Dec 28, 2014

ミッションドロレスパーク、美しい夏の夕暮れ

サンフランシスコのミッションドロレスパーク/Mission Dolores Park。美しい夏の夕暮れに訪れました。ビル群を眺める景色と共に、ヒップスター観察も楽しめます。今人気を集めつつある、ミッション地区散策の拠点にもぴったりです。クラシックな観光地のアラモスクエアに替わる、今時らしいサンフランシスコの新定番がミッションドロレスパークです。定番過ぎる場所に飽きてしまったら、ミッション地区へ来てください。
ドロレスパークの最寄は、地下鉄MUNIのJライン"Church St and 18th St"駅。サンフランシスコは公共交通機関が便利な街ですから、観光客でも地下鉄やバスを使って、様々な場所を訪れることができます。乗り放題きっぷがおすすめ(http://www.sfmta.com/getting-around/transit/fares-passes/visitor-day-passes)地下鉄&バスはもちろん、ケーブルカーにも乗車できます。購入はMarket&Powell(ケーブルカーの始発駅であり、地下鉄MUNIやBARTの駅も集まる便利な場所)にある、観光センター(マーケット通りの地下)&チケットブース(ケーブルカー乗り場の近くにあるキオスク)でどうぞ。使いたい日付をコインで削って、乗車の際に運転手に見せればよいです。地下鉄MUNIはワンマン運転なので、乗車する際に運転手にチケットを提示するというバスと同じ乗り方です。Clipper/クリッパーというICカードを持っている場合は乗車口のマシンにタッチします。乗り放題きっぷは、BART(バークレー&SFO空港へのアクセスに便利)やCAL TRAIN(スタンフォードやサンノゼに行く列車)では使えないのですが(Clipperは可)、いずれにせよClipperがあるとベイエリアの移動に便利です。

地下鉄MUNIは都心部では地下を走っていますが、Market通りを抜けると地上に出ます。最寄り駅が近づくと公園が見えてくるので、すぐに分かります。下車時は窓にあるロープを引けば、停車してくれます。日本ではボタンを押しますが、ロープを引くのは他都市と同じくアメリカならではですね。下車したら 18th通りを歩き(進行方向の左手に教会風の高校が見えます)、Dolores通りを右に曲がると公園です。このまま18th通りを進むと、スーパーマーケットのBiRite/バイライトや、ベーカリーのTurtine/タータインがあります。グルメ散策のメインストリートです。昼時なら、BiRiteやTurtineで食事を買って、ピクニックするのもいいですね。

公園に入ったら、南西側の一番高い場所まで芝生の斜面を登ってみてください。小さい公園なので、どこが一番高い場所かすぐに分かります。サンフランシスコのビル群を一望することが出来ます。坂のある街は美しいです。また一番高い場所付近は、映画"スイート・ノベンバー/Sweet November"に登場しました。あの映画を観て、ドロレス公園やノエバリーの雰囲気が気に入った人にはおすすめです。高級なカメラを持っている人は、ぜひ太陽が傾きだす夕方に訪れてください。光線を上手に取り入れると良い写真が撮れそうです。夏はサマーターイムで20時過ぎまで明るいので、夕方18時ごろでもまだまだ明るかったです。
 
どうでしょう、この雰囲気。日曜日の夕方と言うこともあり、のんびりする人達で賑わっていました。公園で仲間とリラックスするのに、何もスキルやテクニックが必要な訳ではありませんが、こちらの人達は屋外で何もしない時間の過ごし方が上手なような気がします。アウトドアはコケイジャンにより人気が高いレクリエーションであるのか、ドロレス公園は思いの他、人種的ダイバーシティーが薄い印象を受けました。また本当は屋外でお酒を飲んではいけないのですが、こっそりとブラウンバック(茶色い紙袋)にボトルを入れて飲んでいる人も見かけました。泥酔している人もおらず、騒がしい人もいなく(特にこちらの人は声が低いから、大声で話していても、頭が痛くなる甲高い騒ぎ声ではないのが救いです)、平和でした。
公園でくつろぐ人達の衣服や持ち物を見ていると、これから何をアメリカから輸入して日本で流行らせたらよいか、ヒントを得ることが出来そうです。ピクニックグッズ、アウトドアの食べ物やグッズなどなど。トレンドセッターや、マーケティングには格好のスポット。日本の夏は、高温多湿で、サンフランシスコのようには快適にアウトドアを過ごせないのが、残念なのですが。また付近の住宅も美しいです。快適な住空間に興味のある人は、ぜひ散策してみてはどうでしょうか。旅先で購入したお土産を持ち帰るのも素晴らしいけれど、現地人の快適な暮らしのアイデアを自分の家に持ち帰ることが出来たら、更に有意義な価値のある旅行になることでしょう。
 最後にピース!今回訪れたのは休日でしたが、後日平日の朝に訪れてみると、公園一帯の平和な住宅街を大きな灰色の無印のバスが走っていました。IT企業に勤める人達向けの通勤バスでしょう。平和な公園でありながら、公園一帯のミッション地区は、ジェントリフィケーションの典型例とも言える景色が見られる訳です。我々旅行者が感じる「心地よさ」とは、一つにジェントリフィケーションの賜物とも言うことが出来る訳で、(彼らにとって)out of comfort zoneであった地区をcomfort zoneに作り変えていった歴史を踏まえると、私達が感じる「心地よさ」とはコンフォートゾーンに留まっているが故に感じることなのです。

ミッション地区にあるもの、そしてドロレス公園の心地よさを日本に輸入して、実現できるかと言うと難しいものがあると思います。幸運にも社会の軸が多様(一歩間違えると分裂)とは言えない社会において、人々が感じる心地よさ、そして文化的趣味や趣向も、良くも悪くも分断化されていないからです。文化レベルの格差において、人々はその趣向を最大限実現すべく活動にいそしむのですが、趣向の実現の為の手段(資本力)に絶望的な格差が伴うようになると、今時点、何も考えずに「心地よさ」を感じる文化レベルの実現(といいつつも、結局は消費社会に踊らされているだけなのですが)にいそしんでいる人達は、今得ているものを失っていく過程において、結局は踊らされていただけだったのだと、饗宴を懐かしむことになるのでしょうか。

Oct 27, 2014

オレゴン・ポートランド国際空港での乗継ぎと楽しみ方

デルタ航空で東京成田からアメリカに向かう方へ。ポートランド国際空港/PDXは、コンパクトで主に西海岸諸都市への乗継に便利です。待ち時間だって、空港に居ながらにして、個性的なオレゴン・ポートランドらしさのエッセンスを楽しめます。東京からポートランド経由、アメリカ他都市への乗継方法と、空港での楽しみ方を紹介します。
緑が美しいポートランド。ファーマーズマーケットは定番の観光スポット。



