最近のスバルの躍進は、北米アメリカ市場での成功にあると思います。手頃な値段の割りに製品自体が素晴らしいし、何よりもマーケティングが卓越しています。「比較的高学歴、だけど富裕層ではない人達」のことを良く考えています。それにしても、オレゴン州ポートランドでは実に良くスバルを見かけました。北西部(Pacific North West)はやはり重点地区なのでしょう。コメディ番組ポートランディア(Portlandia)にも自動車提供を通じて、宣伝を行った北米スバル。ポートランドの景色と雰囲気に、スバルは実に溶け込んでいました。
やはり主役のフォレスター。きれいな青色。SUVは山道を駆け抜けるとか、ワイルドでスポーティーな印象がありますが、北米スバルのフォレスターのCMは一味違います。母娘で近所のコミュニティーガーデンを訪れる。カントリー風の曲を背景に、母親を手伝う娘、水をあげたり、鶏にエサを与えたり、収穫をしたり。最後にフォレスターの荷台に荷物を詰め込み、"Every mom needs a little helper. That's why I got a SUBARU."と娘をミラー越しに眺める安心そうな母親の姿が映る。こんな感じです。30秒のショートフィルムかと思うくらい。ミニバンよりも、SUVの方がかっこいいし、何よりも母娘を守る安心感がそこにはあるのですね。コミュニテーガーデンというのも、高学歴な低所得者層の心に訴えかけてきます。
少し古めのレガシー。フロントグリルが日本よりも押しが強い印象。立体的で、はっきりとしたデザインが北米では好まれるのでしょうか。きれいなツートンカラー。それにしても、結構古いスバルも見かけました。スバルオーナーは古くなっても乗り続ける傾向が強いらしく、なかなか新車に買い換えてくれないのが北米スバルの悩みなのだとか。
新型インプレッサ。一代前のインプレッサから、販売が拡大したように思います。コンパクトカーとはいえ、これくらい車体サイズがあると快適で安心。ちなみに、自転車ロードレース大会に参加する奥さんを、インプレッサに乗って応援しにいく旦那の姿を描いたコマーシャルも感動的です。「スポーツ(特に自転車)を愛すること。自分で挑戦すること。支えてくれる人がいる。」というテーマは、日本以上にアメリカ受けするテーマなのかも知れません。
良く見かけたのはレガシー、そしてアウトバックでした。ポートランドの美しい住宅街によくマッチしています。青や緑など、日本ではあまり見かけないカラフルな色の車を見かけます。 北米向けにサイズが巨大化したと言われてしまうのは事実ですが、やはり大きい車体はかっこいい。見栄えのするデザインを実現しようと思ったら、特に車幅をきちんと確保しないと、難しいのかも知れません。
スポーツを愛する。犬を愛する。自分で挑戦することを重んじる。コミュニティーガーデン。家族を大事にする。自然を愛する。これらのテーマを打ち出した北米スバルのコマーシャルは、どちらかというと、高学歴なコケイジャン(白人)に受けそうなものです。多様な社会で、絞るべきターゲット層がいるから、小さな自動車会社でもヒットを狙える環境にあるのでしょう。
個人的にはコメディ番組Portlandiaへの協賛が素晴らしいと思います。マニアックなテレビ局IFC(Independent Film Channel)の、マニアックなテーマを扱ったコメディ番組(http://www.ifc.com/shows/portlandia)です。そしてトヨタやホンダのような巨大日系企業は、スーパーボウルへの広告を出すのに比べ(しかもKelly Clarkson級のスターを起用して)、一方の北米スバルは裏番組?のパピーボウル(http://animal.discovery.com/tv-shows/puppy-bowl)という、子犬のアメフト大会のスポンサーです。どちらも狙いどころがおもしろいですね。何にせよ社会的なメッセージを重んじています。スタイリッシュなかっこよさばかりを打ち出すのではなく、もっと社会的なメッセージ性も込めていて、そうした姿勢は今時だなと感じます。「欧州で磨き上げた上質の走りとスタイリング」なんてCMはもうおなかいっぱいです笑。
北米スバルの感動的なCMはこちらから。
ポートランドのまとめです。ご参考。
http://mytkychronicle.blogspot.jp/2013/11/blog-post_4735.html