Apr 15, 2017

メイン州ポートランドのアイリッシュパブ(Rira, Gritty McDuff's)

メイン州ポートランドには様々な食事の選択肢がありますが、外れがないのはアイリッシュパブでした。Rira、そしてGritty McDuff'sという店を訪れました。クラシックな港町に溶け込んだ姿は、初めて来た外国人でも不思議と落ち着けるものでした。シーフードはもちろん、クラフトビールも満喫出来ます。


まず訪れたのは桟橋に近いRira。ヒルトンホテルの前、Cosco Bay Lineというフェリーターミナルに隣接。写真にある愉快なシーフードの壁画とアイルランド国旗が目印です。


なかなか広い店内なのですが、おすすめは2階の窓際の席。隣接する港の景色を眺めることが出来る席は、店員が"You choiced a nice seat!"と声を掛けてくる程です。早速頼んだNew Castle Brown Aleは、苦味は少なく甘めなさっぱりビール。そしてポテトケーキ。チェダーチーズ、サワークリーム、バルサミコ酢が良い味を出していました。シンプルな料理ですが、飽きません。メニューを見渡すと、一通りのパブメニューが揃っていました。このメニューの揃い方は、日本における定番的な居酒屋の様なものかも知れません。

帰り際に出口のカウンターにいた店員が笑顔で手を振ってくれました。アメリカで面白いと思うのは、レストランでもこちらから友好的な態度を示すとそれに応じてくれる所です。"お金を出しているお客様だぞ!"ではなく、コミュニケーションの原則は対等であることです。だって素直にビールとポテトケーキが美味しかったのですから。


こちらはGritty McDuff's Portland Brew Pub。ダウンタウンのFore Street沿いにあり、今回宿泊していたHyatt Place Portland Old Portの近くです。なかなか風情のある通りで、アイリッシュパブが景色に溶け込んでいます。緑色の外装であることも分かりやすいですね。

Riraよりもこじんまりした雰囲気。照明を抑えた店内はとても雰囲気があり、この店からも港の景色を眺めることが出来ます。Grittyではたらのフライサンドを食べました。フライがおいしいのはもちろん、付け合わせのマッシュポテトがガーリックが良く効いていて、とてもビールが進みます。更にテーブルには、モルトビネガー・ディジョンマスタード・イエローフレンチマスタード・塩こしょうが置いてあり、自分で好きな味付けを作ることが可能です。テーブルに置かれた調味料で自分好みの味付けに仕上げるというのは、日本食にはない発想かも知れません。

今回訪れたRiraもGritty McDuff'sも、決してファンシーな店ではありません。無論アメリカの外食らしく値段は高いですが、その値段の高さがロマンティック・ファンシーな雰囲気をもたらしてくれると、期待を抱いて訪れると裏切られるかも知れません。しかしじわじわと伝わってくる落ち着いた雰囲気。もし外国に住む人が日本で初めて入った居酒屋に対して、不思議と落ち着けるという感覚を持つことがあるのだとしたら、日本人にとってはこのRiraとGritty McDuff'sがその存在かも知れません。国境と文化を超えても、不思議と自分が落ち着けるものを見つけられる瞬間があるのです。

Rira: https://rira.com/portland/
Gritty McDuff's: http://grittys.com/pubs/portland-brew-pub/

Apr 4, 2017

ポートランド(ただしメイン州)

オレゴン州では無く、メイン州ポートランドの旅行記です。アメリカ最北東部に位置する同州は、地産地消のグルメ・クラフトビール・コミュニティ文化・変人達を通じて日本にさえも影響を与えているオレゴン州ポートランドの様な華やかさはありませんでしたが、じわじわと伝わって来る魅力がありました。地味好きにおすすめ。


今回はゴールデンウィークに訪れました。日本からの直行便はありませんが、東海岸に朝早く到着して、真っ先にポートランドへ向かうスケジュールがベスト。滞在時間を少しでも確保しましょう。 東京からJALでニューヨークへ行き、JFK空港でJet Blueに乗り換えました。朝早くニューヨークに到着するJAL便は便利でした。

