。のんびりした雰囲気が好きな人におすすめの街並みです。そして店舗や商業施設のデザインやディスプレイを知りたい人にもおすすめで、個人経営の小さな店をやっている人には、一つ一つの要素が参考になるかも知れません。計算してないように見せながら、徹底的にマーケティングしている店ばかり。お店ガイドは、地元の商工会議所?とも言える団体が運営するこちらのサイトをどうぞ(http://www.mississippiave.com/)。
ミシシッピ通りは人通りがあるのですが、一歩路地に入ると途端に寂しい雰囲気になります。再開発が注目されるということは、その裏にある歴史を知っておく必要があります。ミシシッピ地区は、かつて第二次世界大戦を通じて軍艦等の造船が盛んになり、大量の労働者を確保すべく、アフリカ系アメリカ人が流入してきた街。戦後にコロンビア川の大洪水が起きた際、大変な状況で彼らは残されてしまい、決して恵まれた状況に置かれなかった地区なのだそう。そんな歴史を持つ地区の再開発を、ジェントリフィケーションと呼ぶのか、それとも活性化と呼ぶのか。つくづくアメリカは興味深い社会だなと実感しました。

ポートランドのまとめです。ご参考。
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2013/11/blog-post_4735.html

Nov 14, 2013

ファーマーズマーケットの開催は日本では難しい

おいしい朝食を食べながら考えました。ポートランドのファーマーズマーケットのようなイベントを日本では実現できそうに無い理由です。ファーマーズマーケットとは、牧歌的な光景に見えながら、人々を啓蒙しようという教条的な理念と、資本主義とが高度に結びついた、大人のプロ集団による本気の舞台なのです。
 ・ファーマーズマーケットで「地域活性化」する必要がある程、そもそも日本の社会はそこまで荒廃していない。

ファーマーズマーケットは「地域活性化」に欠かせないイベントであり、道具です。しかし「活性化」とは地域の賑わいや経済効果を期待するものである以上に、地域の更正、荒廃からの復帰という、より政治的な使命を帯びているものを意味します。時には宗教的・教条的とさえ感じさせる緊張感と勢いも必要です。その為には、活性化の為に労力の注ぎがいがある程の徹底的に荒廃した社会が必要です。そして荒廃/活性化の対立軸において、それぞれの状態を作り出す要素(地域住民)が徹底的に異なる性質を帯びていることが欠かせません。幸いにも日本にはここまで徹底した社会的な対立状況は表面化していません。表面化していないことが問題ということではなくて、そもそもの対立の度合いが比較的浅いということです。

結局ファーマーズマーケットは、ジェントリフィケーションを引き起こすための道具の一つと言えるかも知れません。比較的裕福で文化・教育水準が高い人達がファーマーズマーケットの会場に集うことで、世帯収入・人種構成の面で地域の雰囲気が変わっていくのです。その結果、取り残される人達が生まれ、負の側面が生じるのは事実ですが、プラスの経済循環が生まれ、ひいては税収につながる効果も否定することは出来ません。
それでは、どんな人々が訪れているのでしょうか。新鮮な野菜を親に食べさせてもらえる幸せな子供の写真です。子供に野菜を食べさせたいのに、なかなか食べてくれないという悩みは一般的ですが、そもそも、食べさせることが出来ないのだとしたら、より一層深刻な問題です。野菜は、肉や穀物、加工食品のようには簡単に大量工業生産が出来ないので、概して値段が高くなりかねません。自ずから1カロリー当りの値段も高くなります。健康的な食生活を送るためには、比較的豊かな収入が必要になるとは、皮肉な話です。炭水化物と脂肪に頼らない栄養摂取は重要な課題なので、手頃に野菜を食べられるようになるべきですが、金銭的な問題があるのです。そして人々の趣向の問題。炭水化物と脂肪の比重が大きい食生活と、彼らの趣向とを結びつけて、貴賎を論じることが出来るのか。いずれにせよ、野菜・炭水化物・脂肪のどれでも好きに取れるだけの選択肢が用意されるべきでしょう。その点、ベジタリアンチョイスが比較的豊富なアメリカはよいなと思います。