・東京からのデルタ航空直行便 、乗り継ぎに便利なターミナル

東京成田からはデルタ航空の直行便が、一日一便就航しています(2014年8月現在)。東京からポートランドへは約9時間、ポートランドから東京へは約10~11時間のフライト。運が良いとアラスカの美しい山脈や氷河を眺めることが出来ます。デルタ航空直行便が就航していない都市(サンフランシスコなど)へは、シアトル/SEAよりもポートランド/PDXの方が乗り継ぎが便利だと思います。機材はボーイング767、座席数が比較的少ないこともあり、満席でした。東京・アメリカ共に発着時間が便利な為、乗継のお客さんが多いのでしょう。

現地到着後、「入国審査・荷物受け取り・税関・荷物を再びチェックイン」という流れは他の空港と同じです。案内表示に従って進むだけです。税関後の再チェックインカウンターの場所が案内が少なくて分かりにくいですが、誤って出口から出てしまわないで下さい。また荷物を再チェックインする際は、航空券と荷物のタグを見せて、最終目的地の確認を地上スタッフと行った方が安心です。あまり決め細やかではないので、自分の責任で確認を取り合いましょう。荷物を預けたら セキュリティー検査を受け、エスカレーターで階上に進むと、そこがもう国内線の搭乗ゲートが並ぶフロアです。近くにいた空港ガイドさんが、目的地と搭乗ゲートを確認して教えてくれました。こちらから尋ねるまでもなく、ガイドをしてくれる以心伝心サービスがまさかアメリカにあるとは思っていませんでした。

ポートランド国際空港は各ターミナルが一つの建物にまとまっている為、再チェックイン後のターミナル間移動が無くて便利です。再チェックイン後に国内線に乗る為、トラム(空港内の電車)に乗って、別のターミナルに移動する手間が無いのです。シカゴなど、他大都市とは異なります。アメリカは出国審査が無いので、アメリカ入国便のみ専用の国際線ターミナル(入国審査・管理の施設が必要)を使い、国内線やアメリカを出国する国際線は航空会社別のターミナルから出発するという形式が多いと思います。入国時はもちろん、出国(日本に帰国)時にも、向かえばよい建物は一つだけなので分かりやすいです。詳しくはデルタのページ(http://ja.delta.com/content/www/en_US/traveling-with-us/airports-and-aircraft/airports/portland.html)をどうぞ。

・アメリカ西海岸の入国審査

また入国審査は入念に。絶対にESTAをお忘れなく。特に血縁関係の無いお子さん連れの方(ご友人のお子さんとか)、留学や語学研修に行く学生さんは気をつけてください。前者は、ハーグ条約の影響もあるのか、お子さんへの入国審査は時として厳しく、過去にシアトルでは、自分の前に並んでいた日本国籍の小学生くらい?のお子さんでも、一人で入国審査官から質問を受け、結局は別室に案内されているケースを見たことがあります。後者は、滞在目的とビザの有無をしっかりと伝えましょう。大学等の教育機関への留学と、短期間の語学研修プログラム等への参加では、性質が異なるのです。滞在目的が「勉強」だと言えば、「それは留学ではないのか?ビザが必要なのでは?」と問答が始まる可能性だってありえます。

・免税店が無いことが意味するポートランドのクールさ

さあ、乗継ぎには最低1~2時間の余裕が必要だと思います。乗り継ぐフライトを逃さない為であり、そして空港でのショッピング・レストランの楽しみを逃さない為でもあります。ポートランド国際空港、最大の特徴と感じたのは、いわゆる免税店が無いこと。化粧品やタバコや洋酒を扱ったお決まりの免税店。これはクールです。地元産ウイスキーを販売するキオスクのお姉さんに教えてもらいました。ピンク色のメッシュにタトゥー、メガネがかっこいい、ヒップスター風のお姉さん。「免税店定番のタバコの販売に関して反対の声が上がったこと、ポートランドからのアジア便が減って以来(現在は東京成田のみ)、アジア人のお客さんが減り、免税店の客入りが悪くなって閉店されたままなんだ。」と教えてくれました。細身のスーツやシャツに身を包んだきれいなお姉さん達が、はるばる遠方から運ばれて来た化粧品やウイスキーを販売する空港もあれば、ヒップスターのお姉さんが地元蒸留所・ローカルにこだわったウイスキーを販売する空港もある。価値観の違いです。成田や香港、シンガポールの様に、ファンシーなハイブランドを取り扱わないのがヒップスターの真髄でしょうか(とはいえヒップスターご愛玩の品々は結構プライシーなのですが)。

・空港でさえも、ヒップである必要がある

空港は地域の玄関口であり、地元名産をアピールする格好の場所ですが、「気取らず自然体に、でもやっぱり気取っている」という、ポートランドならではのさりげなさは参考になります。どうすれば、ごてごての観光地、物産展っぽい野暮ったさを拭い去ることが出来るのか。企業や、省庁・地方自治体の方で視察旅行に来られた方には、帰国便の搭乗ゲート、最後の最後まで気を抜くことが出来ません。 

「バーガービル」Burgerville

地元チェーンのハンバーガーショップの空港支店。おいしいバーガーは手頃な値段で楽しめます。魅力はローカルへのこだわり。食材の調達はオレゴン&ワシントン州にこだわっていると袋に明記されています。ビールを頼んだら、当たり前の様にクラフトビールのセレクションメニューを見せてもらいます。一般的に外食が高いアメリカ。ましてや空港で1000円以内でグルメバーガーを楽しめるとは。ローカルへのこだわりなど、能書きが多い店の割りに、確かにおいしくて、手頃な値段で楽しめる実力派です。ちなみに検査ゲート脇のレストラン(ワインバー)は微妙なので、忘れずにここまで脚を運んでください。

「ローグ」Rogue

 知る人ぞ知るクラフトビールの有名銘柄の店は空港にもあります。フルサービスのレストランなので、時間と予算に余裕がある人向けです。純粋に食べ物ならバーガービルの方が追い私用に思いますが、ローグを飲めるのはここだけ。それにしても、こちらの人は、(若い女性でも)空港のバーカウンターでお酒を飲む姿を見かけます。ぜひ成田や羽田にも設けてください。国際的な銘柄を扱うもよし、何より日本にもおいしい日本酒や海外に勝負に出れる品質のクラフトビールがあるのですから。

「メードインオレゴン」Made in Oregon

おすすめはチョコレートがけのヘーゼルナッツ。ファーマーズマーケットでも見かけました。要するに地元物産館なのですが、どうすればこのかっこよさを演出できるのでしょうか。

ポートランド国際空港はさりげなく、素晴らしい空港です。「おもてなし」という至れり尽くせリな概念で魅力をアピールしている訳ではないので、利用客自身がその魅力を自分なりに感じ取る必要がありますが、自分で魅力に気づいていくというDIY的なプロセスもポートランドらしさでしょう。「ローカル・アーティサナル・ヒップスター」という価値観は、結局アッパーミドル以上のお金を持った若いコケイジャンに特有のものなのかも知れませんが、何やら空虚なマーケティングワードでは?と、それで片付けるのはもったいない。彼らの真似をしているだけなのではと言われればそれまでですが、真似をするのが私達の宿命であるのだとすれば、今現在、最高のお手本はオレゴン州ポートランドにあるのだと言う事が出来るのです。