また帰りはポートランドからボストンまで列車(AmtrakのDown Easter号)に乗りました。その日は伝統のレッドソックス戦の日、ファン達は一足早く列車の中でビールで盛り上がっていました。普段着のアメリカを眺められるAmtrakもおすすめ。しかしボストンではNorth Stationに到着します。ここから他の都市(ニューヨーク・フィラデルフィア・ワシントンDC)に向かう列車はSouth Stationから出発するので、この乗換えが少し面倒臭い。往路は飛行機利用が楽で良いと思います。荷物を持って街中を移動する手間もないので。

Jet BlueはエンブラエルE190。隣の女性はバナナにピーナッツバターを塗って食べていました。また狭い機体なので、空港に到着した際に通路側のお客さんが隣の人の為に頭上キャビンから荷物を降ろしてあげる姿も見かけました。見知らぬ人にも優しくしてあげる姿勢は、見習うべきだなと思う光景の一つです。

早速、薄曇りのポートランドに到着。小さな空港なのですぐに荷物をピックアップ出来ます。出口付近のラックには、ポートランドの地図があったので、入手しておくと便利。主だった観光地のパンフレットもあります。ダウンタウンへは、タクシーで向かいます。空港アクセスの公共交通機関が少なくて不便なのは玉に瑕。タクシーは30分&20ドルでダウンタウンに行けます。台数は少ないですが、その場で車を拾えました。さすがに最北東部なので、ゴールデンウィークは日本の季節が一つ戻ったかの様な気温でした。アウターが必要です。

ダウンタウンのホテルへ向かう途中、エチオピアから来たという運転手と話をしました。以前仕事をしていたボストンと異なり、ゆったりと流れる時間が気に入っている。日本車のタクシーは故障が少ないから好ましいけれど、俺はアメリカ車(その車はマーキュリー)に特有の、フワフワと揺れる乗り心地は好きだ。こう語ってくれました。

寒い、そして曇りという旅行にとって最悪の組合せと思われる気候も、ダウンタウンに到着する頃には不思議と馴染んできます。暖かい晴天と、冷たい曇天。海辺の街を訪れて、不思議と後者に魅力を感じる人には最適の街。メイン州ポートランドに旅行したことを語ったり、 Facebookに投稿してもきっと周囲からの反応は薄いこと間違い無しですが、地味な魅力は独り占めするに限ります。

Jun 20, 2015

ニューヨーク、その名も究極のベーグル

ニューヨークにあるアブソリュートベーグル (Absolute Bagels)。その名前の通りに究極かどうかは別にして、さすがに本場の味。朝に訪れました。アッパーウエストサイドの街並みに溶け込んだお店に、通勤客、近くの学生、家族連れが次々と訪れる光景は、観光客のためだけのお店では無いということの証でした。
 最寄は地下鉄ライン1のCathedral Pkwy駅 (110th)。店自体はブロードウェイ&108thにあるので、周辺の散策も兼ねて103th駅や、コロンビア大学のある116th駅から歩くのもお勧め。ブロードウェイに面しているので、分かりやすい場所にあります。
 日曜日の朝ということもあり、さすがこの行列。しかしすぐに店内に入れます。持ち帰りの人が多く、また店員がとてもテキパキしているからです。フランス語らしき言葉を話すツーリストのカップル、新聞を読むおばさん、熱心に雑誌New Yorkerにかじりつくお兄さん。翌日(平日)に訪れたら、行列はありませんでした。さぁ自分の番、店内は無機質とも呼べるほど簡素ですが、ファンシーな内装が味を担保しているとは限らないことは、どこの街を訪れても例外ではありません。
 注文はカウンター越し。サンドイッチのサブウェイをイメージしてください。コツは頼みたいものを大声で伝えること。英語が通じない(理解してもらえない)時はガッカリしますが、一つに声量が小さいことも原因だと思います。太く、低く、大きな声で伝えましょう。クリームチーズや、サーモンを挟んで欲しい時、トースト(暖める)して欲しい時も併せて伝えましょう。豆腐ベースのトフティ (Tofutti)というクリームチーズもおすすめ。なかなか珍しいものを見つけました。そしてレジで会計。コーヒーなど飲み物もありました。

座席は意外と空いています。なぜベーグルが「モチモチしている」とよく評されるのか、ぜひ自分で確かめてください。やはり自分も「モチモチしている」という感想が、誰に言われた訳でもなく思い浮かびました。中身がパンのようなベーグルもありますが、この質感だけは他の場所では再現できないはずです。