・彼ら自身で集団を結成した時のアメリカ人の意志と行動は徹底的。

ファーマーズマーケットの運営団体はユニークです。まずは構成メンバー(ボードメンバー一覧)。市職員(ポートランド市住宅局)とランドスケープカンパニーのメンバーが参加しています。法律や規則といったテクニカルな面の運用は重要なので行政の参与が必要なのはもちろん、民間業者であるランドスケープカンパニーも参加することが、「活性化」の為に必要とされる原動力をもたらしているはずです。彼らにとって有益でなく、価値もないことを民間業者が行う理由はありません。資本主義の理論が染み渡っているのです。日本風に言えば、行政・不動産デベロッパー(更に私鉄の鉄道会社?)が皆で運営しているイメージでしょうか。やはりプロ集団の力が必要です。特にマーケティング技術と志向。理念は大事ですが、本当に理念を実現するためにはプロ集団の技術と、資本主義と収益性に裏づけられたパワーが欠かせないのです。

そして参加農家に求められるルールもストリクト(ベンダーになるための条件)。これは本気です。誰が決めたか分からない、漠然と決められた規則に結局は従っているという曖昧なものではなく、自分達で決めた厳しいルールを互いに守り、参加者にも課すというダイナミズムがたまりません。

最後に。
 地域を更正する。人々の味覚を更正する。そして人々の音楽に対する感性を更正する機会をも与えてくれます。オートチューンに毒された耳を癒す為のバンド達が会場には数多くいました。オールドタイムやブルーグラスのバンドが多かったです。爽やかで明るい、落ち着いた初夏のポートランドにぴったりの音楽。気持ちよかったです。

それにしても、アメリカが本気で社会的な運動、行動を起こした時の迫力と気合には追いつくことが出来ません。日本がポートランドのファーマーズマーケットから学ぶものがあるとすれば、ファーマーズマーケットは決して牧歌的なものなのではなく、技術的(マーケティング、自主ルールの作り方)なプロ集団の力が必要なのだということ。そして新鮮な野菜、健康的な生活を掲げ、人々を啓蒙するという教条的な思想と、資本主義(民間業者や行政を巻き込むための理由)が高度に結びついた舞台であるということを知る必要があるでしょう。それでも、スーパーに行けば新鮮な野菜が手頃な値段で十分に買える国であっても、面倒くさいことをしてまででも、彼らのファーマーズマーケットを真似てみる価値は十分にあると信じます。

難しい話はさておき、おすすめのショップ&食べ物はこちらから。
おいしい食べ物自体はもちろん、気候も会場の雰囲気も全てが最高でした。
「ポートランド・ファーマーズマーケットで見つけたおすすめ」
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2013/10/12.html 

ポートランドのまとめです。ご参考。
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2013/11/blog-post_4735.html

Oct 26, 2013

ポートランド・ファーマーズマーケットで見つけたおすすめ

とても気持ち良い雰囲気のファーマーズマケット。散歩と朝ごはん、お土産を買うのにも最適でした。ポートランドのエッセンスが詰まっています。見ているだけで楽しいベンダーと会場の写真を紹介します。とにかく、うまいものばかりです。さすがポートランド。
1992年から始まったファーマーズマーケットは、ポートランド市内の7カ所の会場で開かれています。今回は毎週土曜日の午前中に開催している、PSU(Portland State University/ポートランド州立大学) 会場を訪れました。毎日いずれかの会場で開催されているので、何曜日にポートランドを訪れても参加できますね。PSU会場が最もベンダーの数が多くて賑やか、かつ観光でも訪れやすい場所にあるので、土曜日に訪れることが出来て幸運でした。

会場は路面電車MAXのPSU/SW 6th Montgomery駅から、SW Harrison St.を2ブロックほど歩いた公園にあります。緑と木漏れ日が美しい広場です。周辺は大学キャンパスを形成していて、大学関連の建物が立ち並んでいます。街中のキャンパスでありながら、緑が豊かで美しいです。

みな、思い思いにくつろいでいます。たくさんの人で賑わっていましたが、決してゴミゴミはしておらず、あくまでも落ち着いたリラックスモード。こちらの人は基本的な動作や仕草が、何やら落ち着いていますね。そして家族、ご近所さん?含めて、休みの日をこうやってのんびりと過ごすなんて、うらやましいです。それにしても、お客さんはコケイジャンばかり(約8割?)。ポートランドの街中を歩いた限りでも、それほど人種的多様性を感じませんが、ファーマーズマーケットはより一層その傾向を感じました。



