Oct 27, 2014

オレゴン・ポートランド国際空港での乗継ぎと楽しみ方

デルタ航空で東京成田からアメリカに向かう方へ。ポートランド国際空港/PDXは、コンパクトで主に西海岸諸都市への乗継に便利です。待ち時間だって、空港に居ながらにして、個性的なオレゴン・ポートランドらしさのエッセンスを楽しめます。東京からポートランド経由、アメリカ他都市への乗継方法と、空港での楽しみ方を紹介します。
緑が美しいポートランド。ファーマーズマーケットは定番の観光スポット。



・東京からのデルタ航空直行便 、乗り継ぎに便利なターミナル

東京成田からはデルタ航空の直行便が、一日一便就航しています(2014年8月現在)。東京からポートランドへは約9時間、ポートランドから東京へは約10~11時間のフライト。運が良いとアラスカの美しい山脈や氷河を眺めることが出来ます。デルタ航空直行便が就航していない都市(サンフランシスコなど)へは、シアトル/SEAよりもポートランド/PDXの方が乗り継ぎが便利だと思います。機材はボーイング767、座席数が比較的少ないこともあり、満席でした。東京・アメリカ共に発着時間が便利な為、乗継のお客さんが多いのでしょう。

現地到着後、「入国審査・荷物受け取り・税関・荷物を再びチェックイン」という流れは他の空港と同じです。案内表示に従って進むだけです。税関後の再チェックインカウンターの場所が案内が少なくて分かりにくいですが、誤って出口から出てしまわないで下さい。また荷物を再チェックインする際は、航空券と荷物のタグを見せて、最終目的地の確認を地上スタッフと行った方が安心です。あまり決め細やかではないので、自分の責任で確認を取り合いましょう。荷物を預けたら セキュリティー検査を受け、エスカレーターで階上に進むと、そこがもう国内線の搭乗ゲートが並ぶフロアです。近くにいた空港ガイドさんが、目的地と搭乗ゲートを確認して教えてくれました。こちらから尋ねるまでもなく、ガイドをしてくれる以心伝心サービスがまさかアメリカにあるとは思っていませんでした。

ポートランド国際空港は各ターミナルが一つの建物にまとまっている為、再チェックイン後のターミナル間移動が無くて便利です。再チェックイン後に国内線に乗る為、トラム(空港内の電車)に乗って、別のターミナルに移動する手間が無いのです。シカゴなど、他大都市とは異なります。アメリカは出国審査が無いので、アメリカ入国便のみ専用の国際線ターミナル(入国審査・管理の施設が必要)を使い、国内線やアメリカを出国する国際線は航空会社別のターミナルから出発するという形式が多いと思います。入国時はもちろん、出国(日本に帰国)時にも、向かえばよい建物は一つだけなので分かりやすいです。詳しくはデルタのページ(http://ja.delta.com/content/www/en_US/traveling-with-us/airports-and-aircraft/airports/portland.html)をどうぞ。

・アメリカ西海岸の入国審査

また入国審査は入念に。絶対にESTAをお忘れなく。特に血縁関係の無いお子さん連れの方(ご友人のお子さんとか)、留学や語学研修に行く学生さんは気をつけてください。前者は、ハーグ条約の影響もあるのか、お子さんへの入国審査は時として厳しく、過去にシアトルでは、自分の前に並んでいた日本国籍の小学生くらい?のお子さんでも、一人で入国審査官から質問を受け、結局は別室に案内されているケースを見たことがあります。後者は、滞在目的とビザの有無をしっかりと伝えましょう。大学等の教育機関への留学と、短期間の語学研修プログラム等への参加では、性質が異なるのです。滞在目的が「勉強」だと言えば、「それは留学ではないのか?ビザが必要なのでは?」と問答が始まる可能性だってありえます。