有名店です。しかしそれは観光客のための店という訳ではなく、次々と訪れるローカルの人達の多さが本当においしい店であることを証明しています。店の周辺は、マンションが多く、シナゴーグスも立ち並びます。小さな子供を抱えて忙しそうな通勤客、学生(コロンビア大学が近くにあります)、ユダヤ教の伝統的な帽子を被ったお年寄り、スポーツウェアを着たランナー、ヨガマットを持ち歩く若い女性。様々な人が歩いているので、人間観察をしているだけでも楽しい界隈です。初めてニューヨークを訪れると、ミッドタウンからは遠い所だなと思うかも知れません。しかし地下鉄に乗ってここに来れば、日常の光景、ニューヨークの朝を見ることが出来ます。

Jun 9, 2015

コロンビア大学へ行こう

コロンビア大学への行き方、といっても受験ガイドではなく、キャンパス訪問です。マンハッタンにあるので、最も訪れやすいアイビーリーグのキャンパスの一つです。賢そうな雰囲気に浸る旅行もいいと思います。ニューヨークの街を最大限に活用できるキャンパスがうらやましいです。
最寄は地下鉄1ラインの116st Columbia Universityです。急行の2,3ラインは停車しないので、96stで乗り換えて下さい。Cathedral Pkwy (109th)からブロードウェイを歩くのもおすすめ。108thのベーグル屋 (Absolute Bagels)で朝食を、そして地元の人に混じって歩いて行きます。学生や教職員らしき人達がブロードウェイを歩いています。みなさん歩くのが早いのでまさにすたすたというイメージ。ミッドタウンやウォール街の通勤風景とは少し違って、落ち着いているというか、お勉強が出来そうな人が多いような気が勝手にしました。
 さて116st駅で地上へ出るとブロードウェイ、目の前に正門があります。正門を入って歩いていくと、右手に図書館、左手にはコロンビア大学と聞いて真っ先に思い浮かべる神殿風の建物/Low Memorial Libraryがあります。更にまっすぐに歩くと、アムステルダムAve側の門に到着。これでメインキャンパスはもう終わりですが、周辺にも大学関連の施設が点在しています。さくっとキャンパス巡りをしたい方は、正門から入ったメインストリートを中心に、それからLow Memorial Libraryの後側にあるエリアを歩き、最後にブックストアに行くと便利です。
コンパクトなキャンパスなので、道に迷う不安はありません。ビジターセンターは、Low Libraryにあります。ホームページから、キャンパス地図&音声ガイドをスマートフォンにダウンロードして持ち歩くのもおすすめ (http://www.columbia.edu/node/59.html)。ブックストアはブロードウェイに面したガラス張りの建物にあります。本はもちろん、大学のグッズを買うことができます。キャンパスカラーをモチーフにしたグッズもあり、紺色&水色の組み合わせは落ち着いていて、知的なイメージ。

 Low Memorial Libraryの裏側に広がる建物の雰囲気が一番良いです。こじんまりとしていて、散策というイメージがぴったり。建物の前に庭と樹木があるのが、雰囲気づくりに欠かせません。学校といえばソメイヨシノを思い浮かべますが、こういう桜の植え方もいいですね。こう美しいキャンパスを見ると、誰だって勉強をしたくなるし、屋外で読書・宿題をしてみたくなります。キャンパスが美しくないと、こうした気持ちに駆り立てられないというのは、言い訳ですけども。

とはいえこの美しいキャンパスも現実の世界であることに変わりはありません。そもそも美しいキャンパスは何の為にあるのか。大学進学、学位を得るためには多額の投資が必要であり、投資に見合っただけの環境が提供されるべきであるはずです。とりあえずキャンパスの美しさで勝負に出る、はたまた、キャンパスの美しさは二次的なものであり、教育水準の高さ、卒業時に得られるキャリアで勝負に出るべきだ。考え方はそれぞれですが、学生に対してどのような価値を提供出来るか、サービス精神が求められる訳です。

またキャンパスで起きた悲劇に対して、立ち上がった女性がいます。Emma Sulkowiczさんという人。性的暴行事件に対して、Carry That Weightというマットレスを担ぐパフォーマンスで意思を表示しました。 美しいキャンパスが実世界に対するアカデミズムの特殊性を高めるものだとしても、事件に対する対処策が実世界とかけ離れたものであってよい訳がありません。キャンパスにおけるsexual assaultの議論が始まりました。