色の洪水!日本では見かけない野菜も多々あり、眺めているだけで楽しいです。どんな料理にしたらおいしいのか。そんなことを考えながらの散歩は、foodie pleasureでした。アーティチョークは日本では見かけませんね。どのベンダーも野菜をどさっと、ラフに積み置きしている印象ですが、実は色取りや見栄えをしっかり計算しているはずです。オレンジ&赤のミニトマトの色のコントラスト。美味しそうに見える山積み具合。視覚的な印象は重要です。しっかりと考察を踏まえ計算しているのに、あくまでも自然体に見せるのです。

朝食のおすすめ
・「パールベーカリー」Pearl Bakery http://www.pearlbakery.com/
パール地区(パウエルブックストアの近く)にあるパン屋はファーマーズマーケットにも出店しています。ずっしりとしたバナナブレッドがおいしかった。近くにはコーヒーベンダーもありました。地元な有名なパン屋として、サンフランシスコ・ミッション地区にある「タータイン」 Tartineのような存在でしょうか?(過去記事

・果物もあります。ベリー系の充実っぷりはアメリカらしいなと思います。 桃もありました。皮をむかないで、食べている人を見かけました。おなじみの食材でも、食べ方が少しづつ異なるのが、外国で見つけた小さな発見です。小さな違いがおもしろいですね。

・もちろんミートラバーも満足できるベンダーはあります。ホットドッグの店、アルバータ通りで有名な「パインステートビスケット」Pine State Biscuitを見つけました。フライドチキンを挟んだビスケットサンドイッチが絶品です。かなりの行列でした。名前は忘れてしまいましたが、サラミの店で試食したドライサラミも最高。

おみやげのおすすめ
・「フレディーガイズヘーゼルナッツ」Freddy Guys http://www.freddyguys.com/
ポートランドでよく見かけるヘーゼルナッツを買うならぜひここで。試食させてもらって、店の人と会話をしてコミュニケーションを取りながら買ったお土産はより一層、思い出に残りました。ガーリック風味はビール党、チョコがけは皆にぴったり。愛想のよい店員さんでした。

・「チェリーカントリー」Cherry Country http://thecherrycountry.com/
オレゴン名物のさくらんぼの店です。きれいな箱に入ったチョコがけのさくらんぼは日本人の お土産にぴったりだと思います。ギフトらしい体裁を望むのならば。この店はBS-TBSの「アメリカの街」という番組に登場していました。 家族経営です。日本のテレビで見たよ!とお姉さんに話しかけたら、何やら嬉しそうでした。

行きたい店リストなんて作らないでください。いっそ事前情報を仕入れないで訪れた方が感動が増すかもしれません。食べ物を食べるという当たり前の行為がこんなにも神聖で重要なんだと、再発見をしました。工業生産された加工食品を大量に消費する国でありながら、アーティサナルな食文化も世界に発信するアメリカのパワー。良い方向にも、悪い方向にも、食文化を牽引する力を持った国なのです。そしてポートランドの食文化!じわじわと伝わってくる感動が気持ちよかったです。

後半では、こうしたファーマーズマーケットの日本での開催が難しそうな理由、それでも真似する価値があるのではないか?と考えてみます。
「ファーマーズマーケットの開催は日本では難しい」
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2013/11/blog-post_14.html

ポートランドのまとめです。ご参考。
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2013/11/blog-post_4735.html

