Feb 23, 2014

ブルックリン、ピザ以上のピザ屋さん

ブルックリンにあるピザ屋のロベルタ/Roberta's。味はもちろん、存在自体がかっこいいレストランにお腹も心(そして頭?)も大満足!マンハッタンから地下鉄LラインのMorgan Ave駅で降りて徒歩数分なので、かんたんなアクセス。おしゃれとか、トレンディーとかの次元を越えた一つの象徴的な店かも知れません。
ブルックリンのブッシュウィック/Bushwickにある、この廃屋こそがまさかのレストラン。地下鉄LラインのMorgan Ave駅で降りて地上に出たら、目の前のBogart Stを進み、Moore Stを曲がると到着です。GWに訪れたので春の光が美しい一日でした。店までの道のりには面白い街並みが広がっています。これだけでも楽しかった。(過去記事「ブルックリンで最先端を走るブッシュウィック」で街並みを紹介しています)
 
 さあ扉を開いて中へ進みます。土曜日の昼時ということもあって、賑わっていました。雑然とした内装ですが、不思議とオーガナイズされていて統一感があります。文字通りヒップです。そしてその内装に負けじと劣らず、店員もお客さんもヒップな人達ばかりです。ヒップスターパラダイスですね。

早速ビールを頼みました。ヒップスターのお姉さん店員は笑顔なんてくれないと思い込んでいましたが、こちらから笑顔でハーイ!と話しかけると、愛想よく、クラフトビールのおすすめを教えてくれました。はっきりした英語でハーイ!とこちらから話しかけることが、アメリカのレストランでよいサービスを受けるためのコツではないでしょうか。こうすることで、(例えふんだんに支払う意思はなくても)、少なくともアメリカのチップ文化を知っているお客さんだと、店員側が認識できるからです。サービスと笑顔はどうやら無料ではないのです笑。

クラフトビールはその日は5種類。ブロンクス・ブルーワリー/Bronx BreweryのIPAを飲みました。いかにもクラフトビールだなと思える、しっかりした味のビールを飲みたい時にはIPAが間違いないように思います。ジャムのジャーのようなビン容器に入ってきてきます。もちろんワインの種類もあるので、おすすめ。それにしてもアメリカはクラフトビールの種類がたくさんあるので、どこに行っても楽しみです(結構高いのですが…)。

お待ち兼ねのピザが到着!一人でも一枚食べきれるサイズでした。マルゲリータ、最高の味!2人で一枚は物足りませんでしたので、色々頼んでみましょう。

お腹がいっぱいになった所で店内を見回すと、やはり注目を浴びるだけの店だなと思いました。東京や大阪にはかなり本場なおいしいピザ屋が最近あるので、味そのものは日本でも思い出すことができますが、店員とお客さんが醸し出すヒップスターな雰囲気は本場ならでは。そして一つのレストランでありながら、社会的なメッセージを発信しているこの店の存在はやはり特筆に価するものでした。

例えば店内で栽培されている野菜。ピザに供されるこれらの野菜は、アリス・ウォーターズ/Alice Watersの資金提供により実現したアイデアなのだとか。レストランが使う食材は極力ローカルのもの、究極的には自分達で栽培するというのは、まさに彼女の「食の革命」の実現ですね。そしてクリントン夫妻(娘のチェルシーさんも)は民主党のトップ資金提供者の為のパーティーをこの店でやったのだとか。ただボヘミアンな雰囲気だけではなく、政治家や社会活動家も関係している社会的な側面があります。

またHeritage Radioというラジオ局もこの店で設立されています。食文化を伝えるラジオ局。このラジオ局はキャシー・アーウェイ/Cathy ErwayというブロガーがEat you wordsというラジオ番組をやっています。"Not eating out in New York"というやはり食文化に関するブログを書いている彼女は、NHKのニューヨークウェーブという番組に登場していました。

お腹を満たすだけではなく、心と頭(知的好奇心)も満たすことが出来るレストランでした。クラシックな人気を誇るピザ屋もよいですが、こうした社会的なメッセージも発信している現在進行形のピザ屋について、私達観光客も支えていく、ひいては瞬間的にその輪に加わるというのは素敵な体験ではないでしょうか。

(備考)アリス・ウォーターズに関して

「とってもグルメなバークレー」
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2012/06/blog-post_16.html
彼女の店があるカリフォルニア・バークレーは「食の革命」の発信地。シャタックアベニューという通りはグルメゲットーとして知られており、彼女のChez Pannisに限らず、The Cheeseboardというピザ&チーズショップもおすすめです。 サンフランシスコから電車で簡単にアクセス出来るので、サンフランシスコを訪れる際はついでにどうぞ。

