Jun 26, 2013

ワシントンDCのハーレム(Uストリート)

ピーカンパイとポーボーイサンド。アメリカ南部料理がおいしかった「イートンビル"Eatonville"」というワシントンDCのレストラン。ワシントンDC版ハーレムともいえるUストリートは、オバマ大統領がいる時代の内に、行っておきたいと思っていました。知れば知るほど、Uストリートは興味深いエリアです。
ワシントンから全世界へ、キング牧師が平和のメッセージを伝えた一方、そのお膝元であるワシントンの街には混乱がもたらされました。暴動によって混乱に陥った街は、しばらく人の目を浴びることがなかったのだそう。それでも地下鉄の駅が開業すると街の状況は代わり、今ではgentrificatedされている区画もあるのだとか。タフなmulti ethnical community (もしくはブラック)のgentrificationはワシントンDCでも例外ではありません。そしてUストリートには高級住宅街であった歴史もあるそうで、その歴史的過程はまるで、ニューヨークのハーレムのようです。歴史的な流れを後追いするから類型化されたように見えるのか、それとも何かしらのフォーマットがあって、不動産業界はそれに従えば成功できるのか?どちらがどちらだか、分からなくなってしまいました。
そして「イートンビル"Eatonville"」。ヒップな内装と店員に負けない、味のおいしさ。見掛け倒しではなかった!おすすめは、クラフトビール(ジャーに入って出てくる!)、ポーボーイサンド、ピーカンパイ。最近はちょっとよさげな店に行くと、クラフトビールを多く見掛けます。普通のレストランでも結構な種類があったりして、ブームを越えて定着しているかのよう。そしてピーカンパイ。ものすごい食べごたえ、アイスも添えて。しっとり感がよいです。店員に笑顔で勧められたら断れません笑。周りのお客さん同様、思わず写真を撮ってもらったくらいの内装(南部風の景色を描いた壁一面のモダンアート)がクール。よい意味で日本では見たことがない類のかっこよさでした。
レストランの前にはかっこいいカフェ&ブックストア。視の朗読会もやっているのだとか。店内はほとんどコケイジャンのお客さんばかり。"Dummies guide for running gentrified hip restaurant"なんてマーケティング本があったかも、と思ってしまうくらい、分かりやすいおしゃれな店でした。人々の好みが多様に分かれているのがアメリカのおもしろさと実感。しかも同じ街中でも1ブロック違うだけで、こうも異なるとは。
とはいいつつも、ヒップには少し飽きてきた所で、たどり着いたのがこの店。有名なベンズチリ"Ben's Chilli"。 実際そこまでおいしくはないのですが笑、しかしチリはうまかったですよ。トマトベースのチリコーンカンではなく、ピリ辛でソーセージによく似合います。「観光地の有名店」というカテゴリーに属する店だとは思いますが、それでも結構な地元感を保っているのが不思議なところ。有名なくせに飾らない。けれどもみんな知っている。っていうクールなバランス感覚が好きです。

観光地に飽きたらぜひUストリートを散策してみてください。歩いているだけで、人々を見ているだけで、なんか自分自身の感覚が刺激を受ける感じでした。(夜は早めに帰りましょう)
 (とはいえまずワシントンDCを一巡りしたければ、どうぞ。「一日で回れるワシントンDC

ワシントンDCのまとめページです。ご参考にどうぞ。
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2013/07/dc_17.html