Oct 16, 2014

米軍基地のオクトバーフェスト@キャンプ座間

米軍基地(キャンプ座間)でオクトバーフェスト?不思議な組み合わせですが、恒例の秋祭りが模様替えをして、2014年10月11日に記念すべき第一回オクトバーフェストが開催されました。ようやく涼しくなってきた良い季節、秋の夕暮れをビールと共に楽しんで来ました。キャンプ座間へのアクセス方法も紹介しますので、ガイドとしても参照して下さい。派手なイベントではないですが、貴重な体験を味わえます。
横田や横須賀に比べると地味な印象ですが、キャンプ座間は相模原と座間に跨るアメリカ陸軍の施設です。最寄駅は相模大野から2駅目の小田急・相武台前駅です。かつては日本陸軍の施設であり、「相武台」とは昭和天皇が名づけた地名なのだとか。相模原に点在する米軍施設は、かつて軍都だった名残でもあるのです。都心、横浜からも電車で容易にアクセス出来るので、飲んでも安心です。もちろん車でも行けますが(駅前には何箇所か駐車場があります)、特に花見イベントの様に混雑する時はあまりおすすめしません。関東の他の施設に比べても、キャンプ座間は駅自体の利便性、駅からのアクセス(所要時間)が短めなので、初めて訪れる方にもおすすめだと思います。

駅ビルを背にして、駅前の「相武台前駅」交差点を渡り、商店街を道なりに進んでいくと郵便局が見えます。更にそのまま歩いていくとゲートが見えてきます。これが第4ゲートです。駅から約10分程度。住宅街を歩くので少し分かりにくいですが、いずれにせよ郵便局を目印にしてください。道なりに歩くだけで大丈夫です。イベントによっては第1ゲート(駅前通り沿い)が開放されることもあるので、事前に確認しておきましょう。在日米軍のTwitterやFacebook、自治体の宣伝を見ておくと、宣伝がされています。
入場時にはパスポートを持っていきましょう。最近のIC運転免許証は本籍地の証明が出来ないので使えません。やはりパスポートが一番確実だと思います。折角ゲートまで来たのに、入場出来ないのは残念ですから。手荷物検査を受けて入場すると、メイン会場へ約10分ほど歩きます。駅前の喧騒が嘘の様な、緑豊かな静かなハウジングエリアでした。うっそうとした緑、ゆったりとした土地の使い方。まるで別荘地のような雰囲気です。
 建物の雰囲気は日本っぽくもあるのですが、樹木の大きさ、芝生、歩道のコンクリートの雰囲気(アスファルトで固めない、あの白っぽい感じ)、黄色や赤色塗られた縁石、駐車場にもある緑地、ゆったりとして自然が豊かな感じが何ともアメリカ本土っぽいです。2014年中間選挙を前にして、在外投票の宣伝も掲げてありますが、ポスターの貼り方一つとっても、異国を感じます。
そしてメイン会場の途中にはフードコートとスーパーがありました。スーパーは関係者でないと立ち入ることが出来ませんが、フードコートは来場者にも開放していました。日本では見かけないフライドチキンのPopeyes、カフェのMain street expressoがおすすめです。スターバックスの豆を使用していると宣伝するカフェですが、さすがのスターバックスも米軍基地への展開はとまどうところがあるのでしょうか?尚、スーパーの前ではアメリカのお菓子等がテントで販売されていたので、お土産を購入するのに良いかもしれません。
そしてメイン会場に到着。美しい芝生の会場です。ライブパフォーマンスが行われるステージ。地元の方をメインとした物販コーナー(雑貨やアクセサリー、服が中心)と、グルメ屋台(縁日の屋台ではなく、タコトラックの様なグルメトラックがメインです)がありました。そしてもちろんメインとなる、ビールブースもありました。いずれも比較的手頃な値段であり、行列も出来ていません。横浜・赤レンガ倉庫の賑やかなオクトバーフェストもいいですが、リラックスモードでローカル感満載の座間こそ、のんびりするのにはおすすめだと思います。力が入りすぎていなくて良いですね。アルコールイベントですが、芝生でのんびりピクニックを楽しめるので、お子さん連れにもおすすめです。尚、オクトバーフェストは比較的値段が高めなので、安心して酔えないと思うことがありますが、今回は別ブースでお手頃なバドワイザーやミラーも販売されていました。MRWという米軍福利厚生団体によるお店に行って見て下さい。ちなみにMRWとは、こう書いておきながら、Moral Recreation Welfareの略なのです。あくまでもモラルを保って、お酒を飲みましょう。
ステージでは陸軍バンドによるパフォーマンスを見れました。クラシックロックを中心に、Katy PerryのRoar(♪私がチャンピョン、あなたは私にひざまずく。とはアーミーらしい強気な歌詞)、もちろんオクトバーフェストらしくドイツ民謡風の曲も演奏していました。チキンダンスと共に。とても盛り上げ上手です。

そして影に潜んでいるかのような小さなブースでしたが、AFN(米軍向けラジオ放送)によるイベント中継も行われていました。横田など、時折イベント中継が行われることがあります。ブースにいた3人は、朝・昼・夕方のトークショーのパーソナリティの皆さん。真ん中の男性と一緒に写真を撮ってもらいました。彼は朝のMorning Cruise Controlの方です。日頃、声しか聞いたことの無い方々にお会い出来て光栄でした。出来れば、「ヒサノ・ヤマザキさん」にお目にかかれればと思いました。日本紹介コーナーでAFNに登場される、Beautiful Ninjaとも言われる方です、気になります。それにしても、なかなかリラックスした雰囲気です。朝の番組では、If you love him or capital HIMとLady Gagaの曲を流していたかと思えば、夜にはラッシュ・リンボーが吠えている。世界最強の軍隊でありながら、これが彼らの全世界に布教すべき自由の価値観なのか、放送内容はなかなか自由な感じなのです。仮にもラッシュ・リンボーが批判しているオバマ大統領は彼らにとって、最高指揮官でもある訳なのですが。

本格的なオクトバーフェストを期待して来場すると拍子抜けするかも知れませんが、どちらかというと、緑豊かな美しい米軍施設でピクニックを楽しむイベントと言うべきだと思いました。友達や家族と訪れるのに適したイベントです。行事だからといって特段肩肘張らず、リラックスして休日を過ごせばよいと、これがアメリカのゆとりと言うべきなのか分かりませんが、ごくありきたりでありながら、キャンプ座間という特別な場所を楽しめるイベントでした。飛行機など軍の装備品を見るなら横田へ。街歩きの観光と合わせるなら横須賀へ。やはり地味な印象のキャンプ座間かもしれませんが、自然溢れるアメリカの雰囲気(郊外の住宅街っぽい雰囲気なのです)をじわじわと味わいたいなら、ローカルすぎる根岸ハウジングエリアや、池子よりも、キャンプ座間の方が良いかも知れません。日本にいながら、お目にかかれない光景です。

