Dec 31, 2013

フィラデルフィア風 おしゃれとは限らないイタリアン

イタリア料理や文化がおしゃれなものだって、誰が決めたのでしょうか?フィラデルフィアでは、何もおしゃれとは限らないイタリアン。チーズステーキで有名なイタリアンマーケットは、観光地のイメージだけでは括れない、何気に奥深い街並みでした。どうせ観光地でしょう?と片付けないで、路地に迷い込んでみてください。
イタリアンマーケットは、S 9th Street沿いに広がります。南側はチーズステーキのGinoがあるWharton Stから、北側はLombard Stまでが見所でしょうか。地下鉄SEPTAのBroad Street Line(オレンジ色)のEllsworth Federal Sta.から、Federal Stを歩くのが最短。Market Frankford Line(青色)の8th and Market Sta.からひたすら南に歩くのも面白いです。再開発された地域と、昔ながらの街並みが残る地域の対比が見られ、街並みが変化していくのです。
 
ピンク色の花びらが敷き詰められた桜並木の住宅街。そしてWhole Foods。再開発されたピカピカな街並みはここまで。Whole Foodsはここでもジェントリフィケーションの象徴でした。
 
決してきれいとは言えない街並みですが、この質感!イタリアンマーケット/Italian Marketは観光地として名高い場所ですが、ゴテゴテとしたザ・観光地に決して仕立て上げないのが、アメリカらしい?でしょうか。住民の息遣いが聞こえる街並み。
 
 
 
一つ一つの店を眺め、路地に迷い込んでみてください。決してYelpで事前準備なんかせずに、思いついたままに立ち寄るに限ります。ネオンサインの看板、床屋のモデル写真。一つ一つがおもしろい!それにしてもこのネオンサイン。全てのソーセージやサラミが、artisanalに見えてきます。マーケティング的な魅力、アイデアが古いものには潜んでいます。
 
 
そして忘れずにチーズステーキを。9th Street&Passyunk Ave.の交差点を向かいに、Geno'sとPat'sの二大巨頭が立ち並んでいます。Pat'sの方が賑わっていました。映画・ロッキーの舞台で名高いからでしょうか?おいしかったです。チーズはもちろん、グリルされた肉が香ばしくてうまい!グリルしてあるという点が、シカゴのイタリアンビーフや、ロサンゼルスのフレンチディップとは異なります。フィリーに来て、チーズステーキを食べないだなんて!

観光客が多いです。3枚目の写真の家族連れも、フランス語?っぽい言葉を話していたので、ヨーロッパからの観光客でしょう。親子共におしゃれなので、多分そうだと思います。「フロマージュ」という単語が聞こえました。フランス語だから、チーズをフロマージュというのは当たり前なのですが、この街並みの中で、チーズをフロマージュと呼ぶのは場違いでは笑?フロマージュとは、おしゃれなレストランやグルメショップでチーズを呼ぶときの呼び名。チーズは、アメリカルーツの(アメリカ系)イタリア文化。フロマージュは、おしゃれなヨーロッパの文化。なぜか知らず知らずの内に、勝手な線引きを引いていたのです。
 
おしゃれなイタリアンもあれば、やんちゃなイタリアンもある。MTVで一世風靡したJersey Shoreのような"痛リアン文化"だってあります。そんな中で興味深かったのは"Artisanal Italian Foods"というグルメショップの店頭サイン。「当初アメリカに移民したアメリカ系イタリア人の彼らは貧しかったが、次第に豊かになるにつれて、かつて祖国の地で彼らには手の届かなかった貴族の食べ物を楽しめるようになった」という話を聞いたことがあります。当初は貧しかったイタリア系地区でも、彼らの由来である「ヨーロッパ」に目を向けて"artisanal"とマーケティング用語で飾られる時代です。移民が持ち込んだ食文化が、アメリカの日常食に溶け込む課程はもちろん、"artisanal"と評されるようになる課程も国外から見ていると興味深いですね。

「イタリアン」と聞けば、おしゃれなものを想像する私達。一方で、当たり前の様にピザやスパゲッティを食べる私達。イタリアのクラシックやオペラを聴く一方で、フランクシナトラ、トニーベネット、今ではレディガガの音楽を楽しむ私達。少しづつ異なった体裁と雰囲気を保ちながらも、アメリカとヨーロッパの二つの場所から、日本にも発信され続けるイタリア系文化の力強さは、やっぱり好きです。また世界中のあらゆるエスニック文化を、一度アメリカというフィルターにかけてみるとおもしろい。アメリカナイズされたエスニック文化は、それはそれで味があるのです。

フィラデルフィアのまとめです。
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2014/01/blog-post_8220.html 

ペンシルベニア大学 キャンパスめぐり

フィラデルフィアにあるペンシルベニア大学。観光でキャンパス巡りをするならば、春がおすすめ。新緑が美しい5月に訪れました。数あるアイビーリーグの中でも、ペンシルベニア大学はアクセスが便利です。絵に描いたような美しいキャンパスを散歩して来ました。
ペンシルベニア州フィラデルフィア。クリームチーズでお馴染みでしょうか?ニューヨーク&ワシントンDCからも、アムトラックで簡単にアクセス出来ます。日帰りでも行けるので、ゴールデンウィークに東海岸を訪れる方は、フィラデルフィアも予定に組み込んでみては?

余程お急ぎでなければ、特急のアセラ/Acela Expressに乗る必要は無いと思います。急行のリージョナル/North East Regionalで十分です。列車にもよりますが、New York~Philadelphiaで、アセラで約60分、リージョナルで約90分の差でした。車内はゆったりしていて快適です。アメリカのごくごく当たり前な日常生活を垣間見れる車窓もよかったです。(アムトラックのアセラページ http://www.amtrak.com/acela-express-train)

フィラデルフィアは、30th Street Stationに到着します。趣がある駅です。日本の新幹線を紹介するパネルが展示されていました。クラークに行くと荷物を預かってくれます。コインロッカーはフィラデルフィアはもちろん、アメリカの駅では見かけません。代わりに人がいるクラークに行きましょう。今回はワシントンDCを出発して、ニューヨークに向かう途中に立ち寄ったので、スーツケースを預かってもらえて助かりました。チップを忘れずに!

