Dec 26, 2010

サウスウエストチーフの旅(シカゴ~ロサンゼルス)その2

そして2日目。アムトラックはやたら揺れますが、ぐっすり寝れました。1日以上乗るならば多少お金を払っても寝台にすべきですね。ヘビーな夕飯でお腹が空いてこないので、売店でジュースを買って飲みました。トランプやシャツなどおみやげもありましたよ。売店のスタッフも相当にフレンドリー。朝からよい気分。


まだまだ平原が続きます。いくらなんでも飽きてきた。それにしてもよく見てると驚きます。なんて効率的な農業のやり方をしてるのだろう。お百姓ではなく、もはやビジネスマン。

イリノイを過ぎてカンザスなどの地域に入ると、景色は少し変わってきます。農業というよりかは、畜産業なイメージ。その日の昼に食べたハンバーガー、 前日のイタリアンビーフにステーキといい、なんて肉がうまい国なんだろう。赤みが多くて肉肉しい所が好き、肉ばかりで不健康というか、しっかり栄養が取れている感じで元気が出る!この景色を見ていると、映画"No Country for Old Man"の始まりの方で出てくるシーンを思い出しました。

たまには小さな町に停まります。 サウスウエストチーフはルート66を一部なぞっているので、こんな町並みを見ているとルート66気分を味わえる気がします。それにしても田舎町はどこも似た様な景色。小説"The Main Street"で言っていることが分かるような気がします。どの国でも、どの時代でも、やはり都会の方が常に個性的なのでしょうね。


夕方になるとすっかり、ザ・西部な景色に変わりました。早めの夕飯を食べ、ラウンジカーでくつろいでいる時の光景です。その日の晩はグリルチキンに舌鼓。クリスマスに食べるみたいなグリルチキンがなんと2本も。大満足!それにしてもこういう食事は確かにカロリー高いと思うけど、栄養は豊富だと思います。食事の量が多いので、肉はともかく、おのずから野菜の量も多くなる(サラダ、付け合せのインゲンソテー)。これで肉と野菜はばっちり。おまけに日本みたいに主食=おかず、の組み合わせの発想がないからなのか、炭水化物は小さなパンがあっただけで、ローカーボン。食事の仕方を間違わなければ、確実にアメリカの方が健康的な生活を送れると思います。日本料理は炭水化物が多いし、塩と砂糖が何気に多く、栄養価も高くないような気がします。もちろん全てがそうではないけど、日本料理が本当に健康にいいかと言えば一概には言えませんね。

同席したのは自分と歳が近い(と思われる)ロス市住宅局の人。会議で出張した後に休日と重ねてアムトラックに乗ることに決めたそう。ロスに行くんだ、と言ったら色々と情報を教えてくれました。今彼的にブームなのは、「プルコギタコ」だそう。タコスの中にプルコギが入っているのだとか。韓国もメキシコ料理も好きなので、ぜひ食べてみたかった。そしてロス市住宅局の人ですから、ロスの住宅環境や再開発(特にダウンタウン方面)について興味深い話を教えてもらいました。正直な所、気が疲れる話でした。リバンプの意味を含む再開発なので、それ故に失われる、追い出される物が生じてしまう。ロスほどに人種や経済力が多様になりすぎると、ダイバーシティーの負の側面(結局まとまりがつかなくなる)しか見えてこないと思います。

とはいえ、リバンプとしての再開発(ただ漠然と建替えるだけではなく)は日本にも必要だと思ってます。心地よさの演出に必要となる社会の軸は質量共に少ないけれども、あくまでもプラスの空気を構築する、ある種の格闘的要素を持った手法でのリバンプを定期的に行っていないと、街は落ちぶれる気がします。

ちなみにロスって「行く前に抱いていたイメージほどはよくなかった。」というのが正直な感想。一方でサンフランシスコやSFベイエリアは、「行く前にそこまでイメージなかったけど、よかった」と昔に思いました。


そして最後の夜を向かえ、翌朝目を覚ますとそこはカリフォルニア。ずっと乾いた景色ばかりが続いたので朝日がまぶしい。まさにGolden State。"I'm not in Kansas anymore"です。朝食にグラノーラを食べました。こんなにおいしいものだとは知りませんでした、初めてのグラノーラ。シリアルの他にも、フレンチトーストもあったりしてバラエティ豊かです。そしてカリフォルニアに入ってからはあっという間。しばらく郊外が続いたと思ったら、むさくるしいインダストリアルエリアを通り、ダウンタウンのスカイラインが見えてくるとユニオンステーョンに到着。何気に予定より早く到着しました。何か意外。