Jul 10, 2014

2014年春の池子フレンドシップデー

2014年春の逗子・池子フレンドシップデーです。基地開放とは異なり一見地味な様子のフレンドシップデーですが、家族連れの方には特におすすめです。良く晴れた気持ちの良い一日を満喫しました。京急で東京・横浜からも簡単にアクセス出来ますよ。
池子住宅地区は横須賀に展開する米海軍の為の住宅エリアで神奈川県逗子市にあります。京急の神武寺という駅にあります。京急の新逗子行きに乗ってください。金沢八景で逗子方面へ別れる路線です。間違って三崎口や横須賀方面に行かないように気をつけてください。神武寺は緑豊かな落ち着いた街です。三浦半島は海と同じくらい、何気に山や森も魅力的です。
駅を降りたら線路沿いを逗子方面に進むと、交差点&踏切にぶつかります。そこが会場への入り口であり、ゲートがあります。荷物検査を受けます。事前告知があるとは思いますが、国籍を証明できるID(パスポートがベター?)を持っていくことをおすすめします。運転免許証は、ID免許に変わって以来、国籍を証明することが出来ないIDになってしまいましたから。どういう規定かは分かりませんが、基地・住宅エリアによって必要書類の用件が異なります。ちなみに写真は関係者用のゲート。駅そのものに専用の改札が設けられています。なかなか珍しいですね。
池子ではのんびりピクニックをするに限ります。隊員達の出店で食べ物を買う。そしてステージライブを聞く。ビールにジュース、ジャンボターキーレッグにホットドッグ、焼きそばまで。ありとあらゆる人のニーズを満たす出店が並んでいます。やはり隊員の出店がおもしろいです。特に小さなお子さん連れの方にとって、社交的な笑顔溢れる(やはり彼らはソーシャライズされています)隊員との交流は思い出になるはずです。小さな時のちょっとした思い出は、大人になってから想像以上に記憶に残っていたりしますよね。
消防車の展示コーナーに行くと、記念写真も取れるし、プラスチックの帽子ももらえます。また会場はトラックフィールドなのですが、その縁は写真の通り芝生の斜面になっています。芝滑りを楽しんでいるお子さんもいました。そして斜面の上にはベンチがあるので、そこから会場を眺めることも出来ます。緑の多さにきっと驚くことでしょう。米軍施設の返還はとても複雑な問題であるのは承知ですが、少なくとも住宅地として開発しながらも、これだけの緑と自然を保っているというのは、皮肉にも米軍だからだと言えなくもないと思います。住環境にどれだけの緑や自然を持ち込むか。この価値観は実利的な開発の便益でもあり、また根本的に彼らが住宅に求める価値観の違いなのかも知れません。単純に彼らの故郷の国土が広いから、ゆとりがあるからというだけの理由ではないような気がします。

横浜・根岸の住宅地区とも異なる自然の豊かさでした。そして圧倒的にローカルな雰囲気。国際交流の場というよりかは、隊員や関係者たちが本国で行っているであろう、カウンティー・フェアみたいにのんびりとした地元のお祭りを楽しめます。日本人で海外に行く人は、出国前の人生のどこかで東京や大阪といった大都市を経験する人の割合が高いように思います。しかし彼らは、例えば中西部など決して国際的なダイバーシティーがあるとは言い難い土地から、いきなり日本や韓国、ヨーロッパなど異国の地に赴任する人達が多いはずです。その点、彼らも全く思っていない訳ではないでしょうが、自分は母国代表という不思議な使命感?を感じることなく、リラックスした気持ちでいることが出来るから、このローカルなお祭りを行うことが出来るのだと思います。開放日でありながら、肩肘張った国際交流ではなく、あくまでも日常の延長線上であるリラックス感が池子のよさでした。

(過去記事)
2014年春の横浜・根岸フレンドシップデー
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2014/07/2014.html

2013年夏の横浜・根岸フレンドシップデー
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2013/08/blog-post_1937.html

2014年春の横浜・根岸フレンドシップデー

アメリカ海軍の横浜・根岸地区で行われた春のフレンドシップデー。横浜市内にも米軍関連の施設はあります。観光地としての横浜が開港以来の異国情緒を持って語られるのであれば、こちらはまさしく現在進行形な異国との接点です。根岸森林公園と共にピクニック気分を満喫できますよ。横浜の地元感と、日本の中の異国が交じり合う感じ。異国との接点が日常であり、当たり前に存在しているという、根岸や本牧ならではの雰囲気は横浜の中でも個性的な側面の一つです。
横浜・根岸には、横須賀等に勤務する米海軍隊員の為の住宅があります(正式名称はThe Negishi Housing complex)。今ではひっそりと佇む住宅地区ですが、根岸はもちろん本牧等を含め横浜には数多くの米軍関連施設がありました。横浜において米軍の存在が大きかったというのは、いわゆる異国情緒として語られる観光地・横浜のイメージとは異なります。20代の私と、ベトナム戦争自体に横浜で青年期を過ごした方とでは、印象が異なるのでしょう。

根岸へのアクセスは過去記事(http://mytkychronicle.blogspot.jp/2013/08/blog-post_1937.html)を参考にしてください。JR根岸線の根岸駅から歩けます。横浜市外から訪れる方におすすめは、横浜駅からバスでのアクセス。時間は多少かかりますが、車窓からの観光気分で横浜市内を巡ることができます。横浜駅東口のバスターミナル(YCAT)から、103系統に乗ってください。終点の根岸台というバス停で降ります。横浜の中でもレベルの高い住宅街が周囲に広がっていますから、素敵です。クレイジーケンバンドが歌う"昭和なレジデンス"という言葉がぴったりな光景です。高級と言ってもギラギラしているというよりか、しっとりしているのです。

フレンドシップデーと言っても戦艦も飛行機もありません。出店が並び、地元の政治家さんや米軍の挨拶やバンドライブが行われ、子供用のプレイコーナーがある。相当にのんびりとしたローカル感満載なお祭りなので、ぜひピクニック気分で行きましょう。この雰囲気は、米軍関係者が故郷の地元でやっている、ローカルなお祭りそのものです。世界最強の国家にして、決して気張る様子のないリラックス感を日本でも展開するゆとりを感じます。
7th fleet(第7艦隊)所属のバンドがライブをやっていました。この女性ボーカルは横須賀のフレンドシップデーでも見かけたことがあります。とてもかっこよい声の持ち主です。このステージの近くには出店が広がります。日本人の出店も良いですが、折角なので米軍関係者の店に行ってみました。マッチョな隊員達がグリルサンドど、ホットドッグを焼いていました。「ワン、ハァッダッグ、プリーズ」と勇ましい掛け声。ちょっとしたオペレーションのような雰囲気。ちなみに、かなりの行列が出来ていましたが、店自体が人気であるというよりかは、隊員達のさばきが悪いからだと思います笑。威勢はかなりのものですが、あくまでも彼らはリラックスしているのでした。こういう所が好きです。決して急ぎません。他にはおなじみのアンソニーピザも出店していますので、お土産によいでしょう。"Yokosuka MWR"という福利厚生団体?がやっています。Moral, Welfare and Recreationの頭文字。
Negishi All Hands Clubという建物はおすすめです。中にはバーがあります。恐らくハイリーランクドな兵隊(将校?)の為のバーなのだと思います。中には"昭和な大人のかっこいい雰囲気"が漂っていました。何とも表現しがたいのですが、クレイジーケンバンドの横山剣さんの言葉を借りるとすれば、"ヤニ茶けた昭和な雰囲気"とでも言うのでしょうか。昭和の時代(今以上に外国との商売や交流の接点が少なく、従事者が限られていた時代)に外国との接点を持っていた、かっこいい大人達の雰囲気です。浜美枝さんがショーン・コネリーと共に出演した007(007は二度死ぬ)の時代のかっこよさなのです。現代であれば港区や丸の内を闊歩する投資銀行など外資系金融マンですが、当時はその身分にあるかっこいい外人とは、米軍の将校であったのかも知れません。