やはりキャンパスと実世界との距離感は、常に対話を求めらるものである必要がありそうです。筆者が通った都内にあるキャンパスでは、キャンパスに通いながら、就職活動に励むことができたので、(健全な?)実業の世界にたどり着くことが出来ました。一方で、実業の世界に飛び出したからこそ、キャンパスへの憧れが時折思い浮かびます。 ジュリアン・ムーア主演の「アリスのままで (Still Alice)」を見ているうちに、コロンビア大学を含むアカデミックな世界に憧れを感じました。「もっと遊んでおくべきだった」、もしくは「もっと勉強しておくべきだった」どちらの後悔をお持ちですか?キャンパスは結局、舞台装置であり続けるべきなのです。進学前、在籍中も、卒業後も、大人のディズニーランドとして夢を与え続けてくれるテーマパークであって欲しいと思います。義務教育として通わされる訳ではなく、テーマパークでありながらお客様としてではなく、その価値を創造するプロセスに携われることを喜びに感じられる、場所であって欲しいと願います。

Jun 6, 2015

2015年池子フレンドシップデー

池子が日米共同利用となって始めてのフレンドシップデー。確かにセキュリティチェックがなくなりました。家族でも楽しめる落ち着いた雰囲気は健在でした。飛行機・艦船、武器の展示はありませんが、緑溢れる静かな環境でリラックスして楽しめる貴重なフレンドシップデーでした。
最寄は 京急の神武寺駅。間違って横須賀&三崎方面行きに乗らないで下さい。新逗子行きに乗りましょう。駅からは徒歩約7~8分。改札を出たら右に進み、通り沿いにしばらく歩き(線路沿いの道でもいいです)京急の踏切を渡ったら、そこが池子住宅地区です。住宅地区の一部は「池子の森自然公園」として日米共同利用が始まりました。エリアの奥にある森も近いうちに公開されるとのこと。住宅地区があったことで、森が保存されてきたことは事実の一つだと思います。
確かに今回からセキュリティチェックがありません。ご覧の通り、トラックを中心としてブースが立ち並びます。家族連れを中心にとても落ち着いた雰囲気です。ピクニック用のシートがあれば完璧でしょう。
今回は米軍、逗子市共に、日米共同使用開始ということもあってか、市長を始め、厳かに開会式が執り行われました。国歌演奏、国旗を掲げた行進もありました。開会式が終わると、さあイベントの始まりです。バンド演奏も健在。第7艦隊のバンド・オリンタルエクスプレス/Oriental Expressが盛り上げてくれました。曲目は3月の横須賀フレンドシップデーと同様のチョイス。イベントにもよるのでしょうが、基本的に現在進行形で流行っている曲を演奏してくれます。Happy by Pharrell Williams、Fireball by Pitbull、All About That Bass by Meghan Trainorなどなど。それこそ数年前のイベントでは、Katy Perry、Nicki Minaj、漢南スタイル(もちろん韓国語で)も演奏してくれました。ただ不思議と、ラップ音楽は聞いたことがありません。Kanye West、Jay-Zはまだしも、Snoop Doggになると連邦政府が関係するイベントでは厳しいでしょうか。All About That Bassの歌詞は、やはり米軍らしい全世界に向けたメッセージ。ありのままがいい。こうして自由は守られるべきです。エクセサイズが無理に強いられるべきではありません。エクセサイズと規律を重んじる軍隊が、リバタリアニズムの価値観の福音を宣教しているのは、不思議な光景ですが。
食べ物や飲み物も買えます。何気にシシケバブ、ファラフェルサンドの店が人気があるようで、食べている人を良く見かけました。米軍の店もありますが、ちょっと残念なホットドッグ。ナチョスの店が盛り上がっていました。Marine FASTPAC (海兵隊で艦船のテロリスト対策を行うチーム)のブースではTシャツを買えたり、フェイスペインティングをしてもらえるのですが、いかんせん隊員達がいかつすぎるので、子供が近寄らない一方で(しかし隊員達はとても楽しそう)、奥さんやお子さんがサンプルを配ったり、呼び込みをしているブースには人が集まっていました。一番のおすすめはMRW (福利厚生チーム)が運営する中央にある大きなブースです。ビールも飲めますから、やはり電車で来て正解でした。