30th Street Stationからは、SEPTAというフィラデルフィアの地下鉄に乗り換えます。Market Frankford Line(青色)の34th Station、若しくはTrolley Lines(No.10以外)の36th Stationで降ります。一日乗車券を駅の窓口で買いました。青色の地下鉄の方が、ダウンタウンにもアクセス出来るので便利だと思います。Trolley Linesはボストンの地下鉄のように、小さな路面電車が街中で地下を走っています。(路線図 http://www.septa.org/maps/trolley/city.html
キャンパスのメインは、Blanche P.Levy Parkというスクアッドでしょうか。街中にキャンパスが点在しているので、地図を持っていくことをおすすめします。新緑の美しさ。しっとりとしたクラシックな建物。歩いているだけで、頭がよくなったような気がします笑。LOVEという彫刻を探してみてください。そういえば、Philadelphiaとは、兄弟愛の街という意味なのでした。日本人に馴染みが深い、ウォートン校/The Wharton Schoolは、スクアッドからLocust walkを歩いてすぐの場所にあります。
 
どうでしょう。勉強をしたい気分になって来ませんか笑?さすがに若い人が多い。非アジア系は年齢に比べて見た目が比較的年上に見えがちですが、それでも若い人を見かけました。10代の学生も多いだろうに、それにしても落ち着いた雰囲気です。3人以上のグループ連れで歩く人が少なく(非アジア系は男女共に、団体行動が苦手?)、甲高い声でぺちゃくちゃ話す人が少ないからでしょうか。話し方や仕草という点からも、まずは見た目でなめられてはいけませんね。

2~3時間あれば十分に周れるキャンパスですが、最後にブックストアをお忘れなく。結構な品揃えでした。キャンパスグッズはもちろん、英語で書かれた教材はおすすめです。ESL向けの英語発音&アクセントトレーニング本もいいし、大学&大学院入試用の試験教材(特に語彙集/Words building book)はおすすめです。やはり英語を学ぶなら、現地の人が書いた教材に限ります。メディカルスクールの白衣や手術着も変わったギフトにおもしろいかも。

街中にあるからこその活気がありました。郊外にあるキャンパスもいいのですが、大学時代の勉強は必ずしも教科書と授業(book smart)からだけではなく、社会との接点(street smart)から学ぶことも多いです。やっぱり都市にあるキャンパスは毎日が面白いですね。

フィラデルフィアのまとめです。
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Nov 22, 2013

【まとめ】オレゴン州ポートランド

オレゴン州ポートランドのまとめです。訪れるならば夏(7~9月)がお勧め。北西部/Pacific North Westの心地よい夏を楽しめます。特別何かがある訳でもないのですが、のんびりと街を歩いているだけで発見があり、感性が磨かれる。こんな街でした。ポートランドはいくつかの地区に分かれて紹介されることが多いので、以下を参考にしてみてください。

1)はじめに

「オレゴン・ポートランドへ行こう!」
ポートランドへはデルタ航空が便利。成田からの直行便があります。関西方面からは関空~シアトル便で入国し、ホライゾン航空に乗り換えてポートランドへ。入国審査が厳しめのシアトルは要注意。そしてシアトル~ポートランドの機内からは、絶景がお待ちかねです。

2)ダウンタウン/Downtown

「ポートランドの地ビール祭り」
毎年7月に開かれるオレゴン地ビール祭り/Oregon Brewers Festivalは、クラフトビールファン待望のイベント。夕暮れの雰囲気が心地よかったです。
「オレゴン州の日系人」
日系人の足跡はオレゴン州にもありました。日系アメリカ記念館/Oregon Nikkei Legacy Centerに行くと、彼らのことが他人事ではないように感じられます。 
「ポートランド・ファーマーズマーケットで見つけたおすすめ」
朝食やブランチ、お土産を買うのにも最適。お土産といえども、店員や生産者と直接会話をして、試食をしてから買うのがポートランド流? 
「ファーマーズマーケットの開催は日本では難しい」
なぜアメリカではファーマーズマーケットが盛んなのか?ファーマーズマーケットが地域を活性化するとはどういうことなのでしょうか。牧歌的なだけのイベントではありません。

3)パール地区/Pearl Districe

「ポートランド・クラフトミュージアム」
アートファンにおすすめ。陶器を中心としたクラフトを楽しめます。地元との関係を大事にするコミュニティーミュージアム。さりげないセンスです。

4)ワシントン公園/Washington Park

「自然の遊び場 ポートランド・ワシントン公園」
気軽に出会えるPacific North Westの自然の美しさ。ニューヨーク・セントラルパークの設計者オルムステッド一族が手がけた、この美しさ。

5)ミシシッピ地区/North Mississippi Ave.