横須賀は米軍の実戦部隊であることに間違いありませんが、それでも全世界に展開する米軍の中でも比較的高学歴でランクの高い兵隊が集まるのが米海軍横須賀基地なのかも知れません。中でも根岸住宅地区はレベルが高い。根岸・本牧という地が醸し出す、世間的に皆が知るわけではない独特の異国情緒を土壌としながら、独特の雰囲気を楽しむことが出来ます。これだから横浜は面白いと思います。異国情緒が歴史的産物、ひいては観光資源として、一つ覚えのようにリピートされる観光地とは異なり、横浜の根岸にはひっそりと佇みながらも、現在進行形の異国情緒、異国との接点が展開されているのでした。

過去記事「横浜・根岸のフレンドシップデー」
(2013年夏のフレンドシップデー・盆踊りです)
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2013/08/blog-post_1937.html

Apr 11, 2014

春の横須賀フレンドシップデー

アメリカ海軍・横須賀基地では年に2回のフレンドシップデーが開かれます。2014年春、桜祭りは残念ながら春の嵐に見舞われましたが、基地ならではの雰囲気を楽しめました。2014年は3/30(日)の開催でした。だいたい3月の終わりに行われるので、横須賀市の観光ホームページや、twitterやfacebookをよくよくチェックしてみてください。

米軍の横須賀基地は、JR横須賀線の横須賀駅ではなくて、京急の横須賀中央駅が最寄です!今回も三笠公園から基地内に入りました。さすがに今回は悪天候で行列はありませんでしたが、並ぶ時は並びます。三笠公園内で並ぶこともあれば、国道16号にまで行列が及ぶこともあります。本当に混む時は、横須賀中央の駅前や、汐入のショッパーズまで並ぶことも。改札を出たら、観光案内の方がいるので、行列について聞いてみるとよいです。ちなみに駅のコインロッカーは数少ないので、極力荷物は少ないほうがいいですね。

基地に入る際、日本及びアメリカ国籍以外の方には特別なチェックポイントが設けられていました。身分証明書の提示はありません。同じ海軍でも、厚木基地は国籍証明が求められますが、横須賀では求めらません。しかし日本国内とはいえ、アメリカ合衆国政府の機関が管理する領域に入るということは、特別なことです。フレンドシップデーの案内で必要な書類が説明されるので、従えばよいのですが、一応パスポートがあると良いのかも知れません。ちなみに、ICチップのついた運転免許証では国籍証明が出来ません(かつてと異なり、本籍地が記されていないのです)ので気をつけてください。

ここまで神経を使ったら、後はお祭りを楽しみましょう。とはいえ、どんどん雨と嵐がひどくなってきてしまいました。おまけに14時で閉場となってしまいました。何があるか分からないので、早めに行くべきです。ベストは、昼ご飯を食べに行く時間帯に訪れることです。

昼ご飯のおすすめは色々ありますが、フードコートにある中華料理店はおもしろいです。なぜフレンドシップデーに来てまで中華料理と思いますが、アメリカンな中華料理が新発見なのです。オレンジマスタードフレーバーのからあげ&焼きそば とか。これがおいしい!比較的、塩味なイメージがある中華料理ですが、彼らの好みはどちらかというと、甘めな味なのかも知れません。見たことあるものでも、ちょっと違うという発見が楽しいです。
 
天気がよければ外に居るだけで気持ちが良いです。でも雨の日には、雨の日の楽しみ方がある訳で、米海軍バンドのパフォーマンスを聞きに行きました。ベニーデッカーシアター/Benny Decker Theaterという、フードコートの前にある映画館でやっていました(1946年から4年間任務を勤めた司令官 Benton W. Deckerにちなんで命名)。彼らは米海軍第7艦隊の"Orient Express"(http://www.c7f.navy.mil/band/groups/orient-express.htm)。アジアパシフィック地域で活躍する楽隊です。会場の混乱を避ける為か、人が集まるとシアターの入場が締め切られてしまうので、早めに着席しましょう。

昨年のライブとは異なり、今年は比較的大人な雰囲気のライブでした。昨年は女性ボーカルが楽しい歌を歌ってくれましたが、さすがにお客さんの年齢層が比較的高めなことを反省したのか、今年は落ち着いた楽曲ばかりでした。プレイリストは以下の通りです。

・One Republic "Counting Stars"
・Michael Buble "It's a Beautiful Day"
・サザンオールスターズ "いとしのエリー"
・Bruno Mars "Treasure"
・Phillip Phillips "Gone, Gone, Gone"
・Bon Jovi & Aerosmith "Walk This Way"
・トキオ "そらふね"

ジャーニーも歌わずに!ですが、良い曲ばかりでした。特にPhillip Phillipsの歌は感動です。「敵が君のドアの前に立ち構えているのならば、戦いから救い出す。君のために僕もしてあげる。君を忘れない。」という歌詞。ただAメロから、サビにつながる前に、決して忘れてはならないフレーズが挟み込まれています。「君も僕に同じ事をしてくれるという理由を教えて欲しい。君は僕に同じ事をしてくれ続けてきたから。君は何が欲しいのか教えて欲しい。」という前提条件があり、お互いがお互いを愛し合うというのが核心です。助け続けてもらうだけという、一方的な関係はあるはずもなく、彼らの為に自分達には何が出来るのかを考えなくてはいけません。

ちなみに昨年は、Nicki Minaj "Starship"、Katy Perry "California Girls"、Journey "Don't Stop Believing"、極めつけはPsyの江南スタイルでした!全世界的に有名な曲なのに…。アメリカ合衆国の税金が投入されているまじめな日米親善行事なのに笑、Starshipとか、江南スタイルを歌ってくれる楽しさは好きです。「アメリカの美しい心と文化、歌の世界を伝えよう」なんてことにはならない、ゆとり加減がいいですね。

関東(神奈川県)には米軍基地が多く、横須賀・厚木・座間・根岸ハウジングエリアではここ数年間、フレンドシップデーが定期的に開催されています。横田も2~3年中断していますが、2014年夏には再開するとのこと。様々なことがありますが、世界的に見ても珍しい状況だと思います。折角なので、貴重な基地経験を楽しんでみてはどうでしょうか。
【リンク集】
・「ここはヨコスカ」~横須賀市の観光情報サイトです。
・TwitterやFacebookは、"在日米海軍司令部"や"CNFJ"と調べてみてください。
CNFJは、Commander, U.S. Naval Forces Japanの略称です。