「ワシントンDC・スミソニアン博物館での新発見」
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2013/06/dc.html 
彼女の活躍はカリフォルニアだけに留まらず、アメリカ政治の頂点であるワシントンDCでも繰り広げられています。ホワイトハウスにedible garden(小さな農園)を作ったり、そしてスミソニアン博物館にも彼女の活動が記録されています。その名も"food for the people"。バークレーフードピラミッド/Berkeley Food Pyramidというアーティサナルな食べ物に関する図式が印象的。更にはナショナル製の炊飯器も展示されており、日本人には印象的です。

Feb 8, 2014

ブルックリンで最先端を走るブッシュウィック

ブルックリンで最先端を感じたいならブッシュウィック/Bushwickへ。名高いピザ屋のRoberta's へ向かう途中で見かけたヒップスターと街並みを紹介します。おいしいピザと、かっこいい人間達。自分で楽しさを見つけるDIYな街歩きでした。
Bushwickはブルックリンのエリアの一つであり、地下鉄のM&Lラインが通っています。今回はマンハッタンからLラインでMorgan Av駅を目指しました。ピザ屋Roberta'sの最寄駅だからです。マンハッタンからのアクセスを考えるとLラインがおすすめ。ヒップスタートレインとも呼べる程に個性的な街を連ねています。ブルックリンのヒップスター文化、近年の開発と高級化を象徴するラインです。ブルックリンの入門・ウィリアムズバーグ/Williamsburgの最寄駅Bedford Av駅から5駅なので、ぜひ足を伸ばしてみてください。ディズニーランドみたいなウィリアムズバーグ(disnefied Williamsburg)よりも、リアルな世界を楽しめます。

今回はMorgan Av駅から、Bogart Stを数分歩き、Moore Stを曲がってピザ屋に到着するまでの道のりです。わずか数分の散歩ですが、かなり刺激的です。夜遅くなってからはおすすめしません。タクシーもあまり見掛けなかったので、不安ならば昼にしておきましょう。

Bushwickはまだまだタフでインダストリアルな地域ですが、2000年代からヤングプロヘッショナルな人達の流入が続いています。他地区と同様に、再開発とエリアの高級化(家賃上昇)が進んでいるとのことですが、無骨な雰囲気とヒップスター達は今でもエリアの象徴です。ちなみに1977年の地区一帯の停電に伴う暴動はエリアに荒廃をもたらし、他地区に比べて復興が大分遅れてしまった経緯があるようですが、移民流入(特に中南米系)はマルチエスニカルな多様性を街にもたらし、この混沌とした雰囲気が今でも若者を引き寄せているのだと思います。
 
 
   
コメディ番組のポートランディア/Portlandiaが好きな人。何にせよインディーが好きな人。Urban Outfittersの服やアクセサリーのようなヒップなものが好きな人。そしてアートやファッションの仕事をしている人達にとって、目にするもの全てがお手本になる街並みだと思います。
 
オーガニックショップに、コミュニティーガーデン。最近の大都市開発を語る上で象徴的とも呼べるアイテムも存在していました。「都市はなぜ魂を失ったか(原題:The Naked City)」という、シャロン・ズーキン/Sharon Zukinさんの本を読んだので、実際にフィールドトリップを行うことが出来ました。
 
冒頭にも掲げた写真ですが、ウォールアート。このあざやかさ!ぜひお気に入りのアート作品を探してみてください。自分だけの観光名所です。
まだまだタフな街並みが続くのかと思いきや、Moore Stを曲がると店に到着。この赤い看板が目印です。全くブッシュウィックの予備知識が無い人を連れて行ったら驚きです。すっかり気に入るか、無骨すぎて拒否反応を示されてしまうか笑。店のレポートは次回の記事で紹介します。
ちょっと絵になる景色だと思いませんか?インダストリアルでタフな地域ですが、どことなく絵になる景色を時折目にしました。これがニューヨークらしさだ思います。例えば同じようなタフな地域として、ロサンゼルスのセントラル地区(South Central・Union StationやChinatownの一帯)が思い浮かびました。あちらは太陽がまぶしいのに、妙な寂寥感と孤独を感じるのです。しかしブルックリンの街並みは、例え初めて来てすぐに帰ってしまう旅行者であったとしても、不思議な一体感を感じるような気がするのです。