「ポートランドのボヘミアンネイバーフッド(ミシシッピ通り)」
最近注目を浴びる再開発地区。個性的な店に注目です。

6)アルバータ地区/Alberta District

「アルバータ地区で欠かせないフライドチキン」
ヒップで人気の地区。何と行ってもPine State Biscuitsというレストランのフライドチキンが欠かせません。個性的な店は、レストランやショップに携わる人達の参考になると思います。
「本当にあったフェミニストのための本屋」
コメディドラマ・ポートランディア/Portlandiaでお馴染みのフェミニスト書店をついに発見。

7)ホーソン・ディビジョン地区/Hawthorne St and Devision St

「ポートランドのボヘミアンネイバーフッド(ホーソン地区)」
元祖ヒッピー&ヒップスターの街。どうしても一つに選ぶなら、ホーソンは必須です。
「グルメな住宅街」
観光地よりも普通の住宅街に発見が潜むポートランド。ディビジョン地区は穴場です。

グルメな住宅街

ポートランドのボヘミアンネイバーを巡る旅も、今回で終わり。最後にDivision/ Clintonという地域で夕飯を食べました。BBQレストランでたっぷりと肉料理を満喫。かなりローカルな住宅街にも行列が出来る店、そしておいしい店があるのがポートランドの魅力です。
やはり自転車が便利で、SE Division St / 30th Ave付近を今回は訪れました。もちろんダウンタウンから、バスRoute4に乗っても便利です。特別に何かがある地区ではないのですが、思いっきり地元感溢れる住宅街を散策してみたい人におすすめの場所です。

エリアのシグネチャーはやはりレストラン"Pok Pok"(http://www.pokpokpdx.com/)。かなりの行列を発見しました。エスニックなアジア料理の店。何がすごいかといえば、かなりローカルな場所の店にも関わらず、ニューヨークにも進出している所。どこの国にもおいしい料理はある訳で、特にアメリカ大都市の料理はバラエティも豊か。アメリカ料理はまずいだなんて言われ草は、いつの時代に誰が言っていたことなのでしょうか。
今回訪れたのは"Clay's smokehouse"(http://clayssmokehouse.ypguides.net/) というBBQレストラン。30th Ave付近です。全く気取らないレストラン。肉料理が好きな人は、アメリカでついに夢をかなえることが出来る店だと思います。まずはビールのコレクションに感動。やはりポートランドはクラフトビールに限ります。しばらくして、Brisket Plateがやってきました。ほろほろと食べやすいブリスケット、肉のうまさにまず感動。サイドデッシュも捨てがたいです。ガーリックトースト。コールスローもおいしくて、店オリジナルレシピだという、シラントロ(パクチ)がアクセントになっています。

不思議に思ったのは、BBQ&Grillが併記されていること。どちらも一緒なのでは?と思っていましたが、店員さんいわく、BBQは料理のジャンル、Grillは調理方法なのだとか。確かに自分が食べたBrisket Plateはほぐしたブリスケットにソースがかかった料理なのでBBQ、他の人が食べていたステーキはGrill料理ということになるのかも知れません。肉料理はとても奥が深い国だと思います。BBQにしたって、セントルイス・メンフィス・テキサス・ノースカロライナなど、様々な種類があるそうです。日本人は魚のうまい食べ方を知っている様に、肉のことならアメリカ人に聞くべきですね。
おいしい食事にありつける環境にあることに感謝をしないといけません。Teen Feedと書かれたバンを発見。Teen Feed(http://www.teenfeed.org/)とは、シアトルに拠点がある貧困層の若者を支援する団体。ワシントンメディカルセンターの看護師が、ERに訪れる患者に貧困に苦しむ若者が多いことに気づき、団体の発足につながったのだとか。

ポートランドの住宅街も、空は青くて澄んでいて、太陽と緑が眩しい景色が広がっているのですが、結構、抵当物件を見かけました。決して経済的に恵まれた街ではないことは事実でしょう。更に人種構成という意味でも、比較的コケイジャン人口が多いような印象を受けました。意外と保守的な面がポートランドにはありそうです。他の大都市のように圧倒的な多様性がある訳でも無さそうです。

ポートランドのリベラルさに「自分達で解決しようという自主独立の精神」という側面があるのだとすれば、それはアメリカに伝統的な保守的な概念でもある"自主独立"と表裏一体なものなのかも知れません。しかし、自分達で選び、決めるのであれば、政府の大きさというものを認める風土がありそうな気がします。ポートランドのおいしいもの、おしゃれな店といったソフトな入り口から注目を集めつつある今ですから、彼らの政治についても知りたくなって来ました。果たしてポートランドは、アジア系にとってどのような住み心地を備えた街なのでしょうか?

ポートランドのまとめです。ご参考。

ポートランドのボヘミアンネイバーフッド(ホーソン地区)

ポートランドでは自転車を借りて、個性的な街並みを巡るに限ります。今回はボヘミアンネイバーとして名高い、ホーソン地区/Hawthorne Stです。チェーン店も立ち並ぶ賑やかな地区ですが、やはりヒッピー・ボヘミアンの影響は今でも健在でした。
ホーソン地区は、アルバータ/Alberta地区(過去記事) や、ミシシッピ/North Mississippi地区(過去記事)に比べると、ダウンタウンから訪れやすいです。自転車はもちろん、ダウンタウンからはバスのRoute14に乗り、Hawthorne St/ 34th Ave付近で降りるとよいと思います。交通局のページでもチェックすることが出来ます(http://trimet.org/schedules/r014.htm)。

かつて精神病院があった地区なのだそうですが、今では様々な店が立ち並んでいます。ヒッピーと、ヒップスターで有名な街並みですから、人間観察をしているだけでも楽しかった。そして一歩通りを入ると、とても美しい住宅街。街路樹がしげっていて、落ち着く街並みでした。ちなみに住宅街の庭(樹木の下)には松のチップが敷き詰めてある家が多く、香ばしいにおいが漂っていました。ナンタケット島のような松の香りは、結構好きです。

 中でも37th Ave辺りがおもしろい。まずは映画館Bagdad Theaterにはレストランもあるので、早めの夕飯を食べる人達で賑わっていました。有名な書店Powell Booksの支店があり、暮らしに関する書籍(料理やガーデニングなど)のコレクションが豊富です。そしてスーパーも併設されています。この辺のコレクションやディスプレイ方法は、日本で個性的かつライフスタイルを提供する類の書店をやっている人に参考になると思います。アルバータとは異なり、何気にチェーン店も多いのがホーソン地区です。さすがにスタバには行きません、代わりにピーツコーヒー/Peet's Coffeeを選びました。カリフォルニア・バークレー発祥のコーヒーチェーン。ヒッピータウンコネクションです。シアトルに対抗心を燃やすのがポートランドなのだとか笑。