Feb 23, 2014

ブルックリン、ピザ以上のピザ屋さん

ブルックリンにあるピザ屋のロベルタ/Roberta's。味はもちろん、存在自体がかっこいいレストランにお腹も心(そして頭?)も大満足!マンハッタンから地下鉄LラインのMorgan Ave駅で降りて徒歩数分なので、かんたんなアクセス。おしゃれとか、トレンディーとかの次元を越えた一つの象徴的な店かも知れません。
ブルックリンのブッシュウィック/Bushwickにある、この廃屋こそがまさかのレストラン。地下鉄LラインのMorgan Ave駅で降りて地上に出たら、目の前のBogart Stを進み、Moore Stを曲がると到着です。GWに訪れたので春の光が美しい一日でした。店までの道のりには面白い街並みが広がっています。これだけでも楽しかった。(過去記事「ブルックリンで最先端を走るブッシュウィック」で街並みを紹介しています)
 
 さあ扉を開いて中へ進みます。土曜日の昼時ということもあって、賑わっていました。雑然とした内装ですが、不思議とオーガナイズされていて統一感があります。文字通りヒップです。そしてその内装に負けじと劣らず、店員もお客さんもヒップな人達ばかりです。ヒップスターパラダイスですね。

早速ビールを頼みました。ヒップスターのお姉さん店員は笑顔なんてくれないと思い込んでいましたが、こちらから笑顔でハーイ!と話しかけると、愛想よく、クラフトビールのおすすめを教えてくれました。はっきりした英語でハーイ!とこちらから話しかけることが、アメリカのレストランでよいサービスを受けるためのコツではないでしょうか。こうすることで、(例えふんだんに支払う意思はなくても)、少なくともアメリカのチップ文化を知っているお客さんだと、店員側が認識できるからです。サービスと笑顔はどうやら無料ではないのです笑。

クラフトビールはその日は5種類。ブロンクス・ブルーワリー/Bronx BreweryのIPAを飲みました。いかにもクラフトビールだなと思える、しっかりした味のビールを飲みたい時にはIPAが間違いないように思います。ジャムのジャーのようなビン容器に入ってきてきます。もちろんワインの種類もあるので、おすすめ。それにしてもアメリカはクラフトビールの種類がたくさんあるので、どこに行っても楽しみです(結構高いのですが…)。

お待ち兼ねのピザが到着!一人でも一枚食べきれるサイズでした。マルゲリータ、最高の味!2人で一枚は物足りませんでしたので、色々頼んでみましょう。

お腹がいっぱいになった所で店内を見回すと、やはり注目を浴びるだけの店だなと思いました。東京や大阪にはかなり本場なおいしいピザ屋が最近あるので、味そのものは日本でも思い出すことができますが、店員とお客さんが醸し出すヒップスターな雰囲気は本場ならでは。そして一つのレストランでありながら、社会的なメッセージを発信しているこの店の存在はやはり特筆に価するものでした。

例えば店内で栽培されている野菜。ピザに供されるこれらの野菜は、アリス・ウォーターズ/Alice Watersの資金提供により実現したアイデアなのだとか。レストランが使う食材は極力ローカルのもの、究極的には自分達で栽培するというのは、まさに彼女の「食の革命」の実現ですね。そしてクリントン夫妻(娘のチェルシーさんも)は民主党のトップ資金提供者の為のパーティーをこの店でやったのだとか。ただボヘミアンな雰囲気だけではなく、政治家や社会活動家も関係している社会的な側面があります。

またHeritage Radioというラジオ局もこの店で設立されています。食文化を伝えるラジオ局。このラジオ局はキャシー・アーウェイ/Cathy ErwayというブロガーがEat you wordsというラジオ番組をやっています。"Not eating out in New York"というやはり食文化に関するブログを書いている彼女は、NHKのニューヨークウェーブという番組に登場していました。

お腹を満たすだけではなく、心と頭(知的好奇心)も満たすことが出来るレストランでした。クラシックな人気を誇るピザ屋もよいですが、こうした社会的なメッセージも発信している現在進行形のピザ屋について、私達観光客も支えていく、ひいては瞬間的にその輪に加わるというのは素敵な体験ではないでしょうか。

(備考)アリス・ウォーターズに関して

「とってもグルメなバークレー」
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2012/06/blog-post_16.html
彼女の店があるカリフォルニア・バークレーは「食の革命」の発信地。シャタックアベニューという通りはグルメゲットーとして知られており、彼女のChez Pannisに限らず、The Cheeseboardというピザ&チーズショップもおすすめです。 サンフランシスコから電車で簡単にアクセス出来るので、サンフランシスコを訪れる際はついでにどうぞ。

「ワシントンDC・スミソニアン博物館での新発見」
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2013/06/dc.html 
彼女の活躍はカリフォルニアだけに留まらず、アメリカ政治の頂点であるワシントンDCでも繰り広げられています。ホワイトハウスにedible garden(小さな農園)を作ったり、そしてスミソニアン博物館にも彼女の活動が記録されています。その名も"food for the people"。バークレーフードピラミッド/Berkeley Food Pyramidというアーティサナルな食べ物に関する図式が印象的。更にはナショナル製の炊飯器も展示されており、日本人には印象的です。

Feb 8, 2014

ブルックリンで最先端を走るブッシュウィック

ブルックリンで最先端を感じたいならブッシュウィック/Bushwickへ。名高いピザ屋のRoberta's へ向かう途中で見かけたヒップスターと街並みを紹介します。おいしいピザと、かっこいい人間達。自分で楽しさを見つけるDIYな街歩きでした。
Bushwickはブルックリンのエリアの一つであり、地下鉄のM&Lラインが通っています。今回はマンハッタンからLラインでMorgan Av駅を目指しました。ピザ屋Roberta'sの最寄駅だからです。マンハッタンからのアクセスを考えるとLラインがおすすめ。ヒップスタートレインとも呼べる程に個性的な街を連ねています。ブルックリンのヒップスター文化、近年の開発と高級化を象徴するラインです。ブルックリンの入門・ウィリアムズバーグ/Williamsburgの最寄駅Bedford Av駅から5駅なので、ぜひ足を伸ばしてみてください。ディズニーランドみたいなウィリアムズバーグ(disnefied Williamsburg)よりも、リアルな世界を楽しめます。

今回はMorgan Av駅から、Bogart Stを数分歩き、Moore Stを曲がってピザ屋に到着するまでの道のりです。わずか数分の散歩ですが、かなり刺激的です。夜遅くなってからはおすすめしません。タクシーもあまり見掛けなかったので、不安ならば昼にしておきましょう。

Bushwickはまだまだタフでインダストリアルな地域ですが、2000年代からヤングプロヘッショナルな人達の流入が続いています。他地区と同様に、再開発とエリアの高級化(家賃上昇)が進んでいるとのことですが、無骨な雰囲気とヒップスター達は今でもエリアの象徴です。ちなみに1977年の地区一帯の停電に伴う暴動はエリアに荒廃をもたらし、他地区に比べて復興が大分遅れてしまった経緯があるようですが、移民流入(特に中南米系)はマルチエスニカルな多様性を街にもたらし、この混沌とした雰囲気が今でも若者を引き寄せているのだと思います。
 