Oct 6, 2013

自然の遊び場 ポートランド・ワシントン公園

観光ガイドブックで必ず目にするポートランドのワシントン公園。手軽にハイキングをしてみませんか?一番のお勧めは、樹木園(Hoyt Arboretum)と、Wildwood Trailという森の中の散策路。Pacific Northwestらしい豊かな森林の風景を手軽に楽しめました。定番の観光地の一つであることに間違いはないけれど、決して賑やか過ぎず、落ち着ける雰囲気であるのがポートランドならでは。ニューヨーク・セントラルパークをデザインしたオルムステッドの一族がデザインした公園でもあります。一日では物足りませんでした!
ポートランド市内からは、路面電車MAXのWashington Park駅で降りてください。ダウンタウンから近いです。公園の地下に位置する駅からエレベータで地上に上がると、そこがもう公園です。駅前からは園内を一周するバスに乗れます。また動物園、World Forestry Center(世界の樹木について学べる博物館)は駅の近くです。日本庭園、バラ園は駅からは距離があるので、バスが便利です。時間があれば公園の森林を駆け巡る列車(Zoo Railway)も楽しそう。いずれにせよ、季節によって運行状況が異なるそうなので、ホームページで確認した方がよさそうです。
まずはバラ園から。どうしても行く場所を一つに絞らないといけないとすれば、バラ園は欠かせません(正式には国際バラ試験庭園/Rose test garden)。こんな美しいバラ園を無料で楽しめるだなんて。みな思い思い楽しんでいます。外国の人は写真をパチパチ撮るイメージがあまりなかったのですが、さすがに花の美しさを目の前にして、記念撮影をする人、バラを熱心に撮影する人を数多く見かけました。更に冒頭の写真のように、ミュージシャンがハープまで弾いています。ハープ、バラ、からりとした空気、光の質感、青空。全ての美しさを自分で感じ取る、感性が磨かれる感じがたまりません。ディズニーランドとかに、何千円もはたいて行くことが馬鹿らしく感じてさえきました笑。
そして一番のおすすめは、樹木園(Hoyt Arboretum)と、Wildwood Trail。MAXの駅からバスに乗り樹木園のビジターセンターへ向かいます。本数が少ないので注意。駅前のForestry Centerで時間を潰していました。ビジターセンターでは、親切なボランティアのおばあさんが、ハイキングの計画作りを手伝ってくれました。「Pacific Northwestらしい風景を見たい」と伝えたら、丁寧にマーカーで地図にメモをしてくれました。今回の旅行で出会ったポートランドの人はみな親切です。そして初対面の人とも社交的。このビジターセンターにはトイレもあるし、ボトルウォーターも売っている。ギフトショップもあるので便利です。
ビジターセンターの周囲が樹木園。そこを抜けると、Wildwood Trailです。このトレイルはワシントン公園を抜けて、フォレストパークというより本格的なハイキングエリアへと通じています。岩場がなく、傾斜も緩やかで歩きやすい道でした。トレイルランをしている人も見かけたので、海外でランしてみたいと思っている人にも、ぴったりでしょう。イメージは、神戸にある森林植物園を何倍も大きくした感じです。
 
美しい森林。言葉は要りません。樹木園の園内はテーマによって植生が異なります。もちろんアメリカ北西部らしい森林も見れます。一枚目の写真です。セコイヤ、レッドウッドのうっそうとした雰囲気が美しい。わざわざ山奥に行かないでも、ポートランド市内でお目にかかれるとは。ポールニューマンの「わが緑の大地」という映画のような光景です。Ken Keseyの"Sometimes a great notion"という小説そのもの。二枚目の写真がWildwood Trail。普段はランしない自分でも、トレイルランにはまる人の気持ちがよく分かるトレイルです。フォレストパークまで行くと結構遠いので、ピトックメゾン(Pittock Mansion)までトレイルを往復しました。ピトック邸に行きたいとビジターセンターで伝えれば、道を教えてくれました。ちなみに、日本の公園とは違って、食べ物を売っている場所をほとんど見かけませんでした。公園に行く前に昼ご飯を用意しておいた方がよさそうです。

それにしても理想的な公園でした。まるでディズニーランドのように、徹底的に理想と夢を追求したという雰囲気があります。あくまで自然体を装いながら。それもそのはず、ニューヨーク・セントラルパークを設計したオルムステッドの一族が携わった公園なのです。ジョン・チャールズ・オルムステッドという人です。兄弟で「オルムステッド・ブラザーズ」という会社を興していたのです(コーエン、リーマンにならぶ有名兄弟?)。

とはいえ、そもそもは公園設計の知識も何も無いドイツ人の設計家が見よう見真似で公園をデザインしたのが発端であったとのこと。彼の中にある母国ドイツの公園の記憶を頼りに設計したのだとか。あくまでも自分で何でもやってみるDIYの精神で、アーティサナルなヨーロッパを再現してみせるというのは、まさにポートランドらしいです笑。

そしてこれじゃいけない、と気づいたのか(DIYには素人の限界があったのか?)、オルムステッドがリデザインして今の姿になったそう。いずれにせよ、ヨーロッパ的な美しさ(彼らが美しいと思うもの、それは全世界的に絶対的に美しいということではなくて)と下地が横たわっています。公園そのものの美しさ。そして公園を取り巻く社会環境の存在(ヨーロッパに比べれば薄いが、やはりアメリカには階層というものがあり、階層と文化教養のレベル差が文化資本の度合いとして連動していること)。コケイジャン文化をここにも垣間見ることが出来るあたり、アジア、日本ではあまり目にすることが無いものとして、いわゆる異文化に触れた時の発見と感動を覚えるのかも知れません。