フレンドシップデーを楽しめるのは、神奈川に住んでいることの楽しみの一つです。フレンドシップということで、特に何か大げさなことをやるというのではなく、あくまでも米軍の穏やかな休日に私達が溶け込んでいくというイメージです。この自然体な雰囲気が好きです。時代がとまってしまったかのような、古めかしい異国情緒ではなく、現在進行形で全世界に展開し、活動を繰り広げている米軍。その米軍の周辺では、現在進行形の国際交流がじわじわと互いの境界を少しづつ融解しながら、接触を試みているのです。クールジャパンなどという、お誂えの国際交流の現場では到底感じることの出来ない、緊張感と現実性を帯びたものです。数十年後には消えてなくなるかも知れないイベントですから、現在のお互いの関係性を楽しむべきなのです。

Mar 7, 2015

クラシックに楽しめるノースビーチ地区

サンフランシスコのノースビーチ地区。リトルイタリーとビートニク文化に彩られる街並みは、昔ながらのクラシックな楽しみに満ち溢れています。イタリアンのディナーを食べ、カフェや書店 (City Lights Bookstore)で夜の時間を楽しみましょう。映画 On the Roadを見たことがある方は、まるで映画の主人公になったような気分になれます。
ノースビーチ地区へはケーブルカーでアクセス出来ます。マーケット通りのパウエルから乗車したら終点のフィシャーマンズワーフまでは行かずに、途中のMason StとColumbus Aveの交差点で下車します。案内はありませんが、進行方向右手に公園の広場が見えたら降りてください。その名もJoe DiMaggio Playgroundです。乗車中は、中国語と英語が重なったオリエンタルな看板、海が見える丘を駆け抜けていきます。サンフランシスコ滞在の初日にまず体験してみてください。いきなりテンションが上がること間違いなしです。まずフィッシャーマンズワーフまで訪れて、夕方のディナーの時間にノースビーチ地区へ戻ってくるのがベストプランだと思います。ちなみに、車内ではグアテマラ&イタリアからのツーリスト同士が、お互いの言語(スペイン&イタリア語)がどこまで通じ合うかという、楽しい実験を繰り広げていました。何となーく会話が成り立っているかの様な彼らの光景は何気ないものですが、外国を訪れるおもしろさの一つです。

エリアの中心はColumbus Ave。コイトタワー、ワシントンスクエアパークがあります。ディマジオ&マリリン・モンローでお馴染みの教会 (Saints Peter and Paul Church)もありました。ケーブルカーの下車地点からColombus Aveを進んでいきます。City Lights Bookstoreがあるブロックくらいまでが主な見所です。

Sodin'sというレストランを訪れました。クリームソースのリングイーネのパスタです。今時の私達が「リングイーネ」という単語を使い出す以前から、当たり前の様に用いられていた店です。クラシックな魅力に満ち溢れています。常連のおじさん達、家族連れ。これまたベテランな風格を漂わせる店員(まさにママさん)が皆に笑顔を振りまいていました。コミュニティの雰囲気を感じます。郊外の住宅街では味わえない、人間同士の交流と息遣いを見ることが出来ました。"繊細な味にこだわるタイプ"のフーディーな人は、「あまりに古典的なアメリカン・イタリアン料理だ!」と思われるかもしれませんが、ここで楽しむべきなのは、クラシックとも言えるアメリカン・イタリアン料理です。イタリア料理がおしゃれな食べ物だという固定観念は一端、隅に置いておきましょう。

そしてColumbus Aveを進んでいくと、Cafe Grecoが見えて来ました。 おしゃれなイタリアンカフェの固定的イメージを覆すべく、まるでコメディアンのJimmy Kimmelのような店員がエスプレッソを入れてくれました(どうでしょう、ロマンティックではないですね笑)。夜でも賑わっています。むしろ夜だからこそ、小さなノースビーチ地区にたまたま居合わせた人間同士で、一つの時間と空気を共有しているかのような気持ちになれます。自分も郊外の住宅街に住んでいたとしたら、この感覚は一週間に一回は恋しくなってしまいそうです。

最後にCity Lights Bookstoreを訪れましょう。あまりに有名なので語る必要はありませんが、ビートニク文化が好きな方は、少しお酒を飲んだほろ酔い気分で夜に訪れてみてください。ほろ酔い気分で高揚していないと文芸作品を読む気持ちにはなれないし、泥酔していたら、そもそも活字は読めません。店内の2階にある、ロッキングチェアに座ってみてください。サンフランシスコに関する本も置いてあったので、お土産にもぴったりです。"The tree of San Francisco"というSFの街路樹について記した本を買いました。写真が豊富で、散策ルートも掲載された丁寧な本。そういえば、SFの街並みを歩いて思うのは、個性的な街路樹が数多くあることでした。花や実をつけるもの、常緑樹に広葉樹、街路樹にだってダイバーシティーが求められるのがサンフランシスコなのです。