 
   
コメディ番組のポートランディア/Portlandiaが好きな人。何にせよインディーが好きな人。Urban Outfittersの服やアクセサリーのようなヒップなものが好きな人。そしてアートやファッションの仕事をしている人達にとって、目にするもの全てがお手本になる街並みだと思います。
 
オーガニックショップに、コミュニティーガーデン。最近の大都市開発を語る上で象徴的とも呼べるアイテムも存在していました。「都市はなぜ魂を失ったか(原題:The Naked City)」という、シャロン・ズーキン/Sharon Zukinさんの本を読んだので、実際にフィールドトリップを行うことが出来ました。
 
冒頭にも掲げた写真ですが、ウォールアート。このあざやかさ!ぜひお気に入りのアート作品を探してみてください。自分だけの観光名所です。
まだまだタフな街並みが続くのかと思いきや、Moore Stを曲がると店に到着。この赤い看板が目印です。全くブッシュウィックの予備知識が無い人を連れて行ったら驚きです。すっかり気に入るか、無骨すぎて拒否反応を示されてしまうか笑。店のレポートは次回の記事で紹介します。
ちょっと絵になる景色だと思いませんか?インダストリアルでタフな地域ですが、どことなく絵になる景色を時折目にしました。これがニューヨークらしさだ思います。例えば同じようなタフな地域として、ロサンゼルスのセントラル地区(South Central・Union StationやChinatownの一帯)が思い浮かびました。あちらは太陽がまぶしいのに、妙な寂寥感と孤独を感じるのです。しかしブルックリンの街並みは、例え初めて来てすぐに帰ってしまう旅行者であったとしても、不思議な一体感を感じるような気がするのです。

また不思議なことに、個性的であることが絶対命題とされるはずのストリートカルチャーは、どういう訳か、そのヒップでオフビートなさじ加減が全世界で似て来てしまうように感じます。ファッション、エンターテイメント、アートあらゆる場面において。それはひとえに、ニューヨークとブルックリンの発信力が強すぎるからかも知れません。今、ブルックリンにはヒップスターを目指すアートなヨーロッパ系の若者が現代版移民として流入しているとのこと。また時折おしゃれな日本人の方を見かけました。大西洋を挟んで元から結びつきが強いヨーロッパはもちろん、今の日本は不思議とブルックリンに大きな関心を抱いています。なぜそれほどに、ブルックリンは影響力を持っているのか?ぜひ自分の目で確かめてみてください。米軍やゴールドマンサックスが世界最強のハードパワーであるならば、ブルックリンこそが平和と愛の使者なのかも知れません。

Feb 5, 2014

スーパーボウル2014のおもしろ実況中継

シアトル・シーホークスが優勝を決めた2014年のスーパーボウル。ツイッターではおもしろい実況ツイートが繰り広げられていました。それはフェミニストの視点から見たアメフト・スーパーボウルの実況中継。コメディ番組"Portlandia/ポートランディア"の企画として、本物のフェミニスト書店のスタッフがツイートするというもの。さすがにゲームそのものへの言及は少ないのですが、政治的な社会風刺?を展開する爆笑ツイートは、コメディとフェミニズムの本番だからこそ成しえるネタでした。

コメディ番組"Portlandia"はIFC (Independent Film Channel) というアメリカのケーブル局が放送している人気番組。NBCのSaturday Night Live (SNL)で人気を博したフレッド・アーミセン/Fred Armisenと、キャリー・ブラウンステイン/Carrie Brownsteinが競演しています。オレゴン州ポートランドを舞台に、個性的な街の住民(愛すべきヒップスター達)を描いたスケッチコメディです。かつて日本で人気を博した「ワンナイ」のような雰囲気といえば分かりやすいでしょうか。当時のワンナイはSNLをお手本にしていたそうであり、その点で風刺の度合いが他の番組よりも鋭かったので大好きでした。

そして番組に登場するキャラクターが、"Toni and Candance"というフェミニスト書店の店員です。これは実在するフェミニスト書店を模しています。ポートランドにある"In Other Words"というお店です。店への訪問記は過去の記事(「本当にあったフェミニストのための本屋」)を参照してください。このコントにちなんで、フェミニストによるスーパーボウル実況ツイートが行われたのでした。

How many bowls of vegan chili is too much? Seven(teen)? help. 
試合観戦に欠かせないのが食べ物。間違ってもバッファローウイング(Locally grownかも、free rangedかも分からないので)ではありません。

COIN TOSS. 
そして試合開始です!
fur coat is doing #SuperBowl coin toss. What does that animal org this of this?  
しかし欠かさずこのコメント。PETAですか?

what is a first down? As it the first time you went down? On who?
That person just ran a long way with the ball and now everyone is cheering. What's going on?
もちろん、ゲームについてはあえて触れません。
Peyton Manning: feminist?
来ました!

I AM FREAKING OUT RIGHT NOW. CLOWNS! WOMEN IN BIKINIS. where are their pants?
いよいよ本領発揮。試合展開について言及は無いのですが、中継中のコマーシャルや時折写るお客さんについて、どしどし突っ込みが始まりだしました。男性が登場する自動車のCMについて、突っ込みが相次ぎます。

that person isn't wearing a shirt. at least there are pants.
レッチリについて。ハーフタイムショーですね。
For the 1st time in recent history all of the #SuperBowl performers are wearing pants. gasp. #progress 
プログレス、時代の進化。

People in tight pants. Hugs. Glitter. Cameras. Crying. Pacific Northwest. A True Blessing. HAPPY PRIDE Y'ALL! Equality for everyone.
そしてシアトルの勝利で幕を閉じました。前半で試合が見えてしまった為、ハーフタイムショー以降のツイートは割愛します。

ここまでやるか?という徹底的なギャグで笑わせてくれるのが番組の面白さです。知性とお笑いの結合です。こうすることで、知的な議論が等身大の姿を保ちつつ、その要素を社会に知らしめることが出来ると思うのです。中途半端なポピュラリティに陥ることなく、こうしたお笑いが存在していることは、見習うべきことの一つなはずです。

