Oct 16, 2011

フィリップスコレクション(アメリカンモダンアート)

10月の3連休、帰省ついでに「フィリップスコレクション」を見に行きました。六本木の国立新美術館で開かれています。久しぶりの六本木。ミッドタウンの前にはメルセデスコネクションというショールームが出来てました。あいかわらず港区だなー。

フィリップスコレクションは、ワシントンDCにある私立美術館。鉄鋼業で財を成したフィップス家が築いたコレクション。「ヨーロッパに限らず、現代アメリカンアートでも自分のお気に入りがある限り飾り続ける」というのがフィリップス氏のモットー。自国の同時代の現代アートを支えたいという思いを持つ一方で、偏った愛国主義や一時的な流行とは距離を置いていたそうで、そのバランス感覚がいいですね。ヨーロッパ至上主義とでもいうか、「"おヨーロッパ"こそが文化の主流」という考え方は好きではないので、フィリップスの適度なバランス感覚に惹かれました。それがこの展覧会に興味を抱いた大きな理由の一つでした。

初めて見る絵が数多くあり視野が広がりました。それにしても、東京の展覧会は自分と同じ20代のお客が多い!自分と同じ年代で絵に興味がある人が数多くいることに救われる思いがします。展覧会に来ている若い人の多さは、イコール東京(首都圏?)の文化水準の高さを示しているとまで言うのは、さすがに言い過ぎでしょうか笑。

展覧は時代別に分かれつつも、それぞれにテーマが設けられています。一番気にいったのは「都市」に関するコーナー。ニューヨークの都会模様を描いた絵が何点かありました。大都会に対する感情と質感を見事に描いた絵ばかりで、かなり見入ってしまいました。
 
 
(http://american2011.jp/highlight.htmlより引用)


エドワード・ホッパー「日曜日」「都会に近づく」
ジョン・スタローン「冬の6時」
エドワード・ブルース「パワー」

この4点が最高でした。これらの絵を眺めながら思ったこと。JAY-Zとアリシャキーズの曲である"THE EMPIRE STATE OF MIND"がとても似合うなということ。ヒップホップがお似合いの絵画展なんて、なかなか存在しないかも知れませんね。

例えば"I USED TO COP IN HARLEM"の頃はホッパーの「日曜日」に登場する男性のようなイメージでしょうか。成功する前は誰だってこんな姿でほっつき歩いているもの。もっとも当時はマクドナルドも、レクサス(オフホワイト)も無かった時代ですが。そして成功する前の彼はきっと、「都会に近づく」の様なイメージの場所で活動していたはずでしょう。この絵はきっと、メトロノースがグランドセントラルに近づくにつれて、地下に潜っていく所だと思うんです。ちょっと物騒そうなあの界隈。ちなみに「冬の6時」もニューヨークでしょうか?お隣の人はシカゴだと言っていましたが(確かにシカゴのエルっぽい)、自分はニューヨークの地下鉄だと思います。とはいえニューヨークは夢をかねるための町。その内に"I'M THE NEW SINATRA"になった彼は、トライベッカ(デニーロのそば)に住みだすようになるのです。そこに登場するのが「パワー」の絵。その名もパワー。この作者自身が起業家として成功した人物だそうで、自己陶酔している面が多少あるかも知れません笑。なんたってパワーなんてタイトルをつけるくらいなもので。この絵とても気に入りました。文字通り"CONCRETE JUNGLE WHERE DREAMS ARE MADE OF"です。これ程に素晴らしい街ならば、「日曜日」でしょげている彼が座っている通りも"THESE STREETS WILL MAKE YOU FEEL BRAND NEW"だから、今すぐにがんばって欲しいもの。

モダンアートなので、全体的に雑誌の"ニューヨーカー"の表紙を見ているような印象を受けました。昔ホイットニー美術館に行って以来、モダンアートが好きになりました。日常生活で自分が感じる質感や電波を表してくれ、感動を与えてくれるのがモダンアート。こてこてのクラシックもいいですが、今に生きる人々にこそモダンアートが訴えるものは大きいと思いました。

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