Jun 23, 2013

一日で回れるワシントンDC

ワシントンDCは何気に広い街なのですが、一日でも十分に楽しめます。特に自転車(レンタサイクル)があれば最高です!自転車で巡るワシントンDCの思い出です。地元の人になった気分で自分の心行くまま、好きなだけ楽しんできました。
さっそく自転車を借りましょう。今回は"Bike and roll"というレンタサイクルショップを使いました。日本から事前に予約をしていくと便利です(予約時のメールを印刷して持っていくとスムーズです)。地下鉄の駅を降りたらすぐに場所にあるので、店への移動も便利です。Federal Metro Stationという駅です。そして親切な店員はおすすめルートや、主だった場所への行き方を教えてくれました。アメリカに旅行に行くたびにレンタサイクルを借りることが多いのですが("カリフォルニア・ナパバレーでサイクリング")どういう訳か、自転車屋の店員は親切な人が多い印象があります。
レンタサイクルショップはこの建物の右側下にあります。それにしてもものすごいビル。ワシントンDCは官庁や、何気ないオフィスビルがこうした趣きなので驚きですよ。近くにはEPA(環境保護局)のビルもありました。
まずはCapital Hill(国会議事堂)に行きたかったので、Pennsylvania Avenueを進みます。この通りだけ道路の真ん中に自転車レーンがあるのでおすすめ。赤信号では停まるなど、自動車と同じルールを守りましょう。もちろん右側通行。名所をちらりと見ながら進みます。この開放感は自転車ならではで心地よかったです。
そしてついにキャピタルヒルに来ました。感動的です。民主主義発祥の地がギリシャだとしたら、今の世界で民主主義の盟主はアメリカ。21世紀のパルテノン神殿?これはペンシルベニアアベニュー側から見た景色です。キャピタルヒルはその名前の通り、この写真の裏側が丘(高台)になっているのです。ビジターセンターは裏側にあるので、コンスティチューションアベニューをそのまま進んでいきます。
自転車を停めるならばキャピタルヒル・ビジターセンター前がおすすめ。厳密には連邦最高裁"Supreme Court"前の通りを隔てた場所に自転車スタンドがありました。連邦最高裁は残念ながら工事中なので、こう見えて垂れ幕なのです笑。連邦最高裁のビジターセンターもおすすめですよ。連邦最高裁ではゲイマリッジ(相続税を巡る訴訟を起こした女性)の審議中。三権分立"Three Branch" の内、ホワイトハウスやキャピタルヒルを差し置いて、連邦最高裁が地理的に一番高い位置にそびえたっているというのは、何だか象徴的だなと思いました。アメリカ国籍を持っていない外国人観光客にさえも感動を与える裁判所だなんて、世界中どこの国にありますか?

キャピタルヒルの見学は予約が必要です。ですが、ビジターセンターの展示だけでも十分におもしろかったです。ギフトショップもおもしろい。"ナンシーペロシちゃん・クッキー"、"ニュートギングリッチくん・せんべい"なんてのは到底ありません。民主主義の威厳を保つ為には、大衆・世論・マスコミ・商業主義に媚びる必要なんてないのです。現実には彼らの票田が何よりも重要だとしても、少なくとも迎合している暇なんてありません。
そしてキャピタルヒルとはナショナルモール"National Mall"を挟んで対極にあるリンカーンメモリアル"Lincoln Memorial"に向かいます。小雨が降っていましたが、ローカルを真似てレインコート(ノースフェースのジャケットだったりする)を着て自転車を進めます。途中で見えてくるのが連邦制度準備理事会"FRB"。一見地味に見えます。観光客も一人もいませんでした。しかしその役割を考えると、FRBはとてつもなく偉大な機関の一つです。これぞThe Power。

そしてリンカーンメモリアル。ipodでスプリングスティーンの"The Rising"を聴いていたら、何だか感動してしましました。民主主義のような理想を本当に実現したいのならば、それなりの舞台装置を作り出す必要があるのだと強く実感しました。東京の首都機能を移転する必要なんて全くありませんが(これほど小さい国で東京以外、どこに首都をおくのでしょうか?)、少なくとも千代田区の一部は、ワシントンDC並みの環境、舞台装置を設け、ただその場所が神聖で感動的だという記憶を作り出す必要があると思うのです。


最後にホワイトハウスを訪れました。財務省の近くで自転車を停めて、ホワイトハウスまでは歩いて行きます(ヘンリー・ポールソン前長官の回想録を読んだ後だったので、財務省も印象的でした)。その途中にギフトセンターもあります。言わずと知れたその建物を前に、あーテレビで見た通りだ笑、という感想しか思い浮かびませんが、建物以上に、様々な人々が思い思いに眺めている光景が印象的でした。特に3枚目の写真。なんとも素敵だなたと思った光景です。ワシントンDCには息を呑むような建物、様々な展示物があります。しかしそれ以上に印象的なものは、ワシントンDCが象徴するアメリカに引き寄せられる外国人観光客、自国の象徴を巡る学生(とにかく中高生っぽい団体が多いので)やアメリカ市民が、それぞれに自分の胸の中で何かしらの感動を味わっていると思われる光景です。世界遺産を巡る旅も、スピリチュアルスポットを巡る旅も興味深いのですが、民主主義という最も高尚な精神世界を具現した舞台装置とも言えるワシントンDCを巡る旅行は、今まで学校の勉強で教えられてきた与えられた民主主義からでは自覚することのない、その重要性を改めて発見できるはずです。