そもそも皆のための公園というものは、なかなか存在することが難しく、階層と文化レベルの差が結びついている社会であることが、美しい公園が存続する為の条件なのかも知れません。ですので、かつてのドイツ人設計家のように、見よう見まねで日本にもワシントン公園を再現しようとした所で限界にぶちあたりそうです。

ポートランドのまとめです。ご参考。
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2013/11/blog-post_4735.html

オレゴン州の日系人

日系人の足跡に興味があります。ポートランドの日系アメリカ人記念館/Oregon Nikkei Legacy Centerを訪れました。カリフォルニアなど他の大都市に比べると日系人コミニティの規模は小さいですが、ここオレゴン・ポートランドでも彼らの足跡を学ぶことが出来ます。もしも自分の先祖がアメリカに移住していたら?と考えると、何やら人事ではない気がしてくるのです。
日系アメリカ人センターはチャイナタウンの近くです。路面電車MAXのOld town/Chinatown駅からDavis St.を歩いて1ブロック。Davis St.をこのまま歩くとクラフトミュージアム(過去の記事)があるパール地区。ポートランドは1ブロックの距離が他の街よりも短いので、散歩するのにも便利な街です。
クラシックな雰囲気の建物が並ぶ街並みからは、アジア系、そして日系人の面影を感じることはありませんが、オールドタウンと呼ばれるこのエリアには、かつて日系人の商店やホテルが立ち並んでいたのだそう。LA、サンフランシスコに比べると、あまりにも当時の名残を感じません。日系人の絶対数が少なかったのはもちろん、農業が盛んなオレゴン州では他都市以上に都心部から離れた農園で働く人口の割合が高く、居住区域としての需要が都心部にそれほど求められなかったという理由があるのではないでしょうか。LAだって農園はあったと思いますが、あまりにもオレゴンは山がちで、移動が容易ではなかったのでしょう。

センターでは職員が簡単に説明をしてくれました。自分はもう社会人なのに博物館や教育施設に来ると「あなたは学生?専攻は?アメリカには留学に来たの、それともビジター?」と間違われてしまいます。そして「なぜポートランドに来たの?なぜ日系人について知りたいと思ったの?」と聞かれました。特に深い意味の無い挨拶のような会話ですが、改めてこう質問されると色々と考えることが多いです。どんな場面でも簡潔に自分の意見を言えるようになりたい。

「この施設は展示の為の展示にとどまらず、オレゴンに住む日系人に関する教育・研究拠点であり、彼らを結びつけるきっかけ(socialize chances)を設ける為の場所でもあるのだ」と職員が語ってくれました。彼らを結びつける為のきっかけを作る、という発想は好きです。そしておもしろいことに、説明をしてくれた職員を含め、他の方達も必ずしも日本人の血が入っている訳ではないばかりか、自分が訪れた日にはコケイジャンの方しかいませんでした。とても興味深いことです。日本人・日系アメリカ人のこと、マイノリティである私達以外の大多数の人達に興味を持ってもらうことは重要です。レーガン政権時代に日系人の名誉回復がされて以来、どのようなメッセージを伝えられているでしょうか?問題を問題として認識して欲しいと、幼稚に声高に主張するつもりは到底ありませんが、存在感を示したいです。

ちなみにオレゴン州には「オリエント」という小さな町があるそうです。昔、スコットランド系男性に嫁いだ日本人女性(いわこしみよ さん)にちなんで名づけられた街なのだとか。まだまだ語り継ぐべき日系人のストーリーはたくさんあります。

ワシントンDCの日系人記念碑も必見です。渡辺謙さん&ミネタ元DOT(アメリカ運輸省)長官のインタビュー番組に登場していました。(過去の記事です)
「日本人なら忘れてはいけないモニュメント」
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2013/07/blog-post.html

ポートランドのまとめです。ご参考。
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2013/11/blog-post_4735.html