・免税店が無いことが意味するポートランドのクールさ

さあ、乗継ぎには最低1~2時間の余裕が必要だと思います。乗り継ぐフライトを逃さない為であり、そして空港でのショッピング・レストランの楽しみを逃さない為でもあります。ポートランド国際空港、最大の特徴と感じたのは、いわゆる免税店が無いこと。化粧品やタバコや洋酒を扱ったお決まりの免税店。これはクールです。地元産ウイスキーを販売するキオスクのお姉さんに教えてもらいました。ピンク色のメッシュにタトゥー、メガネがかっこいい、ヒップスター風のお姉さん。「免税店定番のタバコの販売に関して反対の声が上がったこと、ポートランドからのアジア便が減って以来(現在は東京成田のみ)、アジア人のお客さんが減り、免税店の客入りが悪くなって閉店されたままなんだ。」と教えてくれました。細身のスーツやシャツに身を包んだきれいなお姉さん達が、はるばる遠方から運ばれて来た化粧品やウイスキーを販売する空港もあれば、ヒップスターのお姉さんが地元蒸留所・ローカルにこだわったウイスキーを販売する空港もある。価値観の違いです。成田や香港、シンガポールの様に、ファンシーなハイブランドを取り扱わないのがヒップスターの真髄でしょうか(とはいえヒップスターご愛玩の品々は結構プライシーなのですが)。

・空港でさえも、ヒップである必要がある

空港は地域の玄関口であり、地元名産をアピールする格好の場所ですが、「気取らず自然体に、でもやっぱり気取っている」という、ポートランドならではのさりげなさは参考になります。どうすれば、ごてごての観光地、物産展っぽい野暮ったさを拭い去ることが出来るのか。企業や、省庁・地方自治体の方で視察旅行に来られた方には、帰国便の搭乗ゲート、最後の最後まで気を抜くことが出来ません。 

「バーガービル」Burgerville

地元チェーンのハンバーガーショップの空港支店。おいしいバーガーは手頃な値段で楽しめます。魅力はローカルへのこだわり。食材の調達はオレゴン&ワシントン州にこだわっていると袋に明記されています。ビールを頼んだら、当たり前の様にクラフトビールのセレクションメニューを見せてもらいます。一般的に外食が高いアメリカ。ましてや空港で1000円以内でグルメバーガーを楽しめるとは。ローカルへのこだわりなど、能書きが多い店の割りに、確かにおいしくて、手頃な値段で楽しめる実力派です。ちなみに検査ゲート脇のレストラン(ワインバー)は微妙なので、忘れずにここまで脚を運んでください。

「ローグ」Rogue

 知る人ぞ知るクラフトビールの有名銘柄の店は空港にもあります。フルサービスのレストランなので、時間と予算に余裕がある人向けです。純粋に食べ物ならバーガービルの方が追い私用に思いますが、ローグを飲めるのはここだけ。それにしても、こちらの人は、(若い女性でも)空港のバーカウンターでお酒を飲む姿を見かけます。ぜひ成田や羽田にも設けてください。国際的な銘柄を扱うもよし、何より日本にもおいしい日本酒や海外に勝負に出れる品質のクラフトビールがあるのですから。

「メードインオレゴン」Made in Oregon

おすすめはチョコレートがけのヘーゼルナッツ。ファーマーズマーケットでも見かけました。要するに地元物産館なのですが、どうすればこのかっこよさを演出できるのでしょうか。

ポートランド国際空港はさりげなく、素晴らしい空港です。「おもてなし」という至れり尽くせリな概念で魅力をアピールしている訳ではないので、利用客自身がその魅力を自分なりに感じ取る必要がありますが、自分で魅力に気づいていくというDIY的なプロセスもポートランドらしさでしょう。「ローカル・アーティサナル・ヒップスター」という価値観は、結局アッパーミドル以上のお金を持った若いコケイジャンに特有のものなのかも知れませんが、何やら空虚なマーケティングワードでは?と、それで片付けるのはもったいない。彼らの真似をしているだけなのではと言われればそれまでですが、真似をするのが私達の宿命であるのだとすれば、今現在、最高のお手本はオレゴン州ポートランドにあるのだと言う事が出来るのです。

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