どこからともなく、You are my sunshineが聞こえてきました。路上ミュージシャン達の演奏です。とてもカントリーで、オールドタイムな雰囲気。穏やかな休日の夕暮れにぴったりでした。やはりボヘミアンであり、落ち着いた雰囲気なのです。ヒッピーとして政治的に尖っていて、攻撃的な雰囲気はないし、サンフランシスコやニューヨークの大都会のヒップスタータウンのように、スノッブな雰囲気もありません。ポートランドは若者がリタイアしに行く街だ。というコメディPortlandiaの触れ込みはあながち間違いではないような気がしました。ホーソン地区は、ポートランド・ボヘミアンカルチャーの中心地の一つです。

オフィシャル観光ガイド(ホーソン地区)
http://www.travelportland.com/collection/hawthorne/ 

ポートランドのまとめです。ご参考。
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2013/11/blog-post_4735.html

アメリカで頑張るスバル

最近のスバルの躍進は、北米アメリカ市場での成功にあると思います。手頃な値段の割りに製品自体が素晴らしいし、何よりもマーケティングが卓越しています。「比較的高学歴、だけど富裕層ではない人達」のことを良く考えています。それにしても、オレゴン州ポートランドでは実に良くスバルを見かけました。北西部(Pacific North West)はやはり重点地区なのでしょう。コメディ番組ポートランディア(Portlandia)にも自動車提供を通じて、宣伝を行った北米スバル。ポートランドの景色と雰囲気に、スバルは実に溶け込んでいました。
やはり主役のフォレスター。きれいな青色。SUVは山道を駆け抜けるとか、ワイルドでスポーティーな印象がありますが、北米スバルのフォレスターのCMは一味違います。母娘で近所のコミュニティーガーデンを訪れる。カントリー風の曲を背景に、母親を手伝う娘、水をあげたり、鶏にエサを与えたり、収穫をしたり。最後にフォレスターの荷台に荷物を詰め込み、"Every mom needs a little helper. That's why I got a SUBARU."と娘をミラー越しに眺める安心そうな母親の姿が映る。こんな感じです。30秒のショートフィルムかと思うくらい。ミニバンよりも、SUVの方がかっこいいし、何よりも母娘を守る安心感がそこにはあるのですね。コミュニテーガーデンというのも、高学歴な低所得者層の心に訴えかけてきます。
少し古めのレガシー。フロントグリルが日本よりも押しが強い印象。立体的で、はっきりとしたデザインが北米では好まれるのでしょうか。きれいなツートンカラー。それにしても、結構古いスバルも見かけました。スバルオーナーは古くなっても乗り続ける傾向が強いらしく、なかなか新車に買い換えてくれないのが北米スバルの悩みなのだとか。
新型インプレッサ。一代前のインプレッサから、販売が拡大したように思います。コンパクトカーとはいえ、これくらい車体サイズがあると快適で安心。ちなみに、自転車ロードレース大会に参加する奥さんを、インプレッサに乗って応援しにいく旦那の姿を描いたコマーシャルも感動的です。「スポーツ(特に自転車)を愛すること。自分で挑戦すること。支えてくれる人がいる。」というテーマは、日本以上にアメリカ受けするテーマなのかも知れません。
 
良く見かけたのはレガシー、そしてアウトバックでした。ポートランドの美しい住宅街によくマッチしています。青や緑など、日本ではあまり見かけないカラフルな色の車を見かけます。 北米向けにサイズが巨大化したと言われてしまうのは事実ですが、やはり大きい車体はかっこいい。見栄えのするデザインを実現しようと思ったら、特に車幅をきちんと確保しないと、難しいのかも知れません。

スポーツを愛する。犬を愛する。自分で挑戦することを重んじる。コミュニティーガーデン。家族を大事にする。自然を愛する。これらのテーマを打ち出した北米スバルのコマーシャルは、どちらかというと、高学歴なコケイジャン(白人)に受けそうなものです。多様な社会で、絞るべきターゲット層がいるから、小さな自動車会社でもヒットを狙える環境にあるのでしょう。

個人的にはコメディ番組Portlandiaへの協賛が素晴らしいと思います。マニアックなテレビ局IFC(Independent Film Channel)の、マニアックなテーマを扱ったコメディ番組(http://www.ifc.com/shows/portlandia)です。そしてトヨタやホンダのような巨大日系企業は、スーパーボウルへの広告を出すのに比べ(しかもKelly Clarkson級のスターを起用して)、一方の北米スバルは裏番組?のパピーボウル(http://animal.discovery.com/tv-shows/puppy-bowl)という、子犬のアメフト大会のスポンサーです。どちらも狙いどころがおもしろいですね。何にせよ社会的なメッセージを重んじています。スタイリッシュなかっこよさばかりを打ち出すのではなく、もっと社会的なメッセージ性も込めていて、そうした姿勢は今時だなと感じます。「欧州で磨き上げた上質の走りとスタイリング」なんてCMはもうおなかいっぱいです笑。

北米スバルの感動的なCMはこちらから。

ポートランドのまとめです。ご参考。
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2013/11/blog-post_4735.html