めちゃめちゃきれいな駅。時間があれば、駅の向かいにあるEl Pueblo Historic Areaを散歩するのもおすすめ。一気にラティーノな雰囲気ですね。

とにかく時間が掛かるのでまとまった休みにしか経験できないアムトラックの旅。ぜひまとまった休みの時に、出来れば寝台車に乗り大陸横断はいかがでしょうか。フレンドリーなスタッフ、アメリカの景色、(想像とは違って何気に)おいしい食事、他のお客とのふれあい。ふとした瞬間にこそ旅行の何気ない大きな思い出が潜んでいます。また違うルートで大陸横断を経験してみたいです。

Dec 23, 2010

サウスウエストチーフの旅(シカゴ~ロサンゼルス)その1

アムトラックのサウスウエストチーフ(Southwest Chief)の思い出です。2010年GWにシカゴからロサンゼルスまで旅行しました。サウスウエストチーフ号は、シカゴからロサンゼルスまで2泊3日(約40時間!)のアメリカ大陸横断の旅。ルート66をたどります。中西部の大自然、かざらないアメリカを眺めながらゆったりと時間を過ごせました。

JAL便での到着は午前中なので、出発時間までシカゴ観光が出来ます。シカゴ・オヘア空港から電車(エル)に乗り、約50分。Clinton駅で降りて数分歩くと立派なUnion Station。(碁盤目の街なのに、地上に出ると東西南北感覚が分からず意外と迷いやすい…。)予約はアムトラックのHPからネット&クレジットカードで出来るので、駅に置いてあるチェックインマシンにカードを通すだけですぐに発券されます。荷物を預ける場合は受付へ、預けない場合はそのまま改札に向かうだけ。個室に乗るならば、小型のキャリーケース1つなら室内に持ち込めるスペースがありました。大きい荷物の場合は、身の回りの物だけバッグに移して、後は預けた方が楽かもです。予約システムの便利さ、お得さは日本よりも進化してます(早期予約はかなりトク)。

駅にはコインロッカーがあるので、観光するなら預けると便利。シカゴでは改札近くの待合室の脇にありました(乗り口に近い所です)。コインロッカーはシカゴにはありますが、ロスにはありません。その代わりロスでは、荷物預かり場所にいる駅員に預かってもらえます。(降車後に預けた荷物を受け取る場所、Baggage Claimと聞けば教えてもらえます)。またシャンプーや歯ブラシ、飲み物やスナックなど旅行グッズは駅の売店ではちょっと高め…。駅を出た所にCVS Pharmacyがあるので、そこで買うといいと思います。(ちょっとしたおみやげも買えます。トラベルコーナーもあり小入りのシャンプー、トラベル歯磨きセットもありました。)ちなみに個室ならばシャワールームを使え、タオルは自由に使えます。無料の石鹸はプアなので、シャンプー、ボディーソープ、歯磨きは持参の方がベターかも。あと、サンダルがあると車内で何気に快適なので、オススメ。

シカゴではイタリアンビーフ(フレンチディップ?)に大満足。エルに乗ってER気分を味わって、ミレニアムパークを散歩。よく晴れた春の一日でとても気分が良かったです。Saturday in the parkな気分。そうこうするうちに時間になったので、駅に戻り改札へ。そしていよいよ乗車。軽く2~3階建くらいの高さの車両に驚きます。入り口にはアテンダントがいて、フレンドリーに暖かく迎えてくれます。アムトラックのアテンダント、車掌はフレンドリーな人ばかりで、楽しくなりますね。

そしていよいよ出発!

シカゴの摩天楼に別れを告げます。新旧が交じり合うシカゴの摩天楼は独特です。中西部の全てが集結するシカゴ。ニューヨークやロスに比べると地味かも知れませんが、あらゆる意味でアメリカ最大の地盤を背後に抱えたシカゴは魅力的な街だと思いました。「シカゴは最もアメリカらしい街だ」と聞きました。カリフォルニアやニューヨークだけじゃない!





きれいすぎる郊外の住宅街。しばらく走っているとこの景色。木漏れ日の質感。緑の美しさ。このきれいさは世界中のどんな国が頑張ってもかなわない。
更に郊外の住宅街。前に比べるとグレードダウン?もし自分が駐在員になったなら、どの程度の家に住む余裕があるのかな?と思ってしまった。写真奥に見えるゴルフのピンみたいな広告塔?がアメリ感。いかにもって感じの典型的な住宅街。
そしていよいよ穀倉地帯へ。Great Prairie。アムトラックのイリノイ州はずっとこんな感じが続きます。昔見たStraight Storyという映画の景色そのものでしみじみ。(ウィスコンシンが舞台だけど)ぼーっと景色を見ているだけで、リラックスできます。アムトラックの旅行ならではの、最高に贅沢な一瞬ですね。