ワシントンDCのまとめページです。ご参考にどうぞ。
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Jun 3, 2013

ワシントンDC・スミソニアン博物館での新発見

ワシントンDCのスミソニアン博物館には、なんと"炊飯器"が展示されていました。外国の博物館に炊飯器だなんて想像つきますか?アメリカ史博物館/National Museum of American Historyは、航空宇宙や自然史博物館に比べると遥かに外国人向けではありませんが、自国の歴史をどう語るか?そしてどう展示するか?という課題を考えるには、国籍を問わず、なかなか参考になるのではと思いました。
多くの学生達で賑わう博物館です。数多くあるスミソニアンの中でも、特に学生達の教育に適した博物館であることに違いはありません。もし自分が、アメリカ国籍ではない、そして学生でもなかったとしても、場違いな博物館だと思うことはありません。少なくとも、日本人にとって、太平洋戦争のコーナーは印象的です。自分のような20代の人間にとって、数十年前でありながら、遠い南方の地で、自分に近い年齢の人間が頭を垂れ下げている写真を眺めることは忘れることができない体験になるはずです。

もちろんこうしたシリアスな学習もできますが、他の博物館に例を見ない展示は、アメリカ食文化に関する展示。食文化の歴史とは、あまりにも日常的なテーマであるが故に、なかなか他の博物館で見ることはありません。そして外国人にとって、アメリカの食文化と言った所で、果たして語るに値するものがあるのかという疑問が思い浮かびます(時として、自国の食文化を崇め奉ろうとする偏狭なコマーシャリズムによって、アメリカ食文化は底辺に落とされる運命にあるのです)。しかしそうした人は、アリスウォーターズに代表される素晴らしい理念と信条を持ったアメリカ人の存在を知らないのです。

そうした点において、スミソニアンのアメリカ食文化コーナーは私達の期待を裏切ります。もちろん、大量消費文化・商業主義に徹したアメリカ食文化の功罪がまず語られています。アメリカ食文化を楽しげに批判する人々の期待に答えられるよう、コストコのカートですら展示されていました。私達が忌み嫌うべきものとして、紹介されています。それでも私達が注目すべきは、"カウンターカルチャー/Counter Culture"のコーナー。1960年代以降の革命的な動き、そしてヨーロッパを含め、国外の食文化に触れる中、革新的ながらもアーティサナルな食を求める人々が登場するのです。そうした中、彼らに愛された道具の一つが、日本が世界に誇る炊飯器であったのです。 日本が自国文化を"クールジャパン"と言い出す以前から注目されていたという事実の方が、遥かにクールだと思います。
 何よりも印象的なのが、アリスウォーターズ、そしてバークレーの食文化。バークレーというサンフランシスコ・ベイエリアの一地方の文化・社会運動がワシントンというナショナルな舞台で、文化・歴史として昇華されている。国家レベルでこうしたストーリーを作り出すアメリカの力には感心します。よく見てみてください。アメリカ食文化は不健康で、文化と語るに値しないという、例の偏狭な思い込みが打ち消されていきます。もちろん、バークレーフードミラミッドを眺めた所で、こうした食べ物はさして重要ではありません。多少の皮肉を交えているのかも知れませんし、より重要なことは、決して豊かとは言えない人々に、脂肪と炭水化物に頼らない、新鮮で豊かな食事が手に入りやすくなるようにすることです。

しかし、大量生産により工業化された食文化を極めつくしたアメリカ。その一方で、どこまでもアーティサナルな食文化を追い求めるアメリカ。私達が想像している以上により深くて鮮明な方向性を追い求めることが根付いている社会であることに気が付かされます。そして何よりも、外国人含め、ありとあらゆる人々に、こうした歴史と姿勢が、現代アメリカが歩み続けている道であるのだと意識させる、その力強さと、計算と思慮に富んだ懐の広さに驚かされたのでした。

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