アルバータ地区で欠かせないフライドチキン

ポートランドで個性的なエリアの代表格と言えば、アルバータ地区/Alberta Street。チェーン店は少なく、独立経営の店ばかりです。もちろん有名なフライドチキンサンドイッチを、パインステートビスケット/Pine State Biscuitsで食べて来ました。散歩するだけで楽しいエリアです。
自転車で訪れると便利です。ダウンタウンで自転車を借りて、他の地区と併せてサイクリングするのがベストな楽しみ方。何たってポートランドは自転車の町です。バスならば、ダウンタウンからRoute8 に乗り、NE 15th Ave/NE Alberta Stの交差点で降ります。多少時間は掛かりそうです。交通局Trimetのページで、バスルートをトレースできる地図&時刻表があるので、確認してみて下さい(http://trimet.org/bus/index.htm)。

Alberta Stは東西に連なる通りであり、賑やかなのは15~30th Ave(Aveは南北に連なる)の周辺でした。北西部らしい爽やかな夏の休日。多くの人で賑わっていました。昼ご飯を食べて、店を眺めて散歩する。昼間訪れるのに最適な場所だと思います。
 
 
さてお待ち兼ねのフライドチキンサンド。パインステートビスケット/Pine State Biscuitsという店です(http://www.pinestatebiscuits.com/)。Alberta St/22th Aveにあります。行列を目印に訪れてください。レジで注文を頼み、しばらくすると自分のオーダが呼ばれて取りに行くというシステム。メニューの数が多いので迷います。今回は王道的?な、フライドチキンサンド(The Mcisleyというメニュー)と、アイスティーを頼みました。ちなみに英語名を伝えたので、名前が呼ばれたのに気づきませんでした、恥ずかしい笑。慣れない事をするものではありません。

とにかくおいしいです。日本では全くお目に掛かれない料理。ポートランドに来た甲斐がありました。しっとりとしたビスケット、そして何よりもチキン。フライドチキンに欠かせない秘伝のスパイスが健在。そしてハニーマスタードと、ピクルスが良く合います。甘さと、柔らかなすっぱさと、スパイシーな味が絶妙でした。甘さとすっぱさの組み合わせ(まさにハニーマスタード)はアメリカならではの、味付けでいいですね。それに胸肉なので、肉のうまみがあるし、脂っぽくないので、食べやすいです。そして口直しのアイスティー。南部料理を食べる時は、これくらい甘くないと。量が多いのも嬉しいです。

ちなみにPine treeはノースカロライナ州のオフィシャルツリー(州の木)ですから、やはり南部テイスト。そもそもファーマーズマーケットのベンダーからスタートした彼ら。全く気取ることのない店内でしたが、徹底したこだわりとマーケティングを感じる辺り、やはり素人ではない、ビジネスマン達なのだと思います。何事も徹底しないといけません。
 
レストランの裏側です。雑然としているようで、うまくまとまっていて良い雰囲気。花屋も、レストランも、ゴテゴテしていないで、全てが自然体でした。Thicket(http://www.thicketpdx.com/) という花屋を発見。日本の個人商店のオーナーさん、働いている方はディプレイやマーケティング方法を観察に、ぜひポートランドを訪れるべきです。チェーン店ではなく、こういう雰囲気の店が増えて欲しいですね。ちなみに、ポートランドのボヘミアンタウンといえども、さすがに"Fresh Herbs"は"まともな方の"ハーブでしたので、安心して下さい笑。
 
 
街の景観を乱すと悪名高い電信柱も、ここでは一つの文化です。コメディドラマのPortlandiaにも、電信柱にバンドの宣伝を貼り付けるシーンがあったくらいです。そしてまたしても、マイクロブルーワリーを発見。ちょっとしたロットにこうやって、テーブルとイスを出して、くつろいでいます。Food truckがありました。のんびりとした休日の過ごし方が上手な人達だと思います。

それにしても、こうしたヒップな地区は全米色々な町で見ることが出来る時代です。代表格はニューヨークのブルックリン・ウィリアムズバーグ辺りでしょう。しかしポートランドは良い意味で田舎なのです。背の高い建物はない普通の住宅街だし、空は広いし、道路も広い。ウィリアムズバーグなんかは、ヒップな街とは言え、ものすごい競争社会の雰囲気を感じます。どの店も、ああ見えて張り合っている感じ。一方でアルバータ地区はもっと落ち着いた雰囲気。

そしてこうした個人経営の個性的な店を、そのまま日本に持って帰りたいくらいでした。いわゆる「私達は理念を大事にします」というコンセプト重んじますよ姿勢も、きちんと収益性というビジネスの鉄則に結びつける為のパフォーマンスの一環(もちろん理念は重要ですがそれだけではない)、とはいえ、表立ってガツガツしていないゆとりを感じさせます。けれども、考えているのはしっかりとした収益性。ボヘミアンに見えて、やはり彼らはプロ集団なのでした。

"Alberta Main Street" 地元の商工団体:(http://albertamainst.org/)
"Travel Portland" 公式観光ガイド:(http://www.travelportland.com/collection/alberta-arts-district/)

ポートランドのまとめです。ご参考。
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Nov 21, 2013

本当にあったフェミニストのための本屋

フェニミストのための本屋を見つけました。リベラルな気風で知られるオレゴン・ポートランドの"In other words"という、なかなか衝撃的な店。コメディドラマのポートランディア(Portlandia)に登場するフェミニスト書店の舞台にもなっているこの店。とにかく店の中に入って見てください。ただ一言、驚きの世界です。
ダウンタウンからは少し離れた場所にあります。車か自転車あればベストです。ポートランド北東地区("NE"と良く記される)NE Killingsworth Stと、N Williams Aveの交差点に店はあります。路面電車MAXイエローラインのN Killingsworth駅から、バスのRoute 72に乗って、同交差点で降りればよいと思います。交通局(Trimet)のホームページから、Route 72を選択すると時刻表やルートが分かります(http://trimet.org/schedules/index.htm)。観光で訪れるのならば、思い切ってダウンタウンで自転車を借りて、MAXで途中まで移動する、もしくは人気のミシシッピ地区の北側にあるので自転車でNorth Mississippi Aveから来るのもありです。参考は過去記事をどうぞ(ポートランドのボヘミアンネイバーフッド/ミシシッピ通り)。