また不思議なことに、個性的であることが絶対命題とされるはずのストリートカルチャーは、どういう訳か、そのヒップでオフビートなさじ加減が全世界で似て来てしまうように感じます。ファッション、エンターテイメント、アートあらゆる場面において。それはひとえに、ニューヨークとブルックリンの発信力が強すぎるからかも知れません。今、ブルックリンにはヒップスターを目指すアートなヨーロッパ系の若者が現代版移民として流入しているとのこと。また時折おしゃれな日本人の方を見かけました。大西洋を挟んで元から結びつきが強いヨーロッパはもちろん、今の日本は不思議とブルックリンに大きな関心を抱いています。なぜそれほどに、ブルックリンは影響力を持っているのか?ぜひ自分の目で確かめてみてください。米軍やゴールドマンサックスが世界最強のハードパワーであるならば、ブルックリンこそが平和と愛の使者なのかも知れません。

Feb 5, 2014

スーパーボウル2014のおもしろ実況中継

シアトル・シーホークスが優勝を決めた2014年のスーパーボウル。ツイッターではおもしろい実況ツイートが繰り広げられていました。それはフェミニストの視点から見たアメフト・スーパーボウルの実況中継。コメディ番組"Portlandia/ポートランディア"の企画として、本物のフェミニスト書店のスタッフがツイートするというもの。さすがにゲームそのものへの言及は少ないのですが、政治的な社会風刺?を展開する爆笑ツイートは、コメディとフェミニズムの本番だからこそ成しえるネタでした。

コメディ番組"Portlandia"はIFC (Independent Film Channel) というアメリカのケーブル局が放送している人気番組。NBCのSaturday Night Live (SNL)で人気を博したフレッド・アーミセン/Fred Armisenと、キャリー・ブラウンステイン/Carrie Brownsteinが競演しています。オレゴン州ポートランドを舞台に、個性的な街の住民(愛すべきヒップスター達)を描いたスケッチコメディです。かつて日本で人気を博した「ワンナイ」のような雰囲気といえば分かりやすいでしょうか。当時のワンナイはSNLをお手本にしていたそうであり、その点で風刺の度合いが他の番組よりも鋭かったので大好きでした。

そして番組に登場するキャラクターが、"Toni and Candance"というフェミニスト書店の店員です。これは実在するフェミニスト書店を模しています。ポートランドにある"In Other Words"というお店です。店への訪問記は過去の記事(「本当にあったフェミニストのための本屋」)を参照してください。このコントにちなんで、フェミニストによるスーパーボウル実況ツイートが行われたのでした。

How many bowls of vegan chili is too much? Seven(teen)? help. 
試合観戦に欠かせないのが食べ物。間違ってもバッファローウイング(Locally grownかも、free rangedかも分からないので)ではありません。

COIN TOSS. 
そして試合開始です!
fur coat is doing #SuperBowl coin toss. What does that animal org this of this?  
しかし欠かさずこのコメント。PETAですか?

what is a first down? As it the first time you went down? On who?
That person just ran a long way with the ball and now everyone is cheering. What's going on?
もちろん、ゲームについてはあえて触れません。
Peyton Manning: feminist?
来ました!

I AM FREAKING OUT RIGHT NOW. CLOWNS! WOMEN IN BIKINIS. where are their pants?
いよいよ本領発揮。試合展開について言及は無いのですが、中継中のコマーシャルや時折写るお客さんについて、どしどし突っ込みが始まりだしました。男性が登場する自動車のCMについて、突っ込みが相次ぎます。

that person isn't wearing a shirt. at least there are pants.
レッチリについて。ハーフタイムショーですね。
For the 1st time in recent history all of the #SuperBowl performers are wearing pants. gasp. #progress 
プログレス、時代の進化。

People in tight pants. Hugs. Glitter. Cameras. Crying. Pacific Northwest. A True Blessing. HAPPY PRIDE Y'ALL! Equality for everyone.
そしてシアトルの勝利で幕を閉じました。前半で試合が見えてしまった為、ハーフタイムショー以降のツイートは割愛します。

ここまでやるか?という徹底的なギャグで笑わせてくれるのが番組の面白さです。知性とお笑いの結合です。こうすることで、知的な議論が等身大の姿を保ちつつ、その要素を社会に知らしめることが出来ると思うのです。中途半端なポピュラリティに陥ることなく、こうしたお笑いが存在していることは、見習うべきことの一つなはずです。

POPULAR POSTS