中西部はアメリカの真髄なのかもしれないと思いました。究極のアメリカの平均像なのかもしれませんね。(最近読んだ"The Main Street"(シンクレア・ルイス)にもそう書いてあった)ただとてつもなく広大な面積、盛んな農業畜産業、大きな経済基盤。そしてこの中西部がアメリカに巨大な国内市場をもたらすことで、アメリカ企業はイノベーションを世界中のどこの市場に先駆けて実験することが出来るのかも。どんなにグローバルに展開するアメリカ企業でも、中西部を基盤とした確固たる国内市場があるから、収益基盤をしっかり確立することが出来ているのではないでしょうか。グローバル企業と言っても、自国の市場が収益面で支える効果は全ての基本だと思います。


そしてのんびりしている内に、夕食の予約の時間になりました。個室に乗れば、全ての食事代がチケットに含まれています。朝食以外、アテンダントが部屋まで 予約を取りに来てくれて、時間を教えてくれます。受け取った予約券の時間がアナウンスされたら、ダイニングカーに向かいます。呼び出される時間は正確では ありませんでした。(ちなみに部屋にいる時はドアを開けておいた方がいいと思います。そうしないとアテンダントが声を掛けてくれないこともあると、言って いました)ちなみにチップがマストです。1ドル札を数枚事前にくずしておくと便利!ちなみにお酒は有料(ビール、ワイン、カクテルがありました)。あまりお酒を飲んでいる人がいなかったので、自分もやめておきました。公共の場、電車の中でアルコールの制限が働いているのはよい文化だと思います。新幹線の中はともかく、普通の通勤電車の中(新快速の中とかで!)で一杯やったり、山でも海でもどこでもアルコールが入るのも、何だかなと思ってしまいますよ。(自分も酒好きだけど、好きだからこそシチュエーションを選びたい)


食事は他のお客さんと相席になります。ただこれが楽しいというか、アムトラックの醍醐味の一つだと思いました。見知らぬ人との社交タイムはアジア人にはちょっと馴れなくて大変ですけど…。年配夫婦の旅行客、小さい子供がいる家族連れが多いなと思いました。後、軍隊関係者には特別割引があるそうで、米軍関係者も結構乗っていました。年配夫婦は日本を含め、アジアに興味を持ってくれる人が多かった印象があります。(「カリフォルニア行きだから、カリフォルニ ア人が多い。カリフォルニア人はアジア人に接する機会が多いから、そういう人も多いんだ。」と、一緒になったおばあさんが言っていました。本当かどうか知 りませんが。)軍隊関係者は日本駐留経験がある人もいるので、日本の話で盛り上がれますよ。またアイフォンで家族の写真を見せてくれる人もいたので、デジカメやケータイに家族の写真を入れておくと、話が盛り上がっていいかも知れません。こういうかなりフレンドリーな交流、社交性が社会に根ざしているのでしょうね。日本でやったら若干変人扱いされるかも知れませんが、こういう文化も大事ですよね。


その日 の夕飯はミシシッピ川(Mighty Mississippi)に沈む夕日を眺めながら、おいしいステーキとチーズケーキに満足しました。(メインディッシュをビーフステーキ、チキン、 BBQ、パスタとかから選べます)普通に食べたらそれなりの値段だけあって、結構おいしかったです。想像とは違って。ボリュームもあるので、味・量共にう れしいですね。地味に付け合せのマッシュポテトがうまい!


その日に同席したのは、サンタバーバラの自宅に帰るという年配夫婦でした。旦那さんは元ネイビーで厚木に駐留していたそう。「君は、東京タワーが建てられ ていた時代なんて知らないだろうね」とのこと!在日米軍駐留経験者は結構気さくに話しかけてくれるのでいいですね。(昔ハワイのベニハナでも、岩国の人に 話しかけられましたよ)奥さんはホームステイの日本人をかつて受け入れてから、日本にハマったそう。日本を度々旅行をしたこともあるんだそう。カリフォル ニアならではなのかも知れませんが、こういう人達がいて心からうれしい。日米フレンドシップの現場に接することが出来て心が暖まりました。あとこういう方 達は拙い英語を丁寧に聞いてくれるし、ゆっくり話してくれてありがたい!しかも色んなことを教えてくれました。テキサスはクレイジー、次にアメリカに来る ならニューオーリンズがおもしろい。アメリカの地名(地名を見ればどこ系の入植者が多いのかが分かるとかなんとか。)君から見れば白人は同じに見えるかも知れないけど、イギリス系、フランス系、ドイツ系…色々いるよと。自分たちからしてみれば、日本・中国・韓国人の違いが分かるように、彼らの中にも何となく違いがあるのでしょう。


そして彼らに別れを告げ、その日はぐっすりと就寝。部屋から見える星空、時折響く汽笛の音。すっかりアメリ感チャージ出来ました。

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