ドラマPortlandiaを観たことがある人なら、外観で分かるはずです。あのToniとCandaceが出てくるWomen and women firstです。店の外では"おにいさん達"が写真を撮り合っていました。ちょっとした観光地でもあります。As seen on PORTLANDIAと書かれていました。

実際に店内に入ると、まさに女性2人の店員さんがいました。ハーイ、と挨拶。カウンターの背後にはドラマでお馴染みのカレンダーボード。ミーティングスペースも兼ねた広い店内。本だけに限らず雑貨もあります。もちろんコミュニティーセンターなので、イベントの案内や様々な情報が手に入ります。色々ありましたが、一番の発見はまさかのViginaアート。Vigina塗り絵に、Viginaペンダント。うーむ。
知る人ぞ知る世界だと思いますが、こうした書店はニューヨークにもありました。ブルーストッキングス(Blue stockings)という店で、ローワーイーストサイドにあります(http://bluestockings.com/)。店自体は同じコンセプトを感じますが、違いは立地する場所の雰囲気が与える影響です。Blue stockingsはニューヨークでも、ローワーイーストサイドにあるので、良い意味で都会的にゴミゴミしたエリア。何やら緊密な雰囲気です。ジェイン・ジェイコブスが讃えるあの質感。一方で、ポートランドはのんびりしています。空が広いなと感じるこの感覚。戦う雰囲気さえも感じたニューヨークと、ひたすら自分の道を探求する雰囲気のポートランド。場所や環境の雰囲気が、人間の思考や議論に与える影響は無視できません。

それにしても、Portlandiaはおもしろいです。スケッチコメディなので、様々な種類の笑いが含まれていますが、中でも「知的さ」という点では、Women and women firstが登場するフェミニスト書店のシーンがおもしろい。「政治性と下ネタを織り交ぜた過激でぶっとんだ知的さ」はなかなか日本のコメディーでは見られず残念です。コメディという手法を借りれば、より効果的に社会的なメッセージを伝えられるのに。あくまでも笑いながら、でも時折まじめなことを考えさせられるのは、フレッド・アーミセン達、番組スタッフの天才的な手腕ですね。

"In other words":http://inotherwords.org/
 昼間から夜7時まで。日曜日と月曜日はお休みなので、気をつけてください。

ポートランドのまとめです。ご参考。
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2013/11/blog-post_4735.html

ポートランドのボヘミアンネイバーフッド(ミシシッピ通り)

ポートランドの魅力はボヘミアンな雰囲気の街並み。もちろん自転車で周ると最高です。ダウンタウンから出発し、最近注目を浴びているノースミシシッピ・アベニュー(North Mississippi Ave.)を目指します。まだまだラフでインダストリアルな雰囲気は残っていますが、個性派ぞろいの面白い店が立ち並んでいました。地元の人達の休日を真似てみました。
 早速ダウンタウンで自転車を借りました。Waterfront Bicycleという店は、路面電車MAXのSkidmore Fountain駅の近くにあります。日本からネット予約をしておくと便利です。一日40ドルと高めの値段ですが、それ見合いの立派な自転車を貸してくれます。アメリカでは日常的なハイブリッドタイプの自転車で、快適にスピードを出せて気持ちが良かったです。ヘルメットとU型ロックも忘れずに借りましょう。とても親切なおじさん店員。ルートプランニングも手伝ってくれました。交通量や舗装状態によって走りやすさが色塗りされた地図を入手しました。初めての街でも時折地図を確認すれば安心。それにしても、どこに行っても自転車屋の店員は親切です。ナパバレーでもそうでしたが(過去記事)、ゆとりがある雰囲気。アメリカの自転車文化は日常生活に根ざしたものでありながら、何か特別なものがあるのかも知れません。そもそも値段からして、結構高いのです。比較的ゆとりがある人向けなのでしょうか?

まずはNorth Mississippi Aveのスタートへ。路面電車MAXに自転車を乗せて向かいました。途中までの道が分かりづらかったからです。ポートランドでは路面電車に自転車を乗せられるので、疲れたり道に迷った時には、路面電車に頼るのもありです。車内ではスタンドがあり、前輪を頭上のフックへ吊るし、後輪は床のガイドに通します。自転車をぶらさげておくイメージです。

Albina Mississippi駅で降ります。周囲はちょっと寂しい雰囲気。やはりミシシッピ地区は最近注目を浴びてきたばかりなのです。現在進行形の街並み。工場や倉庫、廃墟も立ち並んでいて、タフでインダストリアルな雰囲気ですから、暗くなってからは止めた方がよいと思います。さっそくNorth Mississippi Aveを進みます。最初の15分は辛抱。寂しい景色、そして何気に坂道が続きます。それでも道は一本で分かりやすい。ロサンゼルス・ダウンタウン(チャイナタウン方面のあの乾燥した孤独な雰囲気)のようなイメージです。
そして坂を上りきるとお待ちかねの街並み。 どうでしょう、なかなかボヘミアンな雰囲気です。写真よりも数ブロック北に移動した、Beech St周辺が一番賑やかでした。ビンテージ服ショップにレストラン、マイクロブルーワリーも発見。気の向くままに店を眺めましょう。地元の人達で賑わう、穏やかで美しい休日の昼間に心が和みました。タコスで有名なタケリア(メキシコ料理屋)の"Por que no?"はFremont Stを過ぎたところにあり、さすがの行列でした。のんびりした雰囲気が好きな人におすすめの街並みです。そして店舗や商業施設のデザインやディスプレイを知りたい人にもおすすめで、個人経営の小さな店をやっている人には、一つ一つの要素が参考になるかも知れません。計算してないように見せながら、徹底的にマーケティングしている店ばかり。お店ガイドは、地元の商工会議所?とも言える団体が運営するこちらのサイトをどうぞ(http://www.mississippiave.com/)。
ミシシッピ通りは人通りがあるのですが、一歩路地に入ると途端に寂しい雰囲気になります。再開発が注目されるということは、その裏にある歴史を知っておく必要があります。ミシシッピ地区は、かつて第二次世界大戦を通じて軍艦等の造船が盛んになり、大量の労働者を確保すべく、アフリカ系アメリカ人が流入してきた街。戦後にコロンビア川の大洪水が起きた際、大変な状況で彼らは残されてしまい、決して恵まれた状況に置かれなかった地区なのだそう。そんな歴史を持つ地区の再開発を、ジェントリフィケーションと呼ぶのか、それとも活性化と呼ぶのか。つくづくアメリカは興味深い社会だなと実感しました。