Oct 2, 2013

ポートランド・クラフトミュージアム

さりげないセンスが光る、ポートランドのクラフトミュージアム。陶芸好きはもちろん、地域と美術館の関係を考えている方にも良いネタになるのでは?ポートランド中心街のパール地区/Pearl Districtにあります。かつての倉庫街がアート地区として再開発されたエリアです。同じような背景を持つニューヨークのSOHOやチェルシーみたいに、ギラギラしていないのがポートランドらしさでした。「グリーンネイバーフッド ー 米国ポートランドにみる環境先進都市のつくりかたとつかいかた」を読んで関心を持った方、まずはパール地区・クラフト美術館から街歩きを始めてみてはどうでしょう?
 クラフトミュージアム/Museum of Contemporary Craftは、路面電車MAXの"NW 6th & Davis St"から、Davis Stを1ブロック歩くとすぐに到着。NWはもちろんNorth Westのことで、ポートランドの町は東西南北に分かれて、それぞれNW・NE・SW・ SEと呼ばれています。街の中心街、そしてパール地区はNWに属しています。美術館の建物はごくごく自然に街並みに溶け込んでいました。うっかりすると通り過ぎてしまいそうな、おとなしいこの建物が美術館です。
中は1階と2階に分かれていて、1階では企画展、2階では常設展。入館料を払って、まずは常設展からスタート。こじんまりとした展示でしたが、さりげないセンスのよさ。さっそくルーシー・リーの作品を発見。有名なピンクの器がありました。大阪の東洋陶磁美術館で見た時のままでした(ルーシー・リー展)。 ガラス、金属、木、陶器、磁器と素材の違いで印象が大きく異なります。眺めているだけでおもしろいし、そして日常生活で使ってみたい、自分の家に飾ったらどうだろうか?と考えてしまいます。日常生活との近さが魅力です。
そして企画展は「The Bowl」というもの。地元作家が作った器を住民に貸し出す。自分で料理を作って盛り付ける、そしてみんなで食べる。最後にその写真をtumblrに投稿してシェアするという企画だと、キュレーターが教えてくれました。fun.のボーカルにも似た、文科系の人でした。

こうした企画を通じて、コミュニティーと地元の美術館が結びついています。日本でも比較的小さな地方都市でこそ展開しやすそうな活動。今時は、「地元財界の名士が集めた豪華コレクションをどーんと大公開」だなんて、明治時代ばりの見せびらかしの趣味はクールではありません。地元作家の作品を地元の人が愛でる、しかも日常生活の中で。なんて暖かいのでしょう。

ただ漠然としたまま活動を終わらせないようにするには、「地元の人、コミュニティーを日常の芸術を通じて啓蒙してやるのだ」という多少の上から目線があったほうが、方向性がきちんと定まりそうです。健全で優しい心の持ち主である、日本人には啓蒙思想はうっとうしいかも知れません。しかし、コミュニティーとの付き合い方が「お友達感覚」程度では、メッセージ性や何か主張したいことを伝えきれなくなってしまいかねません。

キュレーターは折角だから貸し出してあげるよ、と誘ってくれましたが旅行中なので断念。残念。代わりにギフトショップでローカル作家の作品を手に入れました。クラフトなら「サタデーマーケット」も良いのですが、クラフト美術館のギフトショップの方が、よりアートっぽくて、洗練された雰囲気です。デパートのアートコーナーを、もっと若者向けに自然&モダンな雰囲気(要するにゴテゴテしない)にしたイメージでしょうか。サタデーマーケットは良い意味で手作り過ぎるのです。

そしてこのショップの職員がとてもフレンドリー。「食事と器の組み合わせを考えるのは楽しい」と話をしていたら、「私が日本(京都)に留学していた時、決して高級ではない街の居酒屋でも、そして家庭でも、日本人はより日常生活に近い場面で、食事と器の組み合わせというアートを実践していたのよ」と京都に留学経験があるという職員は感想を教えてくれました。普通の人が、日常生活で実践しているという点は重要ですね。高級で洗練された店やシーンが素晴らしいのはどこに行っても当たり前で、日常生活でいかに実践出来ているか?が真のかっこよさでしょう。エコノミックアニマルに過ぎない日本ですが、私達の日常生活は何気に文化的な側面を大事にしているのですよ笑。

最後に番外編。 
 みんなでペダルをこいで進んでいくビール自転車。カメラを向けるとポーズをとってくれました。皆さん気さくです。そしてポートランドでは(というかアメリカでは?)、初めて会う人にも、こちらからニコっと笑顔を見せると、相手も快く対応してくれるケースが多いような気がしました。日本にはあまりない習慣かもしれませんが、コミュニケーションを取る上では、大事なことかも知れません。キュレーターも、ギフトショップの職員も、短い時間でありながら心地よい会話を導き出してくれる人達でした。初めて会う人とのコミュニケーションが上手です。社交性が多いにもとめられる社会ならではなのでしょうか?

ポートランドのまとめです。ご参考。
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2013/11/blog-post_4735.html

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