Jan 25, 2014

ブルックリンでブラウンストーンの街並みを眺めるなら

ブルックリンのフォートグリーン/Fort Greeneというエリア。静かで落ち着いた住宅街。素顔のブルックリンに出会えます。フォートグリーン・パークを目指し界隈を歩きました。ブラウンストーンのアパートが立ち並ぶ住宅街を見たいならぜひ。今時のブルックリンらしい高級なブラウンストーンのアパートと、伝統的なマルチエスニシティーを備えた古い街並みを楽しめます。
マンハッタンからのアクセスは便利で、CラインのLafayette Aveや、2~5ラインのAtlantic Aveが最寄です。今回はAtlantic Ave駅で降りました。バークレーズセンターという巨大ドームがあり、賑やかな場所です。駅からHanson Plを歩き(PlとはPlaceの略で、行き止まりのある道に付けられる名前)、Portland Aveに入ります。それでもPortland Aveという道に入ると雰囲気は一転。ブラウンストーンのアパートが美しい住宅街に変わるのです。数ブロック単位で街の雰囲気が変わるところがアメリカらしいです。
 
それにしてもPortland Aveとは、あたかもオレゴン州ポートランドのヒップスター駐在員達が住んでいる地域のようなネーミングです。両都市はヒップスター&ボヘミアン都市として交流がありそうな様に見えながら、ブルックリンに相手にされてないように思えますが。
 
あっという間にFort Greene Parkに到着。完全ローカル仕様です。平日の午前中ということもあり、地元の人達がのんびりしていました。特別何かがある公園ではありません。だからこそ、ベンチで休憩をしたり、読書をしたり、日光浴をしたり。最低でも15分はゆっくりしてください。そうすると、街の魅力に次第に取り付かれていきます。それにしても春のニューヨークは、普通の公園にいても新緑と太陽が美しかったです。アメリカらしい青空と、太陽の強い光と質感が印象に残りました。写真のように、子連れのお母さんをよく見かけました。子連れにも人気な安心して住めるエリアである証拠です。そして学校の宿題?か何かでインタビューをしている人達。
何気ない光景が思い出に残ります。

ちなみにFort Greene Parkは何気ない公園に見えながら、たくさんの歴史が詰まっています。そもそも、Fortと名前が付くように軍事基地の名残です。独立戦争時のロングアイランドの戦いの際に設けられた基地でした。考えてみれば大西洋に突出たロングアイランドやブルックリンは地理的に重要な拠点です。そして公園にはPrison ship martyrs monumentという記念碑があります。これまた独立戦争時に船に閉じ込められてなくなった人達の追悼記念碑なのだそうです。さらに19世紀後半にはオルムステッドによって公園デザインが作られた。 知れば知るほど、歴史は面白いです。
ブルームバーグ市長になって、ニューヨークにはより公園が増えたのだそうです。公園を作って、街に緑が溢れ、まともな人々が集まり、経済的に活力が生じる。都市開発と資本主義のサイクルはまるで教科書のようなお手本的な流れです。日本よりも多様性と階層の差が広いから、現状から「良い方向」へ向かう際の改善の度合いが大きいのではないでしょうか。少なくとも観光客にとっては、「良いもの」として憧れのようにも見えるのでした。こうした手法を直接海外に輸出することは難しいでしょう。
最後に見かけた印象的な看板。全てを語ってくれました。「都市はなぜ魂を失ったか(原題:The Naked City)」という、シャロン・ズーキン/Sharon Zukinさんの本を読んだのが、今回の旅行のきっかけでした。都市開発に興味がある人はぜひ、実際にブルックリンの街並みや人間模様を自分の目で確かめるに限ると思います。色々な利害関係者の思惑が混じるのが現実ですが、それにしても彼らの前向きな思考、「良いもの」を求めようとする求心力、同時に「悪いもの」をきちんと排除しようとする闘争心。パワフルな気持ちを忘れてはいけません!

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