ポートランドのまとめです。ご参考。
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2013/11/blog-post_4735.html

Nov 14, 2013

ファーマーズマーケットの開催は日本では難しい

おいしい朝食を食べながら考えました。ポートランドのファーマーズマーケットのようなイベントを日本では実現できそうに無い理由です。ファーマーズマーケットとは、牧歌的な光景に見えながら、人々を啓蒙しようという教条的な理念と、資本主義とが高度に結びついた、大人のプロ集団による本気の舞台なのです。
 ・ファーマーズマーケットで「地域活性化」する必要がある程、そもそも日本の社会はそこまで荒廃していない。

ファーマーズマーケットは「地域活性化」に欠かせないイベントであり、道具です。しかし「活性化」とは地域の賑わいや経済効果を期待するものである以上に、地域の更正、荒廃からの復帰という、より政治的な使命を帯びているものを意味します。時には宗教的・教条的とさえ感じさせる緊張感と勢いも必要です。その為には、活性化の為に労力の注ぎがいがある程の徹底的に荒廃した社会が必要です。そして荒廃/活性化の対立軸において、それぞれの状態を作り出す要素(地域住民)が徹底的に異なる性質を帯びていることが欠かせません。幸いにも日本にはここまで徹底した社会的な対立状況は表面化していません。表面化していないことが問題ということではなくて、そもそもの対立の度合いが比較的浅いということです。

結局ファーマーズマーケットは、ジェントリフィケーションを引き起こすための道具の一つと言えるかも知れません。比較的裕福で文化・教育水準が高い人達がファーマーズマーケットの会場に集うことで、世帯収入・人種構成の面で地域の雰囲気が変わっていくのです。その結果、取り残される人達が生まれ、負の側面が生じるのは事実ですが、プラスの経済循環が生まれ、ひいては税収につながる効果も否定することは出来ません。
それでは、どんな人々が訪れているのでしょうか。新鮮な野菜を親に食べさせてもらえる幸せな子供の写真です。子供に野菜を食べさせたいのに、なかなか食べてくれないという悩みは一般的ですが、そもそも、食べさせることが出来ないのだとしたら、より一層深刻な問題です。野菜は、肉や穀物、加工食品のようには簡単に大量工業生産が出来ないので、概して値段が高くなりかねません。自ずから1カロリー当りの値段も高くなります。健康的な食生活を送るためには、比較的豊かな収入が必要になるとは、皮肉な話です。炭水化物と脂肪に頼らない栄養摂取は重要な課題なので、手頃に野菜を食べられるようになるべきですが、金銭的な問題があるのです。そして人々の趣向の問題。炭水化物と脂肪の比重が大きい食生活と、彼らの趣向とを結びつけて、貴賎を論じることが出来るのか。いずれにせよ、野菜・炭水化物・脂肪のどれでも好きに取れるだけの選択肢が用意されるべきでしょう。その点、ベジタリアンチョイスが比較的豊富なアメリカはよいなと思います。

・彼ら自身で集団を結成した時のアメリカ人の意志と行動は徹底的。

ファーマーズマーケットの運営団体はユニークです。まずは構成メンバー(ボードメンバー一覧)。市職員(ポートランド市住宅局)とランドスケープカンパニーのメンバーが参加しています。法律や規則といったテクニカルな面の運用は重要なので行政の参与が必要なのはもちろん、民間業者であるランドスケープカンパニーも参加することが、「活性化」の為に必要とされる原動力をもたらしているはずです。彼らにとって有益でなく、価値もないことを民間業者が行う理由はありません。資本主義の理論が染み渡っているのです。日本風に言えば、行政・不動産デベロッパー(更に私鉄の鉄道会社?)が皆で運営しているイメージでしょうか。やはりプロ集団の力が必要です。特にマーケティング技術と志向。理念は大事ですが、本当に理念を実現するためにはプロ集団の技術と、資本主義と収益性に裏づけられたパワーが欠かせないのです。

そして参加農家に求められるルールもストリクト(ベンダーになるための条件)。これは本気です。誰が決めたか分からない、漠然と決められた規則に結局は従っているという曖昧なものではなく、自分達で決めた厳しいルールを互いに守り、参加者にも課すというダイナミズムがたまりません。

最後に。
 地域を更正する。人々の味覚を更正する。そして人々の音楽に対する感性を更正する機会をも与えてくれます。オートチューンに毒された耳を癒す為のバンド達が会場には数多くいました。オールドタイムやブルーグラスのバンドが多かったです。爽やかで明るい、落ち着いた初夏のポートランドにぴったりの音楽。気持ちよかったです。

それにしても、アメリカが本気で社会的な運動、行動を起こした時の迫力と気合には追いつくことが出来ません。日本がポートランドのファーマーズマーケットから学ぶものがあるとすれば、ファーマーズマーケットは決して牧歌的なものなのではなく、技術的(マーケティング、自主ルールの作り方)なプロ集団の力が必要なのだということ。そして新鮮な野菜、健康的な生活を掲げ、人々を啓蒙するという教条的な思想と、資本主義(民間業者や行政を巻き込むための理由)が高度に結びついた舞台であるということを知る必要があるでしょう。それでも、スーパーに行けば新鮮な野菜が手頃な値段で十分に買える国であっても、面倒くさいことをしてまででも、彼らのファーマーズマーケットを真似てみる価値は十分にあると信じます。