アップルにグーグル、キックスターター。日本から見ていると、今時のサンフランシスコは、最新のテクノロジーとビジネス、そうした業界人達がもたらすヒップで豊かな生活が注目される街だと思いますが、街の歴史を丹念に掘り起こしていくと、個性的なおもしろさの源流の一つはノースビーチ地区に今でも根ざしていることが分かりました。イタリア文化がおしゃれだなんて、誰が決めたのでしょうか。人々の歴史に根ざしてきた、クラシックなアメリカ系イタリア人の文化を感じに行きましょう。人々が存在して紡ぎ出されて来たストーリーこそが歴史と文化であり、活字を越えて、街並みの中に確かに存在しているのですから。

Mar 5, 2015

一番訪れやすいブルーボトルコーヒーの店

サンフランシスコで最も訪れやすいブルーボトルコーヒー/Blue Bottle Coffeeの店は、中心部のマーケット通りから程近いオールドミント/Old Mintという場所にあります。観光やビジネスで訪れて、滞在時間が短くても、便利なマーケット通り近くの店なら、すぐに立ち寄ることが出来ます。夏なのに肌寒いサンフランシスコの朝にはぴったりのコーヒーでした。
マーケット通り周辺には、地下鉄MUNI、バス、BART、ケーブルカーなど公共交通機関が集まっており、主要なホテルも数多くあります。観光やビジネスで滞在される方も多いでしょう。マーケット通りから、5th Streetに入って二つ目の角を向かって右に進むとOld Mint Plazaです。更に奥に入っていくとお馴染みのブルーボトルマーク。知らなければ通り過ぎてしまいそうな店構えです。列が出来ていても、比較的すぐ中に入れます。

細長い店内。入り口付近にはギフトグッズが並び、レジで注文をします。ドリップか、サイフォン式か好きな方を選びます。サイドメニューもどうぞ。マフィンやクッキーはもちろん、食事メニューもありました。店で食べるなら、サイフォンが並べられたカウンターの前に座るのがおすすめ。目の前のサイフォンでコーヒーが淹れられている様子を眺めながら、コーヒーを飲みましょう。店員とお客さんが楽しそうに会話しているのが、アメリカらしい光景でした。
トロピカルで濃い色をしたコーヒーとは対照的に、店内はコケイジャンばかり。時折アジア系を見かけます。それにしても、アップル製品使用率の高さに驚きます。サンフランシスコ、アップル製品、(比較的裕福そうな)コケイジャン、コーヒー!決してスターバックスではないのです。まるでスケッチコメディーの舞台になりそうな光景でした。
それにしても驚くべきは、高級コーヒーを売るだけのストーリーを描けるということでしょうか。決しておしつけがましくはなく、あくまでもクールに頭を使って、高い売価を納得させるのです。どうしたら、ヒップスターの仮面を被りながら、商売に徹することが出来るのでしょうか。頭を使って仕事をしなければいけません。

また高級コーヒーにお金を出せる客層は、何もベイエリアに限らず、日本にだって多いと思います。それにしても、経済的な余裕さと文化的な趣向レベルはどのように結びついているのでしょうか。物を選択して消費をする行為が多少なりとも自己演出であるのだとした時に、単純に財力を見せつける行為は全世界に共通的なものでしょうが、財力に文化的なレベルを伴わせる行為は、アジアに比べると、アメリカなど西洋社会により特徴的なものかも知れません。おいしいコーヒーを全世界(もちろん日本にも)にもたらすことは容易に可能ですが、ブルーボトルコーヒーの店内の雰囲気に特徴的な、ある種の心地よさは、経済的な格差と文化レベルの差がより密接に結びついている(ように見える)社会に特有なものなのでしょうか。

「なぜビーガンやサードウェーブのコーヒーにこだわるのか?」と聞かれたら、「それはあなた達が、ビーガンやサードウェーブのコーヒーにこだわらない人達だからだ。」と答えてあげましょう。ここまで言う人をあまり見掛けたことがないのが幸いです。

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