Dec 28, 2014

ミッションドロレスパーク、美しい夏の夕暮れ

サンフランシスコのミッションドロレスパーク/Mission Dolores Park。美しい夏の夕暮れに訪れました。ビル群を眺める景色と共に、ヒップスター観察も楽しめます。今人気を集めつつある、ミッション地区散策の拠点にもぴったりです。クラシックな観光地のアラモスクエアに替わる、今時らしいサンフランシスコの新定番がミッションドロレスパークです。定番過ぎる場所に飽きてしまったら、ミッション地区へ来てください。
ドロレスパークの最寄は、地下鉄MUNIのJライン"Church St and 18th St"駅。サンフランシスコは公共交通機関が便利な街ですから、観光客でも地下鉄やバスを使って、様々な場所を訪れることができます。乗り放題きっぷがおすすめ(http://www.sfmta.com/getting-around/transit/fares-passes/visitor-day-passes)地下鉄&バスはもちろん、ケーブルカーにも乗車できます。購入はMarket&Powell(ケーブルカーの始発駅であり、地下鉄MUNIやBARTの駅も集まる便利な場所)にある、観光センター(マーケット通りの地下)&チケットブース(ケーブルカー乗り場の近くにあるキオスク)でどうぞ。使いたい日付をコインで削って、乗車の際に運転手に見せればよいです。地下鉄MUNIはワンマン運転なので、乗車する際に運転手にチケットを提示するというバスと同じ乗り方です。Clipper/クリッパーというICカードを持っている場合は乗車口のマシンにタッチします。乗り放題きっぷは、BART(バークレー&SFO空港へのアクセスに便利)やCAL TRAIN(スタンフォードやサンノゼに行く列車)では使えないのですが(Clipperは可)、いずれにせよClipperがあるとベイエリアの移動に便利です。

地下鉄MUNIは都心部では地下を走っていますが、Market通りを抜けると地上に出ます。最寄り駅が近づくと公園が見えてくるので、すぐに分かります。下車時は窓にあるロープを引けば、停車してくれます。日本ではボタンを押しますが、ロープを引くのは他都市と同じくアメリカならではですね。下車したら 18th通りを歩き(進行方向の左手に教会風の高校が見えます)、Dolores通りを右に曲がると公園です。このまま18th通りを進むと、スーパーマーケットのBiRite/バイライトや、ベーカリーのTurtine/タータインがあります。グルメ散策のメインストリートです。昼時なら、BiRiteやTurtineで食事を買って、ピクニックするのもいいですね。

公園に入ったら、南西側の一番高い場所まで芝生の斜面を登ってみてください。小さい公園なので、どこが一番高い場所かすぐに分かります。サンフランシスコのビル群を一望することが出来ます。坂のある街は美しいです。また一番高い場所付近は、映画"スイート・ノベンバー/Sweet November"に登場しました。あの映画を観て、ドロレス公園やノエバリーの雰囲気が気に入った人にはおすすめです。高級なカメラを持っている人は、ぜひ太陽が傾きだす夕方に訪れてください。光線を上手に取り入れると良い写真が撮れそうです。夏はサマーターイムで20時過ぎまで明るいので、夕方18時ごろでもまだまだ明るかったです。
 
どうでしょう、この雰囲気。日曜日の夕方と言うこともあり、のんびりする人達で賑わっていました。公園で仲間とリラックスするのに、何もスキルやテクニックが必要な訳ではありませんが、こちらの人達は屋外で何もしない時間の過ごし方が上手なような気がします。アウトドアはコケイジャンにより人気が高いレクリエーションであるのか、ドロレス公園は思いの他、人種的ダイバーシティーが薄い印象を受けました。また本当は屋外でお酒を飲んではいけないのですが、こっそりとブラウンバック(茶色い紙袋)にボトルを入れて飲んでいる人も見かけました。泥酔している人もおらず、騒がしい人もいなく(特にこちらの人は声が低いから、大声で話していても、頭が痛くなる甲高い騒ぎ声ではないのが救いです)、平和でした。
公園でくつろぐ人達の衣服や持ち物を見ていると、これから何をアメリカから輸入して日本で流行らせたらよいか、ヒントを得ることが出来そうです。ピクニックグッズ、アウトドアの食べ物やグッズなどなど。トレンドセッターや、マーケティングには格好のスポット。日本の夏は、高温多湿で、サンフランシスコのようには快適にアウトドアを過ごせないのが、残念なのですが。また付近の住宅も美しいです。快適な住空間に興味のある人は、ぜひ散策してみてはどうでしょうか。旅先で購入したお土産を持ち帰るのも素晴らしいけれど、現地人の快適な暮らしのアイデアを自分の家に持ち帰ることが出来たら、更に有意義な価値のある旅行になることでしょう。
 最後にピース!今回訪れたのは休日でしたが、後日平日の朝に訪れてみると、公園一帯の平和な住宅街を大きな灰色の無印のバスが走っていました。IT企業に勤める人達向けの通勤バスでしょう。平和な公園でありながら、公園一帯のミッション地区は、ジェントリフィケーションの典型例とも言える景色が見られる訳です。我々旅行者が感じる「心地よさ」とは、一つにジェントリフィケーションの賜物とも言うことが出来る訳で、(彼らにとって)out of comfort zoneであった地区をcomfort zoneに作り変えていった歴史を踏まえると、私達が感じる「心地よさ」とはコンフォートゾーンに留まっているが故に感じることなのです。

ミッション地区にあるもの、そしてドロレス公園の心地よさを日本に輸入して、実現できるかと言うと難しいものがあると思います。幸運にも社会の軸が多様(一歩間違えると分裂)とは言えない社会において、人々が感じる心地よさ、そして文化的趣味や趣向も、良くも悪くも分断化されていないからです。文化レベルの格差において、人々はその趣向を最大限実現すべく活動にいそしむのですが、趣向の実現の為の手段(資本力)に絶望的な格差が伴うようになると、今時点、何も考えずに「心地よさ」を感じる文化レベルの実現(といいつつも、結局は消費社会に踊らされているだけなのですが)にいそしんでいる人達は、今得ているものを失っていく過程において、結局は踊らされていただけだったのだと、饗宴を懐かしむことになるのでしょうか。

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