難しい話はさておき、おすすめのショップ&食べ物はこちらから。
おいしい食べ物自体はもちろん、気候も会場の雰囲気も全てが最高でした。
「ポートランド・ファーマーズマーケットで見つけたおすすめ」
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2013/10/12.html 

ポートランドのまとめです。ご参考。
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2013/11/blog-post_4735.html

Oct 26, 2013

ポートランド・ファーマーズマーケットで見つけたおすすめ

とても気持ち良い雰囲気のファーマーズマケット。散歩と朝ごはん、お土産を買うのにも最適でした。ポートランドのエッセンスが詰まっています。見ているだけで楽しいベンダーと会場の写真を紹介します。とにかく、うまいものばかりです。さすがポートランド。
1992年から始まったファーマーズマーケットは、ポートランド市内の7カ所の会場で開かれています。今回は毎週土曜日の午前中に開催している、PSU(Portland State University/ポートランド州立大学) 会場を訪れました。毎日いずれかの会場で開催されているので、何曜日にポートランドを訪れても参加できますね。PSU会場が最もベンダーの数が多くて賑やか、かつ観光でも訪れやすい場所にあるので、土曜日に訪れることが出来て幸運でした。

会場は路面電車MAXのPSU/SW 6th Montgomery駅から、SW Harrison St.を2ブロックほど歩いた公園にあります。緑と木漏れ日が美しい広場です。周辺は大学キャンパスを形成していて、大学関連の建物が立ち並んでいます。街中のキャンパスでありながら、緑が豊かで美しいです。

みな、思い思いにくつろいでいます。たくさんの人で賑わっていましたが、決してゴミゴミはしておらず、あくまでも落ち着いたリラックスモード。こちらの人は基本的な動作や仕草が、何やら落ち着いていますね。そして家族、ご近所さん?含めて、休みの日をこうやってのんびりと過ごすなんて、うらやましいです。それにしても、お客さんはコケイジャンばかり(約8割?)。ポートランドの街中を歩いた限りでも、それほど人種的多様性を感じませんが、ファーマーズマーケットはより一層その傾向を感じました。



色の洪水!日本では見かけない野菜も多々あり、眺めているだけで楽しいです。どんな料理にしたらおいしいのか。そんなことを考えながらの散歩は、foodie pleasureでした。アーティチョークは日本では見かけませんね。どのベンダーも野菜をどさっと、ラフに積み置きしている印象ですが、実は色取りや見栄えをしっかり計算しているはずです。オレンジ&赤のミニトマトの色のコントラスト。美味しそうに見える山積み具合。視覚的な印象は重要です。しっかりと考察を踏まえ計算しているのに、あくまでも自然体に見せるのです。

朝食のおすすめ
・「パールベーカリー」Pearl Bakery http://www.pearlbakery.com/
パール地区(パウエルブックストアの近く)にあるパン屋はファーマーズマーケットにも出店しています。ずっしりとしたバナナブレッドがおいしかった。近くにはコーヒーベンダーもありました。地元な有名なパン屋として、サンフランシスコ・ミッション地区にある「タータイン」 Tartineのような存在でしょうか?(過去記事

・果物もあります。ベリー系の充実っぷりはアメリカらしいなと思います。 桃もありました。皮をむかないで、食べている人を見かけました。おなじみの食材でも、食べ方が少しづつ異なるのが、外国で見つけた小さな発見です。小さな違いがおもしろいですね。

・もちろんミートラバーも満足できるベンダーはあります。ホットドッグの店、アルバータ通りで有名な「パインステートビスケット」Pine State Biscuitを見つけました。フライドチキンを挟んだビスケットサンドイッチが絶品です。かなりの行列でした。名前は忘れてしまいましたが、サラミの店で試食したドライサラミも最高。

おみやげのおすすめ
・「フレディーガイズヘーゼルナッツ」Freddy Guys http://www.freddyguys.com/
ポートランドでよく見かけるヘーゼルナッツを買うならぜひここで。試食させてもらって、店の人と会話をしてコミュニケーションを取りながら買ったお土産はより一層、思い出に残りました。ガーリック風味はビール党、チョコがけは皆にぴったり。愛想のよい店員さんでした。

・「チェリーカントリー」Cherry Country http://thecherrycountry.com/
オレゴン名物のさくらんぼの店です。きれいな箱に入ったチョコがけのさくらんぼは日本人の お土産にぴったりだと思います。ギフトらしい体裁を望むのならば。この店はBS-TBSの「アメリカの街」という番組に登場していました。 家族経営です。日本のテレビで見たよ!とお姉さんに話しかけたら、何やら嬉しそうでした。

行きたい店リストなんて作らないでください。いっそ事前情報を仕入れないで訪れた方が感動が増すかもしれません。食べ物を食べるという当たり前の行為がこんなにも神聖で重要なんだと、再発見をしました。工業生産された加工食品を大量に消費する国でありながら、アーティサナルな食文化も世界に発信するアメリカのパワー。良い方向にも、悪い方向にも、食文化を牽引する力を持った国なのです。そしてポートランドの食文化!じわじわと伝わってくる感動が気持ちよかったです。

後半では、こうしたファーマーズマーケットの日本での開催が難しそうな理由、それでも真似する価値があるのではないか?と考えてみます。
「ファーマーズマーケットの開催は日本では難しい」
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2013/11/blog-post_14.html

ポートランドのまとめです。ご参考。
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2013/11/blog-post_4735.html

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