ちょっとエリアを移動しただけで、異なる雰囲気を楽しめるのがサンフランシスコの魅力です。ミッション通りに立ち並ぶ数多くの商店は、シンコデマヨのグッズで賑わう時期でした。シンコデマヨって、実はメキシコよりアメリカの方が盛大に祝っているのでしょうか?もしかして。周辺の雰囲気はニューヨークのSpanish Harlemとどこと無く似ています。ストリートがあって、低層階ビルの路面店が賑わっているイメージです。ただし違いは、パームツリーの有無にありました。夕暮れと相まって、パームツリーが何ともメローな雰囲気を醸し出しているのです。(周辺はどちらかと言えば、むさくるしい雰囲気でしたが。笑)
やっぱり、前回訪れたドロレスパーク周辺とは異なり、今回のエリアはタフな雰囲気のエリア。夜遅くに訪れるのは少し気が引けるので、明るいうちに留めておいた方が良いのかもしれません。危なそうな場所の雰囲気って何となく分かりますよね…。
今回訪れたのは、ミッション通りに面した"La Taqueria(ラ・タクエリア)"という店。見るからにメキシコ気分でわくわくしますね!さっそく入ってみると、結構種類が多くて迷いますが、チキンブリトーとビールをオーダー。ほどなく出てきたブリトーには感動しました。想像していた通りのおいしさでした。
そして店内を見渡すと、意外とコケイジャンのお客さんも多く、何もラティーノのためだけの店ではないことに気がつきました。有名店だからでしょうか、様々な客層で賑わうということは、誰しもに愛される店である証拠ですね。さらにいつの間にか、マリアッチの演奏も始まりました。気分はすっかりメキシコ。一瞬で外国にワープ出来るかのような気分。海外旅行の醍醐味ですね。アメリカを超えて更に第三国の質感まで味わえるのは、アメリカならではです。
それにしても何気にブリトーは奥深い食べ物だと気づきました。ブリトーの魅力をまとめてみようと思います。
・ブリトーの魅力
ずばり、もっさり感が好きです。見た目も食管も。ベースとなる、フラワートルティーヤ、豆(リフライドビーンではなく、ホールビーン)、チキンのもっさり感。ゆで卵やカボチャの煮物を食べた時の、あの胸に詰まる感じ!(良い意味で)。そして味に彩りを加えるサルサとシラントロがくせになりますね。見た目の大きさに負けずおなか一杯のなりますけど、低炭水化物なので罪悪感がありません。チキンだって、むね肉なので健康的だし、何よりも肉をがっつり食べたなーという満足感でいっぱいになります。
・ブリトーのうんちく
ブリトーはスペイン語で「ロバ」という意味があるそうです。由来はいくつか説があるそうですが、「見た目がロバに似ている」とか、「昔のメキシコで、ロバに引かれた屋台で販売されていて、皆が「ロバの店」と呼ぶのでそのまま愛称として定着した」とかなんとか。いずれにせよ、どちらかというとメキシコ北部で盛んな食べ物だそうです。それが、ティファナ/サンディエゴや、シウダッドフアレスを通じて流入したのでしょう。
アメリカでは戦前から食べられていたそうです。そして特に1970年代以降?、ローカルでアーティサナルなフードへの注目が集まる中、カリフォルニアなどでブリトーが見直され、人気になったという見方もあるのだそうです。うーん、奥深い。
サンフランシスコ、サンディエゴ、ウエット、モーニングなど、色々な種類があっておもしろいですね。そして街ごとにローカルなタクエリア(メキシコ料理屋)があり、それぞれが味を競って人気を博しているそうなので、色々な場所に行って、ローカル自慢のブリトーを食べるのも楽しそうですね。
・日本におけるブリトー的なもの
手軽に食べられる、庶民&ガテン系向けであることが起源という意味では、牛丼に近いものがあるのかも知れません。(ヘルシーな日本食なはずなのに妙にガテンっぽい、というイメージがついて牛丼チェーンがアメリカでは苦戦しているのでは?マンハッタンから吉野家が撤退したそうですし) そして元来、外国の食べ物であったものが自国で新たな発展を遂げ、数多くのバリエーションを持つようになったという意味では、ラーメンが思い浮かびます。ちなみに昔のコンビニやチルド食品で、ハンディーピザみたいなものが「ブリトー」と呼ばれて売られていました。普通においしかったのですが、考えてみれば不思議なネーミング。
ただ健康面から言えば、ブリトーに軍配が上がるかも知れません。牛丼はおいしいけど、チキンブレストに比べれば脂肪は多いし、何よりもたっぷりのご飯と、タレに使う砂糖の影響で糖質が多めです。そしてラーメンもやめられないけれど、脂肪と塩分の固まりであるのは事実ですね。総じて日本食は、糖質(炭水化物)・塩分が高めだと思います。一方でブリトーはフィリングに気を付けて選べば健康的かも知れません。ましてやベジタリアン用のブリトーもあります。トルティーヤで炭水化物の量は相対的に低いし、そもそも野菜がたくさん入っているし、チキンブレストなら低脂質・高タンパクですね。メキシカンライスやビーフ、サワークリームを入れると話は別ですが、ブリトーを手本にラップサンドが登場するくらいなだけあって、良いイメージがあります。そして何度も繰り返しますが、おいしい!
日本でも本格的なブリトーを食べられる日が来ますように!トルティーヤ一つとっても、フラワーではなくて、コーントルティーヤが気軽に食べられるといいですね。願わくは、タコスとエンチラーダも!
【トラベルチップ】
・ミッション通りは割合タフな雰囲気ながら、結構おいしそうな店がありました。ザガットに登場する店もあるくらいです。
・ミッション地区で一番ヒップなのは、バレンシア通りだそうです。散歩する限りはそんな雰囲気がしませんでしたが(笑)、とにかくそうらしいんです。