Dec 31, 2013

フィラデルフィア風 おしゃれとは限らないイタリアン

イタリア料理や文化がおしゃれなものだって、誰が決めたのでしょうか?フィラデルフィアでは、何もおしゃれとは限らないイタリアン。チーズステーキで有名なイタリアンマーケットは、観光地のイメージだけでは括れない、何気に奥深い街並みでした。どうせ観光地でしょう?と片付けないで、路地に迷い込んでみてください。
イタリアンマーケットは、S 9th Street沿いに広がります。南側はチーズステーキのGinoがあるWharton Stから、北側はLombard Stまでが見所でしょうか。地下鉄SEPTAのBroad Street Line(オレンジ色)のEllsworth Federal Sta.から、Federal Stを歩くのが最短。Market Frankford Line(青色)の8th and Market Sta.からひたすら南に歩くのも面白いです。再開発された地域と、昔ながらの街並みが残る地域の対比が見られ、街並みが変化していくのです。
 
ピンク色の花びらが敷き詰められた桜並木の住宅街。そしてWhole Foods。再開発されたピカピカな街並みはここまで。Whole Foodsはここでもジェントリフィケーションの象徴でした。
 
決してきれいとは言えない街並みですが、この質感!イタリアンマーケット/Italian Marketは観光地として名高い場所ですが、ゴテゴテとしたザ・観光地に決して仕立て上げないのが、アメリカらしい?でしょうか。住民の息遣いが聞こえる街並み。
 
 
 
一つ一つの店を眺め、路地に迷い込んでみてください。決してYelpで事前準備なんかせずに、思いついたままに立ち寄るに限ります。ネオンサインの看板、床屋のモデル写真。一つ一つがおもしろい!それにしてもこのネオンサイン。全てのソーセージやサラミが、artisanalに見えてきます。マーケティング的な魅力、アイデアが古いものには潜んでいます。
 
 
そして忘れずにチーズステーキを。9th Street&Passyunk Ave.の交差点を向かいに、Geno'sとPat'sの二大巨頭が立ち並んでいます。Pat'sの方が賑わっていました。映画・ロッキーの舞台で名高いからでしょうか?おいしかったです。チーズはもちろん、グリルされた肉が香ばしくてうまい!グリルしてあるという点が、シカゴのイタリアンビーフや、ロサンゼルスのフレンチディップとは異なります。フィリーに来て、チーズステーキを食べないだなんて!

観光客が多いです。3枚目の写真の家族連れも、フランス語?っぽい言葉を話していたので、ヨーロッパからの観光客でしょう。親子共におしゃれなので、多分そうだと思います。「フロマージュ」という単語が聞こえました。フランス語だから、チーズをフロマージュというのは当たり前なのですが、この街並みの中で、チーズをフロマージュと呼ぶのは場違いでは笑?フロマージュとは、おしゃれなレストランやグルメショップでチーズを呼ぶときの呼び名。チーズは、アメリカルーツの(アメリカ系)イタリア文化。フロマージュは、おしゃれなヨーロッパの文化。なぜか知らず知らずの内に、勝手な線引きを引いていたのです。
 
おしゃれなイタリアンもあれば、やんちゃなイタリアンもある。MTVで一世風靡したJersey Shoreのような"痛リアン文化"だってあります。そんな中で興味深かったのは"Artisanal Italian Foods"というグルメショップの店頭サイン。「当初アメリカに移民したアメリカ系イタリア人の彼らは貧しかったが、次第に豊かになるにつれて、かつて祖国の地で彼らには手の届かなかった貴族の食べ物を楽しめるようになった」という話を聞いたことがあります。当初は貧しかったイタリア系地区でも、彼らの由来である「ヨーロッパ」に目を向けて"artisanal"とマーケティング用語で飾られる時代です。移民が持ち込んだ食文化が、アメリカの日常食に溶け込む課程はもちろん、"artisanal"と評されるようになる課程も国外から見ていると興味深いですね。

「イタリアン」と聞けば、おしゃれなものを想像する私達。一方で、当たり前の様にピザやスパゲッティを食べる私達。イタリアのクラシックやオペラを聴く一方で、フランクシナトラ、トニーベネット、今ではレディガガの音楽を楽しむ私達。少しづつ異なった体裁と雰囲気を保ちながらも、アメリカとヨーロッパの二つの場所から、日本にも発信され続けるイタリア系文化の力強さは、やっぱり好きです。また世界中のあらゆるエスニック文化を、一度アメリカというフィルターにかけてみるとおもしろい。アメリカナイズされたエスニック文化は、それはそれで味があるのです。

フィラデルフィアのまとめです。
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2014/01/blog-post_8220.html 

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