Oct 6, 2013

自然の遊び場 ポートランド・ワシントン公園

観光ガイドブックで必ず目にするポートランドのワシントン公園。手軽にハイキングをしてみませんか?一番のお勧めは、樹木園(Hoyt Arboretum)と、Wildwood Trailという森の中の散策路。Pacific Northwestらしい豊かな森林の風景を手軽に楽しめました。定番の観光地の一つであることに間違いはないけれど、決して賑やか過ぎず、落ち着ける雰囲気であるのがポートランドならでは。ニューヨーク・セントラルパークをデザインしたオルムステッドの一族がデザインした公園でもあります。一日では物足りませんでした!
ポートランド市内からは、路面電車MAXのWashington Park駅で降りてください。ダウンタウンから近いです。公園の地下に位置する駅からエレベータで地上に上がると、そこがもう公園です。駅前からは園内を一周するバスに乗れます。また動物園、World Forestry Center(世界の樹木について学べる博物館)は駅の近くです。日本庭園、バラ園は駅からは距離があるので、バスが便利です。時間があれば公園の森林を駆け巡る列車(Zoo Railway)も楽しそう。いずれにせよ、季節によって運行状況が異なるそうなので、ホームページで確認した方がよさそうです。
まずはバラ園から。どうしても行く場所を一つに絞らないといけないとすれば、バラ園は欠かせません(正式には国際バラ試験庭園/Rose test garden)。こんな美しいバラ園を無料で楽しめるだなんて。みな思い思い楽しんでいます。外国の人は写真をパチパチ撮るイメージがあまりなかったのですが、さすがに花の美しさを目の前にして、記念撮影をする人、バラを熱心に撮影する人を数多く見かけました。更に冒頭の写真のように、ミュージシャンがハープまで弾いています。ハープ、バラ、からりとした空気、光の質感、青空。全ての美しさを自分で感じ取る、感性が磨かれる感じがたまりません。ディズニーランドとかに、何千円もはたいて行くことが馬鹿らしく感じてさえきました笑。
そして一番のおすすめは、樹木園(Hoyt Arboretum)と、Wildwood Trail。MAXの駅からバスに乗り樹木園のビジターセンターへ向かいます。本数が少ないので注意。駅前のForestry Centerで時間を潰していました。ビジターセンターでは、親切なボランティアのおばあさんが、ハイキングの計画作りを手伝ってくれました。「Pacific Northwestらしい風景を見たい」と伝えたら、丁寧にマーカーで地図にメモをしてくれました。今回の旅行で出会ったポートランドの人はみな親切です。そして初対面の人とも社交的。このビジターセンターにはトイレもあるし、ボトルウォーターも売っている。ギフトショップもあるので便利です。
ビジターセンターの周囲が樹木園。そこを抜けると、Wildwood Trailです。このトレイルはワシントン公園を抜けて、フォレストパークというより本格的なハイキングエリアへと通じています。岩場がなく、傾斜も緩やかで歩きやすい道でした。トレイルランをしている人も見かけたので、海外でランしてみたいと思っている人にも、ぴったりでしょう。イメージは、神戸にある森林植物園を何倍も大きくした感じです。
 
美しい森林。言葉は要りません。樹木園の園内はテーマによって植生が異なります。もちろんアメリカ北西部らしい森林も見れます。一枚目の写真です。セコイヤ、レッドウッドのうっそうとした雰囲気が美しい。わざわざ山奥に行かないでも、ポートランド市内でお目にかかれるとは。ポールニューマンの「わが緑の大地」という映画のような光景です。Ken Keseyの"Sometimes a great notion"という小説そのもの。二枚目の写真がWildwood Trail。普段はランしない自分でも、トレイルランにはまる人の気持ちがよく分かるトレイルです。フォレストパークまで行くと結構遠いので、ピトックメゾン(Pittock Mansion)までトレイルを往復しました。ピトック邸に行きたいとビジターセンターで伝えれば、道を教えてくれました。ちなみに、日本の公園とは違って、食べ物を売っている場所をほとんど見かけませんでした。公園に行く前に昼ご飯を用意しておいた方がよさそうです。

それにしても理想的な公園でした。まるでディズニーランドのように、徹底的に理想と夢を追求したという雰囲気があります。あくまで自然体を装いながら。それもそのはず、ニューヨーク・セントラルパークを設計したオルムステッドの一族が携わった公園なのです。ジョン・チャールズ・オルムステッドという人です。兄弟で「オルムステッド・ブラザーズ」という会社を興していたのです(コーエン、リーマンにならぶ有名兄弟?)。

とはいえ、そもそもは公園設計の知識も何も無いドイツ人の設計家が見よう見真似で公園をデザインしたのが発端であったとのこと。彼の中にある母国ドイツの公園の記憶を頼りに設計したのだとか。あくまでも自分で何でもやってみるDIYの精神で、アーティサナルなヨーロッパを再現してみせるというのは、まさにポートランドらしいです笑。

そしてこれじゃいけない、と気づいたのか(DIYには素人の限界があったのか?)、オルムステッドがリデザインして今の姿になったそう。いずれにせよ、ヨーロッパ的な美しさ(彼らが美しいと思うもの、それは全世界的に絶対的に美しいということではなくて)と下地が横たわっています。公園そのものの美しさ。そして公園を取り巻く社会環境の存在(ヨーロッパに比べれば薄いが、やはりアメリカには階層というものがあり、階層と文化教養のレベル差が文化資本の度合いとして連動していること)。コケイジャン文化をここにも垣間見ることが出来るあたり、アジア、日本ではあまり目にすることが無いものとして、いわゆる異文化に触れた時の発見と感動を覚えるのかも知れません。

そもそも皆のための公園というものは、なかなか存在することが難しく、階層と文化レベルの差が結びついている社会であることが、美しい公園が存続する為の条件なのかも知れません。ですので、かつてのドイツ人設計家のように、見よう見まねで日本にもワシントン公園を再現しようとした所で限界にぶちあたりそうです。

ポートランドのまとめです。ご参考。
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2013/11/blog-post_4735.html

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