Jan 25, 2014

春のブルックリン・ボタニカルガーデン

春にニューヨークを訪れるなら、欠かせないのがブルックリン・ボタニカルガーデン/Brooklyn Botanic Garden。ブルックリンで花見なんてどうでしょう?日本のGWの時期が一年で一番美しい季節。100年を越える歴史の中で、何気に日本との関わりを持っている興味深い場所。目にするもの全てが美しく見える奇跡的な場所。地上の楽園のような雰囲気でした。
Brooklyn Botanic Gardenは、2・3ラインのEastern Pkwy Brooklynが最寄です。マンハッタンからのアクセスも抜群。ブルックリン博物館/Brooklyn Museumに隣接しています。そしてプロスペクトパークにも隣接していて、都会でありながらのんびりした雰囲気でした。園内の見所は多いので、トップ5の紹介です。半日はゆっくり楽しめます。
5位はChildren's Garden。なんと1914年から続く子供のための教育施設を兼ねたガーデンです。通り過ぎてしまいそうな景色ですが、1914年から子供のためにガーデンがあるとは、その理念に感心しました。ビーガンや、あまりに熱心な環境保護活動家になってもらう必要はありませんが、こうしたガーデンで恵まれた教育体験を得た子供達は立派な大人になってくれそうです。
 4位はシーンベストのチューリップ。これはもうため息が出ます。お客さんは皆、すっかり見とれていました。美しいものに言葉は要りません。
3位は日本庭園。ブルックリンで鳥居を見るとは不思議な感じです。こうすると、日本にある日本庭園があたかも外国の景色に見えてきます。クレイジーケンバンドの横山剣さんが語るように、横浜にある三渓園が不思議とアメリカのような景色に見えてくるのです。横浜で一番外国風情を感じられる場所は?といえば、異人館や中華街ではなく、実は三渓園です。

2位はギフトショップです。ブルックリン博物館側の入り口付近にあります。全体的に高級感に溢れ、非常にセンスが高いです。こてこてなお土産がなく、これだけで立派な一つのショップです。ハンドクラフト・ローカルアーティスト・アーティサナルにこだわっています。これこそ全世界中の観光地が見習うべき一つのセンスです。
 
1位はなんといっても、Cherry Esplanade。カンザンという桜の種類、ピンク色の二重桜が印象的。通常こうした桜並木は、ソメイヨシノの淡いピンク色のものを想像しますから。ここでは桜祭りが毎年開催されます。GWでも桜に十分間に合います(この写真は2013年5月2日に撮影しました)桜祭りの賑わいもよいですが、平日の午後、こうしたのんびりした花見も良いです。何もしないことがアクティビティというか、ぜひここで昼寝を楽しんでください。
番外編はライラックの木です。Lilac Collectionというコーナー(桜並木の近く)にあります。なかなか巨木です。そしてこの時期ならではの贅沢な楽しみとして、香りを楽しめます。美しい植物園の中で、「香り」を楽しめる貴重なコーナーです。

ちなみに冒頭で述べた、日本とのつながりとは、まず最初に1915年に日本庭園が完成した時に始まります。当時は日本庭園が一つのブームであったようで、千葉県出身の塩田武雄さんという造園師が手がけました。なんと渡米したのは26歳。東海岸には彼が手がけた作品が残っているそうです。しかし彼はサウスカロライナ州の収容所で戦時中に亡くなったという話もあるそうで、残念な限りです。

そして1980年には東京より、灯篭が贈呈されました。2000年には日本庭園リストアドされ、今でも桜祭りは毎年開催されて、日本人歌手もライブパフォーマンスを行ったりと、毎年の恒例行事になっています。1980年代は日本が急速にアメリカに接近を試みた時代だと思います。アメリカ側が好む、好まざるに関わらず、日本がアメリカを好きになった時代だったのでしょう。それから30年が経ちます。かつてのようにアメリカべったりという様相ではないような気がしますが、彼らに与えてもらっている恩恵に対して恩返しが出来ているでしょうか。ブルックリン植物園から見えてくる日米関係。二人の関係を維持する努力は欠かせません。

ブルックリンでブラウンストーンの街並みを眺めるなら

ブルックリンのフォートグリーン/Fort Greeneというエリア。静かで落ち着いた住宅街。素顔のブルックリンに出会えます。フォートグリーン・パークを目指し界隈を歩きました。ブラウンストーンのアパートが立ち並ぶ住宅街を見たいならぜひ。今時のブルックリンらしい高級なブラウンストーンのアパートと、伝統的なマルチエスニシティーを備えた古い街並みを楽しめます。
マンハッタンからのアクセスは便利で、CラインのLafayette Aveや、2~5ラインのAtlantic Aveが最寄です。今回はAtlantic Ave駅で降りました。バークレーズセンターという巨大ドームがあり、賑やかな場所です。駅からHanson Plを歩き(PlとはPlaceの略で、行き止まりのある道に付けられる名前)、Portland Aveに入ります。それでもPortland Aveという道に入ると雰囲気は一転。ブラウンストーンのアパートが美しい住宅街に変わるのです。数ブロック単位で街の雰囲気が変わるところがアメリカらしいです。
 
それにしてもPortland Aveとは、あたかもオレゴン州ポートランドのヒップスター駐在員達が住んでいる地域のようなネーミングです。両都市はヒップスター&ボヘミアン都市として交流がありそうな様に見えながら、ブルックリンに相手にされてないように思えますが。
 
あっという間にFort Greene Parkに到着。完全ローカル仕様です。平日の午前中ということもあり、地元の人達がのんびりしていました。特別何かがある公園ではありません。だからこそ、ベンチで休憩をしたり、読書をしたり、日光浴をしたり。最低でも15分はゆっくりしてください。そうすると、街の魅力に次第に取り付かれていきます。それにしても春のニューヨークは、普通の公園にいても新緑と太陽が美しかったです。アメリカらしい青空と、太陽の強い光と質感が印象に残りました。写真のように、子連れのお母さんをよく見かけました。子連れにも人気な安心して住めるエリアである証拠です。そして学校の宿題?か何かでインタビューをしている人達。
何気ない光景が思い出に残ります。

ちなみにFort Greene Parkは何気ない公園に見えながら、たくさんの歴史が詰まっています。そもそも、Fortと名前が付くように軍事基地の名残です。独立戦争時のロングアイランドの戦いの際に設けられた基地でした。考えてみれば大西洋に突出たロングアイランドやブルックリンは地理的に重要な拠点です。そして公園にはPrison ship martyrs monumentという記念碑があります。これまた独立戦争時に船に閉じ込められてなくなった人達の追悼記念碑なのだそうです。さらに19世紀後半にはオルムステッドによって公園デザインが作られた。 知れば知るほど、歴史は面白いです。
ブルームバーグ市長になって、ニューヨークにはより公園が増えたのだそうです。公園を作って、街に緑が溢れ、まともな人々が集まり、経済的に活力が生じる。都市開発と資本主義のサイクルはまるで教科書のようなお手本的な流れです。日本よりも多様性と階層の差が広いから、現状から「良い方向」へ向かう際の改善の度合いが大きいのではないでしょうか。少なくとも観光客にとっては、「良いもの」として憧れのようにも見えるのでした。こうした手法を直接海外に輸出することは難しいでしょう。
最後に見かけた印象的な看板。全てを語ってくれました。「都市はなぜ魂を失ったか(原題:The Naked City)」という、シャロン・ズーキン/Sharon Zukinさんの本を読んだのが、今回の旅行のきっかけでした。都市開発に興味がある人はぜひ、実際にブルックリンの街並みや人間模様を自分の目で確かめるに限ると思います。色々な利害関係者の思惑が混じるのが現実ですが、それにしても彼らの前向きな思考、「良いもの」を求めようとする求心力、同時に「悪いもの」をきちんと排除しようとする闘争心。パワフルな気持ちを忘れてはいけません!

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